オウム真理教の事件に迫ったノンフィクション「A3」を作家・森達也が無料公開
オウム真理教を扱ったドキュメンタリー映画「A」「A2」やゴーストライター問題で話題となった音楽家・佐村河内守氏のドキュメンタリー映画「FAKE」、国鉄の下山定則総裁が死亡した事件を扱った書籍「下山事件(シモヤマ・ケース)」などで知られる映画監督・作家の森達也さんが、自著「A3」をコンテンツプラットフォーム・noteで無料公開しています。
『A3』無料公開にあたって|森達也(映画監督・作家)|note
https://note.mu/morit2y/n/nde972b9f0eac
「A3」は、森さんがオウム真理教(のちに改称し現在は「Aleph」)の姿を描き出したドキュメンタリー映画「A」、および「A2」に続くものとして、2010年に執筆したノンフィクションで、2011年に第33回講談社ノンフィクション賞を受賞しました。
noteによれば、森さんはオウムに対して「世に問いたいこと、言いたいこと、伝えたいことが、ずっと自身の内側で飽和している。溢れかけて」いて、それを伝える上で重要な作品である「A3」を「一人でも多くの人に読んでほしい。もっと多くの人に知ってほしい。もっともっと気づいてほしい」という思いがあったとのこと。そこで、作家として「本来ならギャランティのない仕事は受けるべきではない」ながらも、無料公開することにしたそうです。
僕の転機はオウムだ。地下鉄サリン事件をきっかけに映画を撮り、本を書き、そして今がある。でも興味の焦点はオウムそのものではなく、オウムによって激しく変化した日本社会だ。そしてその変化は今も続いている。処刑は行われたけれど、まだ遅すぎない。まだ間に合う。その思いで公開します。
— 森達也(映画監督・作家) (@MoriTatsuyaInfo) 2019年1月24日
本書は2012年に文庫化され、現在も版を重ねて刊行が続いている書籍で、「現在も版を重ねているのに無料公開など前例がない」と森さん自身が書くとおり実現は難しそうに思えるのですが、単行本担当である集英社インターナショナルの高田功さん、文庫本担当である集英社の中山哲史さん、文庫本の解説を担当した斎藤美奈子さん、PLAYBOY連載時にイラストを担当したイラストレーター・山本重也さんがそれぞれ快諾してくれたことで、書籍化時に割愛されたイラストまで含めた形での無料公開が実現しました。
なお、森さんと斎藤さんは2009年7月からオウムに限らず時事問題などを往復書簡のような形で語る「WEB対談」を行っており、その全記事が現代書館のサイトで読めるようになっています。
斎藤美奈子・森達也対談 (全記事)
http://www.gendaishokan.co.jp/wWWWWW101.htm
2011年3月9日には、斎藤さんが「A3」についての感想を記しています。
第二十五回 『A3』
http://www.gendaishokan.co.jp/article/W00028.htm
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