1kgあたり数万円の値がつく希少な「本ワサビ」の栽培農家を直撃したムービーが公開中
寿司やそばが好きな人であれば「ワサビ」を食べる機会も多いはずですが、実は一般的に消費されている練りワサビや粉末ワサビのほとんどはホースラディッシュ(セイヨウワサビ)という植物から作られた代用品です。本ワサビともいわれる本来のワサビは非常に高価な野菜だそうで、伊豆で代々本ワサビの栽培を行ってきたワサビ農家8代目の飯田茂雄さんがインタビューを受けたムービーが、YouTubeで公開されています。
The Truth About Wasabi
豊かな自然の広がる伊豆の山奥には……
本サワビを栽培する農園が広がっています。
地面からは葉のついた茎が伸びていました。
段々状に広がるワサビ田の中を歩くのが……
本ワサビ農家の飯田茂雄さん。75歳の飯田さんは、家業の本ワサビ栽培を継いでから53年になるとのこと。
収穫した本ワサビは水で軽く泥を落として……
そっと積み上げられていきます。飯田さんは本ワサビ農家の8代目にあたるそうです。
本ワサビ栽培はどこでもできるものではなく、きれいな水や適切な土壌が必要です。
栽培が難しい分、農家としての収入は比較的多いとのこと。
収穫した本ワサビをじっと見て点検する飯田さん。
世の中に出回っているワサビのほとんどはホースラディッシュを使った代替品であるそうで……
本ワサビはツーンと鼻にくる香り、甘み、そして最後に辛みがくるという特徴があるとのこと。いくつかの研究によれば、本ワサビには殺菌作用や抗アレルギー作用などが認められていると飯田さんは話します。
本ワサビの栽培には、主に収穫後の傷のない本ワサビを株分けをした苗(分根苗)を使うとのこと。
ワサビ田に分根苗を植えていく飯田さん。ワサビ田では周囲の環境を守るため、農薬を使いません。
伊豆の本ワサビ栽培で見られる特徴的な畳式栽培は、明治26年に地元の本ワサビ農家によって考案されたそうで……
石を敷いた構造を用いることで、一種のろ過装置として水をきれいに保つ機能があるとのこと。
飯田さんは2018年に長男の哲司さんを亡くしてしまったそうで、今も大きなショックを受けていると語ります。
哲司さんは長年にわたり飯田さんと共に本ワサビ栽培を行ってきたこともあり、ふとした作業の拍子に「ああ、あの時ここでセメントをつけた」と哲司さんのことを思い出すことがあるそうです。
しかし、「私がいじけていてはとても家は成り立たない」として、飯田さんは今でも本ワサビ栽培を続けています。
段々状になっているワサビ田での作業は、元気な人であってもかなり大変そうに見えます。
それでも飯田さんはあと10年、20年は頑張るつもりだとのこと。
飯田さんは仕事をしながら成長する中で、地域に住む多くの人々に支えられているということを実感したと話します。
今では300年、400年続いた本ワサビ栽培の伝統を絶やしてはならないという使命を感じているそうです。
本ワサビはケースにきれいに並べられ、出荷されていきます。
今では哲司さんの息子である飯田さんの孫も本ワサビ栽培を手伝っており、やがて本ワサビ農家を継いでくれることを飯田さんは期待しているとのこと。
飯田さんが栽培した本ワサビは東京へと出荷され、豊洲市場で販売されることとなります
新鮮な本ワサビは1kgあたり250ドル(約2万7000円)近い値で取引されており、本ワサビは世界で最も値段の高い野菜の一つとなっています。
本ワサビ農家に取材した、情緒あふれるムービーとなっていました。
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