「ペンが走ってお絵描きが楽しい」ワコムの液タブ・ペンタブ用のスリムペン「Wacom Pro Pen slim」レビュー
ワコムの液晶ペンタブレットシリーズの「Wacom Cintiq Pro」や「Wacom Cintiq」、PC一体型液晶ペンタブレットシリーズの「Wacom MobileStudio Pro」、さらにはペンタブレットの「Wacom Intuos Pro」でも使える、ありそうでなかったスリムタイプの専用ペン「Wacom Pro Pen slim」が登場しました。Wacom Pro Pen 2を直径9.5mmにした鉛筆のように持ちやすいタイプとのことで、実際にお絵描きのプロが使うとどれくらい描き心地が変わるのかを、イラストレーターのほしのるるさんに使ってもらって確かめてみました。
Wacom Cintiq : 液晶ペンタブレット| Wacom
https://www.wacom.com/ja-jp/products/pen-displays/wacom-cintiq#Getting-Started
◆Wacom Pro Pen slimフォトレビュー
「Wacom Pro Pen slim」はこんな感じの箱の中に入っています。
中には金属製のケースが入っており……
スライドさせると中にWacom Pro Pen slimが収納されていました。
専用ケースの頭部分はクルッと回すとフタが外れ、中にWacom Pro Pen slim用の替え芯が収納されていました。
というわけでWacom Pro Pen slimを手に持ってみるとこんな感じ。長さ157.05mm、直径は9.5mmでグリップ部分だけ少し太い11mm。細身のシャープペンシルやボールペンと似たサイズです。Wacom Pro Pen slimは電磁誘導方式を採用しており電池なしで使えるため、「ペンのバッテリー切れでお絵描きできない」といったことが一切ありません。
左がWacom Pro Pen slimで、右がWacom Pro Pen 2。どちらも筆圧感知は8192レベルに対応。
並べてみると、長さは同じですがWacom Pro Pen slimは直径がかなり小さくなっていることがわかります。また、Wacom Pro Pen slimは滑り止めの付いたグリップ部分が、Wacom Pro Pen 2よりもペン先側に長くなっています。なお、グリップ部分はWacom Pro Pen 2が柔らかめで太めのシャーペンのグリップに近い感覚で、Wacom Pro Pen slimはかなり固めで鉛筆のような感じでした。
グリップ部分には両方とも2つのボタンが付いており、好きなアクションを割り当て可能。
実際に手に持ってみると重さの違いは明らかだったのですが、はかりで計測してみるとWacom Pro Pen 2は15g。
Wacom Pro Pen slimは13gとわずか2gしか重さの違いはありませんでした。
なお、専用ケースは62gです。
◆実際にWacom Pro Pen slimでお絵描きしてみた
というわけで、さっそくWacom Pro Pen slimを使ってイラストレーターのほしのるるさんにお絵描きしてもらいました。なお、ほしのるるさんは普段「Wacom Cintiq Pro 24」と「CLIP STUDIO PAINT」の組み合わせでお絵描きをしているため、いつも使っているのはペン軸の太いWacom Pro Pen 2だそうです。また、外出時にもお絵描きできるように、Microsoftの「Surface」とスタイラスペンの「Bamboo Ink」も持っているそうです。
Wacom Pro Pen slimと一緒に使うのは、2019年1月11日に発売された液晶ペンタブレットのWacom Cintiq 16と……
Wacom Cintiq 16用スタンドのセット。
使用時は特別な設定など行う必要が一切なく、液晶ペンタブレットの画面をなぞるとそのまま線が引けました。Wacom Pro Pen slimを使用したあとにワコムのタブレットドライバを見ると、入力デバイスに自動でWacom Pro Pen slimが追加されており、そのままペンの位置調整や筆圧感度の設定が行えます。
