ある日突然自分の建物を他人がショベルカーで破壊しても「建造物損壊」にはならないのか?
大阪市西淀川区にあるGIGAZINE旧本社へ編集長たちが自動車で荷物を取りに行ったところ、なんと斜め前にあるGIGAZINE第一倉庫がショベルカーでぶっ壊されている真っ最中の現場に偶然遭遇しました。
◆所有している倉庫が見知らぬショベルカーに破壊されていた
現場はココ、2019年2月16日のことです。現場到着して確認直後からすぐ録音開始しているため、以降の様子はすべて音声データが存在していますが、記事執筆時点で警察が捜査中とのことなので、支障が出ないように専門的で詳細な部分はあえて省略し、被害届や供述調書に沿った事実関係のみで記事化しています。
上記の倉庫がこんな感じに。
解体業者がショベルカーで破壊中。もちろんすぐに「ここはうちの名義になっているし、登記して権利を所有している。火災保険もかけているし、税金も払っている。何かの間違いではないか」と伝えたところ、「上の不動産会社の社長から取り壊せと言われて作業している」とのことでしたが、すぐに解体作業は中断され、社長に確認するとのことで携帯電話で連絡し始めてくれました。
しかし「20分ほどで責任者が来るが、作業はそのまま続行しろと言われた」ということでなんと破壊再開。やめて欲しいと言っても一向にやめず、「危険だからどけ」と言われ、どうしようもなくなったため、警察へ連絡することに。
幸いなことにすぐ近くに交番があるので走って行きました。しかし無人。
交番から110番通報するとすぐに西淀川警察につながり、住所を伝え、状況を伝えることに。
編集長「だから私の名義になっている建物が勝手に壊されているんです、今」
西淀川警察の担当者「え?なぜですか?」
編集長「わかりません。事前に連絡はありませんでした。とにかく今まさにぶっ壊されて破壊されているところで止めようがないので、現場に来て見て欲しいんです。お願いします」
西淀川警察の担当者「え?本当に?」
編集長「本当です。とにかく来て見てもらえませんか。言っても壊すのをやめてくれなくて、もうどうしようもないんです」
西淀川警察の担当者「本当に?なぜ?」
あまりのことで警察も当初は半信半疑だったものの、パトロール中の警官を向かわせるということでそのまま交番で待機するように命じられ、しばらくすると警官が1名登場。いっしょに現地へ。
現地に到着すると、地主のYさん、不動産仲介会社の社員であるN部長、などが新たに現地にいるのを確認。
地主のYさんは「この土地は自分の持ち物である」「この建物は自分の持ち物である」「弁護士にそう言われている」「お前のものではない」「一体何が目的だ、言え」「返してもらった」などと主張。
さらにこちらが警察に事情を説明している間にも、近隣住民の家屋の玄関ベルを次々に鳴らして順に呼び出し、「私はあの家を返してもらった」「もともとはおじいさん(=編集長の祖父)に貸したのであって、この人(=編集長)のことは一切知らない」と虚偽の主張をし始めました。
警察の応援がさらに2名到着したものの、地主のYさんの嘘・侮辱行為は止まらず、こちらが黙っているといくらでも嘘を周囲に吹き込まれるので反論し、そのまま口論に発展することに……。
◆「建造物損壊罪」には当たらない?
警察官と仲介した不動産会社の社員N部長が仲裁に入り、嘘を吹聴する地主のYさんたちを撤収させ、その場は収まりました。
その際にその場にいた不動産仲介会社「パワーエステート株式会社」のN部長による説明は以下の通り。
・解体している家屋3つのうち、端の1つである持ち主さん(=編集長)とは連絡がつかなかった
↓
編集長「連絡がつかないと言っているが、今回勝手に破壊している建物の目の前に会社があります」
第一倉庫の目の前にGIGAZINE旧本社があります。これぐらい近いのに「連絡がつかない」とは一体……?
