「意識」とは一体なんなのか?
私たちが持つ「意識」とは何なのか、人はなんとなく認識はしているものの、その問いに対する答えを言葉にして表現するのは非常に困難です。そんな意識について、科学系YouTubeチャンネルのKurzgesagtがアニメーションで解説しています。
The Origin of Consciousness – How Unaware Things Became Aware - YouTube
「意識」はおそらく自然界で最大の謎です。
意識は自分の周囲の環境と私たちの内部状態を把握させるものと言えます。
しかし、人は意識が何であるかを直感的に知っていますが、「意識とはなにか」を正確に言葉にしようとするのは雲をつかむようなもの。
哲学者や科学者までもが「意識の定義」については悪戦苦闘しており、様々な学派や意見が現れましたが、結論は出ていません。
人間に至るまでの進化の過程と同様、私たちの意識も自然の淘汰を経て進化してきたと考えられます。
そうだとすれば、「『無意識』からの最初の一歩」とは何だったのでしょうか?
「石は『意識』を持たない」ということには万人が同意してくれそうなものですが、「石は『意識』を持っている」と主張する汎心論者もいます。
しかし、石は自発的に動かないので意識があるのかないのかは、いずれにせよ証明不可能です。
ですので、生き物から意識の話を始めるとします。
生き物は自分の種の繁栄を目的として生きていくために食べ物を必要とします。
微生物の世界では生き物は手当たり次第無軌道に動き回り、特定の方向に動くということはなく、周囲の状況に対する意識はないといえます。原始的な意識とはおそらく「食べ物がある方に自力で動くこと」だと考えられます。
例えば、プラナリアの一種であるDugesia tigrinaは食べ物を求めているときもあれば求めていないときもあり、外部からの刺激に対する反射として動いているわけではなく、体内の状態によって動き方が変わります。
Dugesia tigrinaは頭部に備わった化学受容器を使って匂いを検知し食べ物にたどり着きます。食事が終わった後は、安全な場所に戻ってから食べたものを消化します。
しかし、嗅覚にのみ依存する生物は周囲で何が起こっているのかを把握できず、どこに向かっているのかもわかりません。
よって、意識の次のステップは、目のような知覚器官を持つことです。
視覚があれば自分自身がどんな場所にいるのかや、どこに食べ物があるかを把握でき、意識を人間に近い次元にまで引き上げてくれます。
しかし、単に視覚を持っただけの生物では、目で見える範囲にしか食べ物を求めることができず、岩の裏など見えない場所に食べ物があっても気がつくことはできません。
なので意識の次のステップは、食べ物が死角にある時にそのことを予想するというものになります。このレベルの意識を持つ生き物は、いったん視界外に食べ物が逃げても、追いかけ続けることが可能です。
そして次なるステップは「記憶する」ことになります。
記憶できるようになると、生き物はまったく別の行動をとっても……
記憶を思い出すことによって、元の活動を再開することが可能です。
記憶に関連した現象として、「物の永続性」という現象が挙げられます。これは対象が直接見えていなくても周囲の状況から対象の存在を把握できる能力です。
哺乳類や鳥類の一部はこの能力を持っているとわかっています。
人間は生後8ヶ月ほどでこの能力を持ち始める一方で……
ヒヨコは生後1日か2日で「物の永続性」の能力を修得します。
「物の永続性」の能力は、「時間の感覚」に繋がります。
時間の感覚は意識において重要なステップで、時間の感覚によって、「未来を予測すること」が可能になります。
例えば大人のニワトリは、より多い食事にありつけると予測している場合は、目の前の食事を食べないという判断をとることができます。
このことは、ニワトリは目の前にない報酬を思い浮かべるという能力を持っているということを意味しています。
これは大人の人間にとっても難問です。
カケスはこの能力に関するエキスパートで、自分が持っている餌をほかのカケスに横取りされそうな場合に、その餌を地面に埋めて隠すことさえやってのけます。
これはすなわち、カケスは「自分以外にも生き物が存在して、その生き物は自分とは異なる『意識』を持って動いている」という、「他者の『意識』」を認識しているということです。
「他人の思考を予測する」ということは、複雑なレベルの意識にとって、ものすごく重要です。
他人の思考を予測することによって、競争者に対して優位に立てます。
「言葉」は意識を異なる次元に引き上げてくれます。
人類は「言葉」のおかげで他人とやりとりすることができるようになりました。
我々はいまや「言葉」のおかげで、自分自身や世界について考えられるようになっています。
「何が意識の起源なのか」について話を戻すと、意識の起源はおそらく食料に向けて自分自身をまっすぐ動かすことから始まりました。
進化における淘汰によって、食料を意識して動く生き物は全く動かない生き物やランダムに動くだけの生き物より優位に立ちます。これは「食べ物を求めること」に端を発しています。
我々は進化の結果、宇宙を夢見たり超高層ビルを建てられるようになりましたが……
我々が次の食事には「何を食べようか」ということをついつい考えてしまうのは当然のことです。
我々は食べ物を手に入れるために多くの思考と工夫を注いできました。人類は現代になってようやく、ほんのちょっとの手間で食べ物を手に入れられるようになったのです。
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in サイエンス, 生き物, 動画, Posted by darkhorse_log
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