実際にお絵描きしながらWacom Pro Pen slimとWacom Pro Pen 2を比較すると、数字上はわずか2gの差しかありませんが、線を引くとかなり重さも描き心地も異なる模様。デジタルではなく紙の上にお絵描きする際もペン軸の太いシャープペンシルやボールペンを使うというほしのるるさんは、これまでWacom Pro Pen 2のサイズ感に不満を持つことはなかったそうです。
逆に、普段からペン軸の太いものばかり使っているため、Wacom Pro Pen slimが細すぎるのではと懐疑的だったようですが、実際に使ってみると重さが鉛筆に近い感覚で、「Wacom Pro Pen 2がシャーペンなら、Wacom Pro Pen slimは鉛筆」というくらい重さの違いをはっきりと感じられたそうです。
描き心地は「良い意味で線が流れるというか。手首を動かして描くのがサラサラ進む」とのことで、最初は「Wacom Pro Pen slimはラフ画なんかを描く際に使うと作業スピードがアップしそう。逆に、Wacom Pro Pen 2はどっしりしていてしっかり線を引けるので、より丁寧に線を引く際に使えそう」と語っていました。
以下は上がWacom Pro Pen slimで、下がBamboo Ink。太さはかなり近いのですが……
Bamboo Inkは単6電池で動作するスタイラスペンであり……
重さも19gとかなり開きがあります。実際に手に取ってWacom Pro Pen slimと比べてみると違いは明らかで、目をつぶっていてもはっきりとわかるレベルで重さが異なります。また、Bamboo Inkは重心もペンの頭側に寄っており、ペンが振れて疲れるそうです。
ペンが軽いためかWacom Pro Pen slimはかなりペンが走るそうで、ほしのるるさんは「サクサク描けて楽しい!」とのことでした。Wacom Pro Pen slimは髪の毛や洋服など、動きのある線を描く際に特に活躍してくれたそうで、「個人的には輪郭や目は丁寧に描きたいけど、髪の毛や揺れもの(服やリボンなど)は動きがあるので勢いがある線の方がそれらしく見える。顔周りは丁寧に描いて、髪の毛などはザクザク描く。そんな描き方が楽しい」と語ってくれました。
ラフ画や線画を描くにはかなり良さげということで、続いて色塗りに突入するほしのるるさん。
Wacom Pro Pen slimとWacom Pro Pen 2の描き心地の違いを、ほしのるるさんは「アナログで絵を描く際の『下敷きをしかない時の描き心地』がWacom Pro Pen 2で、『下敷きをしいた時』の描き心地がWacom Pro Pen slim」とコメント。Wacom Pro Pen slimはペンが走るような感覚があり、最初は走り過ぎる感覚すらあった模様。もちろんお絵描き時間が経過するとWacom Pro Pen slimにかなり慣れてきたようで、描き始める前に懸念していた「丁寧な色塗り」時にも問題なく使えていました。
ただし、「ペンが走って楽しい!」と調子に乗って髪の毛の描き込みを想定以上にやり過ぎてしまったようで、色塗り時に「こんなはずでは……!」と悪戦苦闘していました。
実際にWacom Pro Pen slimを使ってお絵描きしてもらったところ、普段は太いペン軸のものを使っていても「重い」とは感じていなかったものの、実際に比較してみると「こんなに違うのか!」というくらい重さの違いが感じられたそうです。最初は太いペン軸派であることを公言していたほしのるるさんですが、実際に使ってみるとWacom Pro Pen slimもかなり好印象だったようで、「Wacom Pro Pen 2からWacom Pro Pen slimに乗り換えても何の問題もなさそう」と語ってくれました。また、Wacom Pro Pen slimは軽いためペンが想像以上に走るそうで、「サクサク描けてお絵描きが楽しい!」としきりに言っていたので、Wacom Pro Pen 2の描き心地が重たいと感じている人や「ペン軸は断然細いもの派」という人にはピッタリのペンに仕上がっているのかもしれません。
というわけで完成したイラストはこんな感じ。作業時間は1時間30分弱で、ペンがサクサク走るため髪の毛の描き込みがはかどったようです。
なお、Wacom Pro Pen slimは税込9720円でワコムの公式オンラインストア上で販売されています。
Wacom Pro Pen slim (KP301E00DZ) | ワコムストア | Wacom
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