銃乱射事件を起こそうとする人物をAIでいち早く特定するスタートアップが登場

銃社会のアメリカでは頻繁に銃乱射事件が起きており、2026年3月にはテキサス州オースティンの繁華街で銃撃事件が発生して3人が死亡して10人以上が負傷したほか、バージニア州ノーフォークの大学では教室内で発砲事件があり1人が死亡して2人が負傷しました。そんな中、テキサス州に拠点を置くAngel ProtectionというAIスタートアップが、AIを使用して銃乱射事件を起こそうとする人間をいち早く特定する技術を発表しました。
The Texas startup trying to stop mass shootings with AI | Mashable
https://mashable.com/article/angel-protection-ai-mass-shooter-detection-sxsw-2026

Angel Protectionは2022年、テキサス州ユバルデで発生したロブ小学校銃乱射事件を受けて設立されたAIスタートアップです。この事件では小学校へ侵入した男が銃を乱射し、19人の児童と2人の教員が死亡する惨事となりました。
2人の子どもを育てる創業者のルイス・マシューズ氏はデータサイエンティストとして、AIと画像認識技術を活用することで銃乱射事件の被害を軽減し、人命を救うことができると考えたとのこと。マシューズ氏はウェブメディアのMashableに対し、「地方レベルから連邦政府に至るまで、あらゆるレベルで銃乱射事件の問題が深刻化しています」とコメントしています。
Angel Protectionのテクノロジーは既存の監視カメラと連携し、映像をスキャンして銃器を持っている人間を識別するというものです。システムが銃器を検知すると、監視センターにいる人間の審査担当者に警告して法執行機関に通報する仕組みで、犯人が銃を持ち出してからわずか10秒以内に通報できるとAngel Protectionは主張しています。
Angel Protectionは2026年3月に開催されたテクノロジーや映画、音楽のイベントであるSXSWに出展し、自社の銃器検出テクノロジーを実演しました。実際にSXSWの会場で撮影された動画は、以下のXへの投稿で確認できます。
Can AI be used to identify mass shooters and stop them more quickly?
— Timothy Beck Werth (@beck_werth) March 16, 2026
At SXSW I talked to Lewis Matthews, founder of Angel Protection Systems, which is trying to do exactly that. He says they can identify guns and send law enforcement photos of suspects before anyone calls 911. pic.twitter.com/L2823jDcye
カメラに写った男性が銃器の模型を持っています。

よく見ると銃器の周囲が赤色の枠で囲われ、「rifle(ライフル)」とタグ付けされていることがわかります。

続いて男性は拳銃を取り出しました。

すると、すぐに拳銃も識別されて赤色の枠で囲われ、「gun(拳銃)」とタグ付けされました。

銃器を動かしてもしっかり追跡されています。

マシューズ氏はシステムを開発するにあたり、「銃乱射事件が起きてから通報するまでの時間」に着目しました。マシューズ氏が1999~2025年に起きたすべての銃乱射事件を分析したところ、犯人が最初に発砲してから誰かが緊急通報するまでの平均時間は90秒だったとのこと。
人々は発砲音が聞こえても、花火の音やドアが閉まる音などのより現実的な物音だと考えてすぐには通報しないため、事件発生から通報までにはラグが発生してしまいます。さらに、法執行機関へ通報したとしても、通報者によって証言する犯人の容姿が異なる場合もあり、警察が到着する前に正しい情報を入手するのは難しいそうです。
これに対しAngel Protectionのシステムは、監視カメラの映像を使用して潜在的な銃乱射犯を迅速に特定するだけでなく、犯人の顔写真や位置情報を直接送信することもできます。マシューズ氏は、「私たちはAIを使って銃を検知し、人間がそれを確認することで、90秒かかっていた作業を10秒未満に短縮しています。これらは極めて厳格な責任体制のもとで行われています」とコメントしました。
プライバシー専門家はAIが大量監視に使われるリスクを警告していますが、Angel Protectionの最高技術責任者は、プライバシー保護のため情報処理はすべてシステム内部で行われ、脅威が特定された場合のみAngel Protectionへ通知されると主張しています。
なお、マシューズ氏によると人間の審査員を介入させることで誤検知を減らしているものの、テキサス州のように銃の携行が認められている地域では、依然として誤検知が発生するとのこと。初期の問題のひとつとしては、適切な制服を着ないでライフルを持ち運ぶ予備役将校訓練課程の学生が挙げられています。
Angel Protectionは設立間もないスタートアップですが、すでにテキサス州内で約2500台の監視カメラ映像をチェックし、1秒に2回の頻度でスキャンを行っています。これまでのところ、学校・病院・政府機関などと提携しているとのことです。
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