・登記は『編集長』となっているが、地主のYさんは「返してもらった」と主張している
↓
編集長「その主張の裏付けとなる書類がどこにもないのに……?」
さらにN部長の説明は続きました。
・不動産会社としては登記名義が『編集長』になっているということは、地主のYさんも不動産会社も承知していた
・解体業者には不動産会社から解体の指示を出して作業させた
登記簿で持ち主を確認しているのにもかかわらず、連絡を取らずに家屋を破壊するというのは、まるで前世紀の地上げ行為っぽく見えます。
さらに警察からは以下のような説明を受けました。
・民事ではあるが、実際に無断・無許諾で家屋を破壊している
・家屋を破壊するのを中断するように現場で要請したにもかかわらず、なお破壊を続行した
・登記の書類、保険の書類、税金の書類も「編集長」名義であると主張されている以上、そもそも「編集長」の許諾を受けずに破壊を続行するのは普通に考えてもおかしい
・該当する書類などを持ってきてもらえれば、被害届や告訴は可能なので、後日、会社の顧問弁護士と相談して協議した上で、西淀川警察署まで事前連絡の上で来てもらえれば良い
また、不動産会社の社員であるN部長から名刺を受け取り、これまでの経緯の詳しい説明と今後の対応について、2月22日(金)13時からGIGAZINE新本社(大阪府茨木市)にて話し合うことになりました。
それまでにやれることは粛々とやっておかなくてはなりません。
まず保険会社に連絡し、何か保険で支払われる対象になるのかと問い合わせたものの「前代未聞のケースなので不可能」との回答。残念。
次に元検察で特捜でもあったGIGAZINEの顧問弁護士に相談したところ、
「一般的には、相手方から、建物収去土地明渡請求をされることはありうると思いますが、相手方が自分が正しいと信じて、これを遂行しようとするなら、民事訴訟を提起しないとならず、相手方が、勝手に、建物の取り壊しを強行することは、自力救済として許されません」
「少なくとも、刑事的には、自力救済は許されず、建造物損壊罪だとして告訴されることは進めてゆかれればいいのではないか」
との心強い回答。調べてみると以下のような罪状に該当する可能性が高いようです。Wikipediaがわかりやすいので読んでみます。
建造物等損壊罪 - Wikipedia
他人の建造物又は艦船を損壊した者は、5年以下の懲役に処する。
本罪は「損壊」を構成要件的行為とする。 学説は多岐にわたるが、判例・通説は、その物の効用を害する一切の行為をいうとしている。ゆえに物理的な損壊に限らず、心理的に使用できなくするような行為も損壊といえる。
確かに今回の一件は「建造物損壊罪」になりそうです。
そのため、法務局へ行って登記簿を出し、西淀川警察へその登記簿を持って行って上記の弁護士の見解を伝えたものの、
「建造物損壊罪にはならない」
という判断になる、とのこと。理由は以下の通り。
・建造物損壊罪の「建造物損壊」とは「自動車でビルに突っ込んでくる」「建物を爆弾で爆破する」「壁面にスプレーで落書きする」ぐらいの「故意性(=わざとやっている)」が必要
・自分の土地の上にある建物を「返してもらった」と地主は思い込んで破壊しているので「故意性」がない
それだったら何のための登記簿で、何のために法的に正規の手続きが存在するのだ?そんなバカなことがあるのか?ということで再度法務局にその旨を相談しに行ったところ、登記官につないでもらうことができ、恐るべき事実が発覚。
・「滅失登記の申出」という制度がある(「建物滅失登記の申請」とは違うもの)
・いかなる方法であってもとにかく何もない更地にしてしまえば「滅失登記の申出」によって登記を書き換えることができる
・この更地にする方法は合法でも違法でもどっちでもいい、書類上はそういうのは一切問われないため
・手続きの書類さえちゃんとそろっていれば「滅失登記の申出」で登記簿の名義を書き換えることができてしまう
