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「リンク税」などを含むEUの改正著作権指令案への大規模な反対運動が勃発

by freestocks.org

EUが成立させようとしている改正著作権指令案は、リンク税の導入やプラットフォームの運営者に著作権違反の罰則を科すなど、著作権の管理をこれまで以上に厳格化するものです。最終文書が2019年2月13日に発表されたこの改正著作権指令案に対しては、エンターテインメント産業や芸術家団体などを巻き込んだ大規模な反対運動が展開されています。

The Worst Possible Version of the EU Copyright Directive Has Sparked a German Uprising | Electronic Frontier Foundation
https://www.eff.org/deeplinks/2019/02/worst-possible-version-eu-copyright-directive-has-sparked-german-uprising

改正著作権指令案の中で問題視されているのは、リンクを掲載するだけで著作権料が発生する第11条(リンク税)と、SNSやYouTubeなどのプラットフォームに対して著作権の厳格な保護を求めるだけでなく、著作権侵害の責任を求める第13条です。第11条が発効した場合、ニュースサイトへのトラフィックが45%減少するといった予測があるほか、第13条は「企業が魔法の杖を生み出すことを強いている」などといわれています。

また、この改正著作権法指令案に対しては、Wikipediaを運営するウィキメディア財団が「インターネットを破壊する」と訴えたり、YouTubeのCEOが「公正でない」と強く非難したりと、各界から懸念や反対の声が寄せられています。

しかし、これほど多数の反発があったにもかかわらず、EUは改正著作権法指令案の最終文書の合意に向けた交渉を2019年2月13日に終了し、承認に向けた最終投票が行われることになりました。改正著作権法指令案が承認されるのを防ぐには、2019年3月25日から28日、および2019年4月に欧州議会議員全員によって行われる最終投票で反対多数を勝ち取るしかありません。

リンク税を課す改正著作権法指令案が承認されるのを防ぐにはどうすればいいのか? - GIGAZINE


EU内部でも改正著作権法指令案に対する反発は根強いものがあります。これまでにも音楽やスポーツ、放送事業などに携わる多数のエンターテインメント企業がロビー活動を行ったり芸術家団体が反対したりと、反対活動がありました。

実はこの改正著作権法指令案の最終投票の数週間後に、直接選挙で行われる欧州議会議員選挙があります。そこで、活動家たちは欧州議会議員に対して圧力をかけ、改正著作権法指令案の承認を防ごうとして反対運動を活発化させています。特に、ドイツの欧州議会議員であるAxel Voss氏が改正著作権法指令案を主導しており、ドイツ国内からの反発が重要になるとのこと。

ドイツの消費者協会は改正著作権法指令案を非難し、「改正著作権法指令案は消費者だけでなく関連する全ての人々に対して恩恵を与えません」と主張し、欧州議会議員が改正著作権法指令案を拒否するべきだとしています。すでにドイツのケルンでは数百人によるデモ活動も行われており、最終選挙に向けて今後もデモ活動が行われる予定です。デモに使われるハッシュタグは「#Artikel13Demo」とのこと。


EU Commission calls opponents of Copyright Directive a "mob," as thousands take to the streets for the #Artikel13Demo / Boing Boing


また、改正著作権法指令案に反対する人々による署名も続々と集まっており、記事作成時点で世界各国から500万人弱の賛同が得られていました。

キャンペーン · European Parliament: Stop the censorship-machinery! Save the Internet! · Change.org

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