本物のわさびを知らない外国人に向けて作られた「わさびとは何か?」を解説するムービー
寿司はいまや世界中で愛される日本食で、寿司には「わさび」がかかせません。しかし、西洋をはじめとして寿司が人気の海外では本物のわさびである「本わさび」を食べることはできず、もっぱらセイヨウワサビを本物のわさびだと思っている人も少なくありません。本物のわさびを食べたことがない外国人に向けて、日本原産で世界で最も育てるのが難しい植物として知られるわさびがどのようにして作られているのかをムービー「The Wasabi You Eat Probably Isn’t Wasabi」が解説しています。
The Wasabi You Eat Probably Isn’t Wasabi - YouTube
「あなたは本物のわさびを食べたことがありますか?」と問いかけるところからムービーはスタート。
「残念ながらそれは本物のわさびではないのです」
外国のレストランやスーパーマーケットで目にする「ワサビ」は、90%の確率で偽物です。
それはホースラディッシュ(セイヨウワサビ)です。本物のわさびはこんな植物。
本物のわさびは美しい緑色をしています。
鮫皮のわさびおろしですりおろしても……
美しい緑色。
わさびは世界で最も育てるのが難しい植物だと言われています。
わさびが育つまでに必要な期間は1年3カ月。
太陽の光はもちろん必要ですが、強すぎても弱すぎてもいけません。
わさび作りで一番大切なものは「わき水」。13度から18度の範囲が理想的だと言われています。
「わさびは水がすべてです。水が命」と、わさびを作る人は語ります。
一度植えたわさびが悪くなると、次のわさびの収穫までには1年半待たなければいけません。
長野県にある大王わさび農場。
創業100年になる老舗中の老舗です。
空中から撮影するわさび農場は、わさびと同じく美しい緑色をしています。
大王わさび農場で働くのは19人。
この人数で年間に30万から40万本のわさびを収穫しているとのこと。
わさび作りの作業は、稲作などのような機械化された作業と違い、基本的に手作業です。
そのため、わさびの価格は1ポンド(約450グラム)あたり80ドル(約8000円)と極めて高価。しかし、わさびの味と香りはわさびにしか出せません。
わさびとして食べるのは、根にも茎にもなる根茎と呼ばれる部分で、よく勘違いされるような「根」ではないとのこと。
辛みを出す植物は数あれど、「すっきりと鼻から抜ける辛み」はわさびならではのもので、これこそが本わさびの良さです。
また、辛みだけでなくあとに残る甘みが感じられる点で、深い味わいなのはわさびの大きな魅力だとのこと。
わさびは江戸時代から日本で愛されてきた食べ物です。
大王わさび農場では、受け継いできた作業を次世代に残していきたいとのこと。
ムービーを見ると、世界で最も育てるのが難しく、他の食材にはない辛みと甘みと香りを持つ本物の「わさび」を食べられる日本人は幸せだと感じざるを得ません。
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