以下のページが詳しいです。
建物滅失登記の「申出」 | 姫路の司法書士西川英彰の日常
建物名義人が誰なのか?今どこにいるのか?そもそも生きているのか?相続人はいるのか?誰にもわかりません。
このような場合に、土地の所有者より「自分の土地の上に建物の登記だけ残っているけど、確実に存在しないので、職権で滅失してください」と法務局にお願いするのが、建物滅失登記の申出です。
これを受けると、法務局はいろいろ調べた上で職権で建物登記を滅失します。
編集長「……つまり、ここに私が突然ショベルカーで押しかけて、法務局の建物を破壊し、その『滅失登記の申出』を行うと、登記簿の名義を書き換えることが可能だ、ということですか?」
法務局「現地の状況を確認しに行き、確かに何の建物もないとなれば、登記官の職権で、そういうことになりますね。もちろん登記簿に記載されている住所へ郵送で連絡するので、登記自体をその時点で阻止することは可能です」
編集長「壊される前、つまり事前に破壊・解体を止める法的な方法はありますか?」
法務局「ありません」
編集長「つまり、警察に連絡しても、その場では解体を業者はやめてくれるが、警察がいなくなれば再び作業を再開することはでき、それを止める方法はない?」
法務局「ありません……」
かなりいろいろと法務局の登記官も調べたのですが、解体自体を止める法的手段は今のところ、やはりないようだ、とのこと。手続きとしては申請されれば現地に登記官が向かい、更地になっていることを確認すればそれでよく、そのまま「滅失登記の申出」に従って、登記官の職能ということで書き換えることができてしまうそうです。
つまり、今回は偶然、解体中の現場に居合わせたので止めることができたのですが、地上げ行為の手順としては以下のようになります。
・勝手に家屋をショベルカーなどで破壊して解体して更地にする
↓
・「滅失登記の申出」を行う
↓
・うまくいけば登記簿の名義を書き換えることができる。名義を書き換えることができなくても家屋自体は破壊できる。
↓
・あとは好きなように土地活用を行う
実際に誰かが住んでいる家屋であればともかく、今回のような「倉庫」だと中に誰もいないし、誰も見張っていない時間帯が発生するため、「勝手に破壊する」ということが可能になるわけです。そして破壊してしまえばもう元に戻すことはできないので、「滅失登記の申出」すら可能になるので完璧な乗っ取りができる可能性も狙える、ということになります。
しかしいくらなんでも滅茶苦茶すぎるので、再度、GIGAZINEの顧問弁護士に相談してみたところ、
「所有していることを明らかにし、解体しようと思う者に対してはっきり明示すれば良い」
とのこと。つまり、解体業者の依頼主や事前説明と違う持ち主の名前が表示されていれば、解体業者が「あれ?」となって認識できるはずなので、勝手に壊すと「持ち主が違うということがわかっているにもかかわらず解体した」ということで、違法性がかなり上がるようです。
そこで以下のようにデカデカとラミネート加工された表札を作成。
あちこちにくっつけました。
さらに後日、登記簿のコピーも壁面に貼り付け、万全を期すことに。
家屋の中にもつるしておきました。これでどこから壊そうとしても一発でわかります。
そして2月22日(金)13時、パワーエステート株式会社のN部長と「編集長所有が明らかである建物を勝手に壊したのはなぜ?」と話したところ、以下が判明しました。これも録音・映像記録済みです。
「通常の手続きではパワーエステート株式会社が土地家屋調査士に依頼して取り寄せた登記簿に載っている住所に連絡する」
「今回については、隣2件の連絡先は地主のYさんが知っていたが、編集長の連絡先は知らないと言われたので連絡しなかった」
「その後、解体する提案をしたのはパワーエステート株式会社で、解体の指示を出したのは地主のYさん」
