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キューバの「謎の音響攻撃」被害でカナダ政府も外交スタッフの人数を半減させると発表

by Danny James Ford

キューバでは駐在するアメリカやカナダの政府職員、およびその家族が「謎の高周波音による健康被害」を訴えるケースが相次いでおり、難聴や脳の損傷といった影響が出ていると報じられています。「キューバによる音響攻撃ではないか」という推測も広がる一方で、キューバ政府は音響攻撃について否定しており、いまだに外交官らを襲った健康被害の原因は特定されていません。そんな中、カナダ政府は職員らの健康を守るため、「キューバ駐在の外交スタッフを半減する」と発表しました。

Statement on health and security of Canadian diplomatic staff in Havana, Cuba - Canada.ca
https://www.canada.ca/en/global-affairs/news/2019/01/statement-on-health-and-security-of-canadian-diplomatic-staff-in-havana-cuba.html

More mysterious brain injuries in Cuba; Canada halves staff after new case | Ars Technica
https://arstechnica.com/science/2019/01/canada-halves-diplomatic-staff-in-cuba-after-another-mysterious-brain-injury/

キューバで発生した「謎の音響攻撃」の原因としては、指向性を持つ音響兵器であるLong Range Acoustic Deviceに似た兵器による悪意を持った攻撃の可能性や、超音波同士が干渉したことによる予期せぬアクシデントだったという説などが浮上しています。

「キューバのアメリカ大使館への謎の音響攻撃」の原因は「超音波の干渉」にあるとする説が登場 - GIGAZINE


また、2019年1月にはイギリスの研究者らによって、「カリブ海周辺に生息するコオロギの一種が発する鳴き声」が、大使館職員らが聞いた高周波音の原因であった説なども提唱されました。このように外交官らの健康被害の原因としてさまざまな説が浮上しているものの、今のところ決定的な結論は出ていません。

「キューバによる音響攻撃だ」ともいわれたノイズ音が「コオロギの鳴き声」だった可能性が浮上 - GIGAZINE


アメリカと同様に外交官やその家族が被害を訴えていたカナダ政府も、キューバにおける謎の現象について調査を続けてきました。そんな中、2018年の夏にキューバへ着任したカナダ政府の職員が、2018年12月29日に健康被害を訴えたとのこと。症状には吐き気やめまい、集中力の低下、頭痛などが含まれていました。

このケースによってカナダ政府職員やその家族がキューバで健康被害を訴えたのは14例目となり、被害を受けた人々は医療処置を受け続けているそうです。そこでカナダ政府は外交スタッフの身の安全を守るため、キューバの首都ハバナに駐在する外交スタッフの人数を、最大数の半分にまで減少させることを発表しています。

アメリカ政府は2017年9月に在米キューバ大使館の外交官らに対して退去要請を行っただけでなく、ハバナのアメリカ大使館から半数以上のスタッフをアメリカに帰国させるなどの措置を取っています。一方でカナダ政府はこれまで大使館職員を帰国させるなどの行為はしておらず、キューバと協力して原因の究明に取り組んでいました。

しかし2018年4月には「キューバに駐在する政府職員の家族を帰国させる」決定を下し、キューバ駐在は家族を連れて行ってはならないポストに変更されたとのこと。そして2019年1月の発表により、カナダ大使館の政府職員数が半減することが決定されました。

by Yuting Gao

キューバの駐カナダ大使であるJosefina Vidal氏はカナダ政府の決定を受けて、「今回の行動はアメリカによるキューバの非難に賛意を示すものであり、理解できません。アメリカ政府の中にはキューバとの緊張関係をあおり、キューバを脅威として描こうとする人々がいます」と批判しています。また、カナダ政府が人員を削減したところで問題の解決にはつながらず、原因究明から遠ざかるだけだと述べました。

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in メモ, Posted by log1h_ik

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