ネットサービス

確率や統計の数学理論を視覚化してイメージによる理解を可能にするサイト「Seeing Theory」


数学の理論を直感的に理解できる人はごく一握りで、イメージのしづらさ故に苦手意識を持つ人も多いはずです。起こる現象をビジュアル化することで、確率、分散などの数学の理論の理解を助けるサイト「Seeing Theory」をブラウン大学のダニエル・クニン博士らが開発して公開しています。

Seeing Theory
https://seeing-theory.brown.edu/

上記サイトにアクセスして、「Start」をクリックすると……


「Chapter 1(第1章)」として「Basic Probability」(確率基礎)が表示されます。章ごとに3つの項目があり、第1章は「Chance Events」「Expectation」「Variance」となっています。


「Chance Events」をクリックすると……


左に説明、右にイメージが表示されます。説明文には例として、コインを投げて出るのは「表」「裏」のいずれかで、それぞれ出る確率は2分の1であることが書かれています。


このコインの裏表の確率を体感するための「ボタン」が説明の中にあります。ボタンをクリックすると、コインが投げられ表(H)か裏(T)が出て、左の棒グラフにコインの表裏どちらが出たのかが割合で記されていきます。試しに「Flip the Coin」を1回クリックすると、「T」が出たので、左の棒グラフにはT部分にのみ棒グラフが出現。


「Flip the Coin」を何度もクリックすると、出る目がバラけて棒グラフは変化していきます。下の画像の時点では「H」が優勢です。


「ちまちまクリックするのは面倒だ」という人のために、100連続クリックボタンもあります。「Flip 100 times」をクリックすると、100回コインを投げる様子が早回しで再生され、棒グラフはほぼイーブンの状態へと変化しました。コインを投げれば投げるほど、表と裏が出る確率は等しくなっていくことが棒グラフの動きから理解できます。


次に「Expectation」の項目。Expectationは日本語では「期待値」と呼ばれます。説明文にはサイコロを振ったときに出る目を例に、期待値について数式を交えて定義が説明されています。


説明の中の「Roll the Die」をクリックすると、最初に「6」の目がでました。この時点では当然ながら平均値は6。もう一度クリックすると、次は「2」が出て平均値は4に変化しました。


クリックを繰り返すと平均値が変化していきます。無限にクリックして収束する値が期待値です。


先ほどと同じく100連続クリックボタンの「Roll 100 times」をクリック。


300回ほどサイコロを振ると値はこの例の期待値の「3.5」に限りなく近づくことがわかりました。


なお、各章の最後にある「Download」をクリックすると……


各章に関する論文のPDFファイルをダウンロードすることができます。


第2章は「Compound Probability」(複合的な確率)として「Set Theory」「Counting」「Conditional Probability」の3つの項目があります。


「Set Theory」は「集合」に関するもの。右のイメージにはベン図が表示されています。


集合の説明の下にあるボタンを使ってテキスト欄に「A∩B」と入力し、「Submit」をクリックすると……


A(オレンジ色)とB(緑色)の共通部分が黄色で表示されました。


「A∪(B∩C)」と入力すると……


こんな感じに。


「Conditional Probability」は、AからCの各条件を障害物に見立てて、ボールを上から落とした時にはねるボールを事象に見立てたアニメーションで「条件付き確率」が解説されています。


各ボタンをクリックして条件の確率を高めると、障害物の長さが長くなります。アニメーションを見て、条件付き確率の概念がイメージしやすくなっています。


第3章は「Probability Distributions」(確率分布)で、「Random Variable」「Discrete and Continuous」「Central Limit Theorem」の3項目。


「Discrete and Continuous」では、離散的・連続的な2つの確率分布をそれぞれビジュアル化できます。


離散的なものとして、「Binomical」を選択すると……


二項分布」(確率質量関数)がグラフで表示されました。


グラフは拡大・縮小したり……


スライダーを調整して累積分布関数(オレンジ色)を表示することも可能です。


他にも第4章「Frequentist Inference」には「Point Estimation」「Confidence Interval」「The Bootstrap」


第5章「Bayesian Inference」には「Bayes' Theorem」「Likelihood Function」「Prior to Posterior」


第6章「Regression Analysis」には「Ordinary Least Squares 」「Correlation」「Analysis of Variance」など、章が進むごとに高度な確率・統計の理論について、イメージで学習できます。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
「数学の概念」を視覚的かつ美しく表現したグラフィックいろいろ - GIGAZINE

世界を変えた17の方程式 - GIGAZINE

コンピュータを進化させてきた偉大なるアルゴリズムまとめ - GIGAZINE

アルゴリズムとプログラミングをビジュアルで一挙に理解できる「VisuAlgo」 - GIGAZINE

数あるソートアルゴリズムをビジュアル化し堪能できるサービス「SORTING」 - GIGAZINE

アルゴリズムをビジュアル表示できコードでも確認できるサイト「Algorithm Visualizer」 - GIGAZINE

in レビュー,   ネットサービス,   サイエンス, Posted by darkhorse_log

You can read the machine translated English article here.