「解体業者を手配したのは地主のYさんから土地を買い取ろうとしている『買主の不動産会社』で、名前は言えない」
「解体業者に金を払うのは地主のYさん」
「第三者の会社(=買主)が『あの土地を買いたい』ということでパワーエステート株式会社に仲介の話を持ちかけ、パワーエステート株式会社から地主のYさんに連絡を取った」
「パワーエステート株式会社と地主のYさんの間では媒介仲介契約を結んでいるだけであり、それ以外の契約書はない」
「地主のYさんと編集長との間で交わされた書類は一切ないし、パワーエステート株式会社は確認していない」
「地主のYさんは『カギを返してもらった』とパワーエステート株式会社に言ったが、パワーエステート株式会社はカギの確認をしていない」
「今回解体中の建物の中に地主のYさんの荷物が入っている、と地主のYさんに言われた」
つまり「あえて何も確認しない」という手法です。
そして「100万円払うと地主のYさんは言っているがどうか」と提案されたのですが、「金さえ払えば法的な手続きを一切無視し、勝手に家屋を破壊してもOK!」というムチャクチャなことが正しいわけがないので、提案を拒否。
しかしこのままでは泣き寝入りするしかありません。
というか、そもそもここまで勝手に破壊しているのに「建造物損壊」に問われないというのはおかしいのでは?ということで、登記簿以外にありとあらゆる権利と因果関係を証明するであろう書類(売買購入時の領収書、売買契約書、以前の持ち主の登記簿、地上権があると明言してくれた当時の司法書士の証言などなど)をそろえ、GIGAZINEの顧問弁護士同伴で再度、西淀川警察へ行くことにしました。
その際、最も有効だったのが、弁護士が発見した下記の「最高裁判例 昭和58(あ)1072」です。
事件番号:昭和58(あ)1072
事件名:建造物損壊
法廷名:最高裁判所第三法廷
今回の件で問題となっているのは「その家屋は誰のものなのか」という部分で、そこを争点にすると「刑事事件」ではなく「民事」になってしまい、警察では手出しできなくなってしまいます。相手の業者の言い分ややり方も、ことごとくそうやってグネグネと刑事責任を回避するように論理構築されているのが重要な点です。この悪質な地上げ行為に等しいやり方に対抗できるのが上記の最高裁判例「昭和58(あ)1072」で、以下のようにまとめることができます。
・建造物損壊の場合、民事とは切り離し、刑事として起きた現象面だけで罪に問うことは可能である
登記簿上は編集長のものであると明記されており、なおかつ国に税金(固定資産税)も毎年きちんと払っており、GIGAZINEによる倉庫としての利用実態もある以上、あとは「建造物損壊」の部分だけを刑事事件では見ましょう、ということです。
最初は及び腰だった警察も、弁護士からこの最高裁判例をプリントアウトしたものを手渡され、熟読し、説明を受けた結果、やれるだけやってみましょうということになりました。よくある借地権や地上権のあるなしだけだと刑事責任を問えず、民事裁判のみになってしまうのですが、現象面だけを見ることによって「建造物損壊」だけに絞ることは実は可能だ、ということです。
一方、パワーエステート株式会社に対しては「警察に被害届を出すことになり、捜査の行方を見極めなければならないので、今の時点で、話し合いはできません」と通達しました。というのも、警察の立場からしてみれば、被害届を出すのをダシにし、被害届や告訴状の取り下げを条件にしてお金でカタを付けられると、せっかくの捜査が徒労に終わってしまうためです。そのため「民事はしない。刑事で処罰して欲しい」という意志を警察に対しては徹底的かつ明確に示し続ける必要があります。今回の記事の公開もそういった「処罰の強い意志を明確かつ公に示す」とともに、同様の地上げ的行為や手口で困っているケースの参考になればというのを兼ねています。
