サイエンス

地球外生命体が作る「ダイソン球」の存在が騒がれた恒星「KIC 8462852」の詳細調査によって一層謎が深まる結果に


はくちょう座の中にある恒星「KIC 8462852」は、不規則に光が弱まることが知られており、地球外生命体が作る構造物によって光が遮断されているのではないかと騒がれていました。そこで、より詳細な調査が行われたところ、説明がつかない現象が明らかになり、混迷は一層深まっています。

[1608.01316] KIC 8462852 Faded Throughout the Kepler Mission
https://arxiv.org/abs/1608.01316

The 'Dyson Sphere' mystery deepens: Bizarre star keeps dimming and no-one knows why
http://www.wired.co.uk/article/dyson-megastructure-mystery-deepens

かつて、地球よりも進んだ文明を持つ異星人は恒星からエネルギーを効率的に取得するために恒星全体をぐるりと構造物で取り囲んでエネルギーをゲットするのではないか、という仮説が宇宙物理学者のフリーマン・ダイソン氏によって提唱されました。このような恒星を取り囲む構造物は「ダイソン球」と呼ばれています。

By Kevin Gill

地球から1480光年の距離にあるはくちょう座の中にある恒星「KIC 8462852」が、不規則に減光するという現象が2015年にペンシルバニア大学のジェイソン・ライト博士によって指摘され、その原因についてさまざまな説が出されました。一般的に惑星が恒星を通過する時に光が遮られますが、惑星が原因であれば減光は周期的に起こります。しかし、KIC 8462852のケースでは減光は不規則で、長い場合には数十日間も減光し続けるという特異性がありました。しかも、最大で20%近くも光量が落ちることが判明。惑星であれば地球の1000倍の大きさの巨大な惑星が必要であることも分かり、複数の彗星が一度に通過したとも考えづらく、最終的に「地球外生命体が作り出すダイソン球ではないか?」という仮説が複数の科学者から出されることになりました。


そこで、より詳細に減光具合を調べることになり、カリフォルニア工科大学とカーネギー大学の研究者らがケプラー宇宙望遠鏡で観測されたデータを詳細に分析したところ、非周期的な鋭い減光だけでなく、恒星全体の輝度が不規則に変化していることが明らかになりました。

2009年から3年間はほぼ直線的に年間0.34%のペースで輝度が落ち続けたKIC 8462852は、2011年末ころからわずか7カ月の間に2%も輝度が急激に減少し、4年間に3%も輝度が減少していることがわかっています。モンテ博士はケプラー宇宙望遠鏡で観測された500以上の星を調べましたが、KIC 8462852と同程度に急激に明るさが減少している星はなく、KIC 8462852の特異性が際立つ結果になっています。


カリフォルニア工科大学のベンジャミン・モンテ博士はKIC 8462852の減光の原因について、惑星や彗星が衝突したためできたチリでできた雲によって光が遮られているという説を唱えていましたが、この説では3年間もの長期間にわたって急激に光量が減少することを説明することは困難だとのこと。「KIC 8462852の輝度の変化は驚異的なものです。観測された輝度変化の曲線を完璧に満たすような現象を提案するのは困難です」と述べ、KIC 8462852の謎はますます深まる結果となっています。

・つづき
「エイリアンの巨大建造物」と呼ばれる星が再び点滅を開始 - GIGAZINE

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in サイエンス, Posted by darkhorse_log

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