Googleが独自のクラウドゲームサービス「Stadia」を発表、Googleが全力全開で放つサービスの詳細まとめ
Googleはゲームストリーミングプロジェクトの「Project Stream」推進したり、ゲーム用コントローラーの特許を出願したりしており、独自のゲームストリーミングサービスを発表するのではとウワサされてきましたが、ついにPC・スマートフォン・タブレット・TVなどからストリーミングでゲームをプレイできるクラウドゲームサービス「Stadia」を発表しました。
Google unveils Stadia cloud gaming service at GDC 2019 - The Verge
https://www.theverge.com/2019/3/19/18271702/google-stadia-cloud-gaming-service-announcement-gdc-2019
Google Stadia Hands-on Impressions From GDC 2019 - GameSpot
https://www.gamespot.com/articles/google-stadia-hands-on-impressions-from-gdc-2019/1100-6465694/
Stadia Official Reveal: The Future of Gaming from Google - YouTube
Introducing Stadia from Google - YouTube
アメリカ・サンフランシスコで開催中のゲーム開発者向け会議GDC 2019の中で、Googleがクラウドゲームサービスの「Stadia」を発表しました。Googleのサンダー・ピチャイCEOは、Googleがあらゆるプラットフォームでゲームをストリーミングできるようにするという野心を持っていることを話しており、StadiaはクラウドからChromeブラウザやChromecast、Pixel端末にゲームをストリーミングできるサービスとなるとのこと。なお、サービススタートは2019年中を予定しており、初めはアメリカ・カナダ・イギリス・ヨーロッパで提供されることとなる模様。
Stadiaの役割については、ソニーやMicrosoftでも働いていたGoogleのフィル・ハリソン氏が語っています。Googleは既に2019年1月に「Project Stream」を通してChrome経由で「アサシン クリード オデッセイ」をストリーミングするテストを行っており、これらのテストに参加したゲーム実況者およびYouTubeと協力し、Stadiaを拡大していく方針であることを明かしています。
GoogleはYouTubeでStadiaのデモンストレーションを披露しています。その内容は、YouTuberが配信しているゲーム実況映像を見て、そこに表示されている「今すぐプレイ」というボタンを押すことで、Stadiaですぐにゲームがプレイ可能になるというものでした。ハリソン氏は「Stadiaはすぐにプレイできるようになります」と語っており、ゲームをダウンロードしたりインストールしたりする必要はなく、サービススタート時にはPC・TV・スマートフォン・タブレットの間で自由にゲームがプレイできるようになるとのこと。
Stadiaは既存のUSBコントローラーでもプレイ可能ですが、ゲーム体験をより強化する専用のStadiaコントローラーも発表しています。ごく一般的なキー配置のコントローラーですが、2本のジョイスティックの間にはStadiaのロゴが入ったボタンがあります。
専用コントローラーはクラウドのゲームセッションとリンクするために使用端末とWi-Fiで直接接続することとなる模様。海外メディアのThe Vergeは「この接続方法はレイテンシーやゲームをプレイする端末を別の端末に変更する際に役立つものと思われる」と記しており、ストリーミングでゲームをプレイする際にどうしても気になりそうなレイテンシーの低減にも一役買うこととなりそうです。なお、専用コントローラーではワンボタンでゲームのプレイ映像を録画してYouTube上で共有したり、別のボタンを使用してGoogleアシスタントを起動したりすることもできます。
さらに、GoogleはStadiaでのゲーム体験を強化するために、データセンターのグローバルインフラストラクチャーを利用し、サーバーが世界中のゲームプレイヤーにできるだけ近くなるような施策も講じています。インターネットを介してゲームを効果的にストリーミングするには待ち時間を短くする必要があり、これはStadiaでゲームを快適にプレイするために重要な要素となります。そのためにGoogleはAMDと提携してデータセンター向けのカスタムGPUを作成しており、このチップはPS4 Proに搭載されているGPUの4.2TFLOPSやXbox One Xの6TFLOPSを超える、10.7TFLOPSの性能を有しているとのこと。また、Stadia用の各インスタンスもカスタム製の2.7GHz x86プロセッサを搭載する模様。
GoogleはStadiaのサービススタート時には最大4K・60fpsでのゲームプレイに対応するとしており、将来的には最大8K・120fpsのサポートも予定しています。
GoogleのStadiaで最初に発売されるゲームの1つは「Doom Eternal」で、4K・HDR・60fpsでのゲームプレイをサポートします。Doom Eternalの発売日はまだ決まっていませんがPC・Nintendo Switch・PS4・Xbox Oneでもプレイ可能になるとのこと。Stadiaはクロスプラットフォームでの完全なプレイも実現するため、開発者はクロスプラットフォームでのマルチプレイヤーモードやクラウドセーブ機能を採用することができます。
また、Googleはゲーム開発者がStadiaで配信するゲームタイトルに独自のデザインスタイルを適用することができることも明らかにしています。これは機械学習ベースのスタイル転送ツールを用いることで、ゲームの各ビデオフレームで簡単にスタイルを模倣することができるようになるというもので、以下の画像のようにフィンセント・ファン・ゴッホの「星月夜」風スタイルをゲーム全体に適用することも可能です。
加えて、Googleは各プレイヤーがゲームの瞬間瞬間を簡単に共有できるようにする「State Share(状態共有)」と呼ばれるものも用意しており、これまでのゲームの共有方法を大きく変えることができるようになるとのこと。Q-Gamesの創設者であるDylan Cuthbert氏は、この「State Share」機能を中心にゲーム全体を構築していると語っています。
GoogleはYouTubeがStadia推進にとって大きな鍵となることを理解しています。2018年にYouTube上では500億時間以上のゲーム関連コンテンツが視聴されていたため、GoogleはStadiaユーザーが簡単にゲーム録画やゲームプレイのハイライトをYouTubeにアップロードできるように設計しているとのこと。また、Stadiaのクラウドプレイ機能には、YouTubeコンテンツ作成者とのマッチングを可能にするロビーシステムが含まれているそうです。
さらに、GoogleはStadiaの独占タイトルを制作するために、新しい独自のゲームスタジオ「Stadia Games and Entertainment」を開設しています。ソニーやElectronic Arts、Ubisoftといった企業で働いてきたゲーム業界のベテランであるジェイド・レイモンド氏がこのプロジェクトを推進しているそうです。また、Googleは100以上のゲームスタジオが既にStadia用の開発キットを入手しており、1000以上のクリエイターおよびエンジニアもStadia用タイトルの開発に取り組んでいるとのことです。
ただし、GoogleはStadiaのサービス開始時期や価格については一切明かしていません。
なお、GDC 2019の中で開催された、GoogleがStadiaを発表した基調講演の様子は以下のムービーから見ることができます。
Watch Google’s Stadia Event In 5 Minutes - YouTube
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