そうしていろいろな資料をそろえていった結果、ついに3月27日(水)に被害届・供述調書が完成したので、西淀川警察へ行き、署名・押印してきました。
基本的にこちらの主張は全て盛り込んでもらい、供述調書末尾に以下のような感じの文章を書きました。
「今回、何がどうなって私の建物が壊されることになったのか釈然としませんがパワーエステートのN部長が言うには、土地の持ち主のYさんから壊して良いという許可を得たとのことです。私は最初のうちは『何かの間違いで壊してるなら話し合いするしかない』と思っていましたが、Yさんが現場で私を嘘つき呼ばわりしたり、あとから100万円で話をまとめようとしたりしたことに腹が立っています。これはお金の問題ではありません。いくら積まれても受け取る気はありませんので、私の建物が勝手に壊された今回の件をしっかり調べてもらって、取り壊しの指示を出した人間には厳しい処罰をお願いします」
加えて、以前に茨木市にあるGIGAZINE編集部の新本社が地震で壊れた際に修理金額を見積もってくれた業者に頼み、被害金額を出すための「見積書」を作ってもらい、これも添付しました。合計金額は「1226万1660円」です。「100万円で話をまとめようとする」というのがどれだけ人をバカにした行為だったのかがわかってもらえるはずです。
今回のこの記事も、「絶対に引き下がらない」「刑事事件になるわけがないと思ってなめてかかっているやりたい放題の連中に対抗するためにも警察・検察には全力で戦って欲しいし、戦うべきだ」という意志を示すために書かれています。
その後、現地へ警察と同行し、再度撮影を行いました。
あのまま放置しておくと風が吹いてあちこちに解体した破片がバラバラに飛んでいくのでまとめてあります。
そういえば壁面に貼ってあったはずの「名札」「表札」「登記簿のコピー」がありません。針金でグルグル巻きにしてくくりつけていたはずなのですが、どうなったのでしょうか。
家屋の中に貼ってあったはずの「名札」「表札」「登記簿のコピー」も消えています。誰かが勝手にはがしたようです。
それはともかく、とにかくこれで終わり、あとは捜査の進展を待つのみ……のはずだったのですが、なんと被害届を警察に出した翌日、3月28日(木)、再び解体作業が勝手に始まったのです。
◆再び破壊される倉庫
3月28日(木)午前9時57分58秒
旧本社に来訪していたチャリダーマンが、なぜか第一倉庫の近くに解体業者が来ていることに気付き写真撮影。
午前11時頃
新本社にYさんから内容証明郵便が届く。その末尾に「土地の権利は日新プランニング株式会社に譲渡した」と明記されていた。
正午12時45分37秒
「日新プランニング株式会社」の手配したショベルカーが第一倉庫を破壊し始める。チャリダーマンが警察へ通報。
13時5分頃
チャリダーマンからの通報により、編集長たちが現地へ急行。
このようにしてまたしても、勝手な解体・破壊を始めたのです。前日の警察立ち会いでの撮影時に「名札」「表札」「登記簿のコピー」が消えていた原因はこの前兆だったのでしょう。
13時33分
編集長が西淀川警察の担当している刑事に携帯電話で通報、現地の確認を要請。
13時36分
GIGAZINEの顧問弁護士に電話連絡。
14時00分40秒
現地到着。
「日新プランニング株式会社」の社員を名乗る男が警察に対し、
・Yさんから土地を買った
・アスファルトをはがす作業をしていて「誤って」少し壊してしまった
・「日新プランニング株式会社」の弁護士から西淀川警察に連絡させる
・編集長と直接話す気は無い
・編集長の顧問弁護士から警察へ連絡させてくれ
と一方的に主張。
要するに「これは民事だから警察は介入するな」という口実を作りにさらなる手を打ってきた、という流れです。
ここまでやっていても「故意」ではないそうです。
一体何をしたら「故意」になるのでしょうか。破壊する瞬間を撮影していても「故意性」に問われないのであれば、一体どうすれば……?
顧問弁護士も警察がすぐに故意性を問題にすることについてはかなり怒っており「犯罪者が全員、『私がやりました、犯罪だとわかってやりました』と言うと思いますか?知らぬ存ぜぬでしらを切り通すのが普通でしょう」とのこと。さすがにもともと検察をしていただけのことはあり、言葉の説得力が違います。故意性を重視しすぎた結果、自白頼みになるわけです。故意性よりも、目の前の現実、科学的事実の方が明らかに重要なはずだと思うのですが、違うのでしょうか。
14時31分
顧問弁護士に再度連絡、西淀川警察へ説明、弁護士同士の「民事」の連絡をはっきりと断る。
これにより、以降の一方的な破壊はとりあえず止まりました。
15時半頃
本当に土地の名義が書き換わっているのかを確認するため、法務局に到着。登記簿を取得して現状を確認。土地の名義はまだYさんから変更されていませんでした。
16時半頃
再度事件現場に到着。防犯カメラにも映像が残っていることを確認。また、騒ぎを聞きつけて集まってきた近隣住民に取材を行った結果、Yさんはとにかく領収書は出さない、契約書は書かない、というようにして徹底的に書類を出さないようにしている、などさまざまな多数の証言を得ました。これらは警察へも伝達済みです。
18時18分
西淀川警察から電話。
・警察署に戻って確認したところ、先方の業者の主張と違って「弁護士」からではなく、その業者からの連絡のFAXが来ているだけであった。
・その連絡先を電話で教えてもらったところ、今朝届いた内容証明郵便の末尾に明記されているものと同じ「日新プランニング株式会社」であった。
・警察から「民事は民事で進めていただいて」と言われたが、「民事で進める気は一切ない。刑事で進めて欲しい」と強硬に繰り返し再度主張。
・「内容証明郵便が届いているのだが内容が意味不明で理解できない。この件について直接、私がYさんに質問するのは大丈夫か」と質問したところ、「既に被害届が出ていて受理しているので捜査中はまだやめて欲しい」とのこと。
上記が記事執筆時点での進捗です。
正直、まさか現代の日本でここまで警察が業者になめられており、圧倒的に無力で、ショベルカーなどの重機で家屋を無理矢理破壊されるのを止める方法がないとは思いませんでした。加えて、ここまで写真などの物証があったとしても、警察は現行犯逮捕することもできず、ただ見守るだけしかできないというのが現状です。警察の方々も昨日はさすがに全員、苦々しい顔をして非常にくやしそうでした。
最終的にどうなるかは今後の捜査の進捗を待たなければなりませんが、現時点ではもう打つ手がありません。誰が見ても「建造物損壊」であることは明らかであるにもかかわらず、「前例がない」というだけでここまでやりたい放題されるとは思いませんでした。わざと破壊している最中の写真があっても、目撃した証人がいても、ダメです。
ある日突然自分の建物を他人がショベルカーで破壊しても「建造物損壊」にはならないのか?このままだと「ならない」となってしまいそうです。
最後に、今回の「建造物損壊」およびこのような地上げ的行為について、読者から広くGIGAZINE編集部へ情報提供をお願いしたいと考えています。
・今回の一件はあまりにも特殊事例すぎるのか?
・実は表に出ていないだけでこのような「滅失登記の申出」を悪用しようとしている脱法的な地上げ行為は普通に行われているものなのか?
・あるいはこのような事例でも対抗する方法が実は残されているのか?
どのような情報でも構いません。今のままだと警察も地上げ的行為を止めることができず、GIGAZINEでもここまでがやれる限界です。何か有益な情報や「私も同じ手口で被害に遭った」という方がいれば、まずは以下のフォームから匿名で情報提供をお願いします。その際、情報提供者の保護は徹底します。
以下のフォームで件名に「地上げについて」と書いてもらい、提供したい情報を明記し、連絡可能なメールアドレスを記入していただければ大丈夫です。すべてに返信することはできませんが、顧問弁護士とともにいただいた情報を検討し、もっと詳細な情報を提供して欲しい場合にはこちらから連絡することがあります。
それではよろしくお願いします。
<地上げの手口について情報提供する場合はココをクリック>
ある日突然自分の建物を他人がショベルカーで破壊しても「建造物損壊」にはならないのか?https://t.co/9wEP4cCTiO
— GIGAZINE(ギガジン) (@gigazine) 2019年3月29日
・つづき
続・ある日突然自分の建物を他人がショベルカーで破壊しても「建造物損壊」にはならないのか? - GIGAZINE
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