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「20世紀初頭には車の3台に1台が電気自動車だった」など知られざる電気自動車の歴史とは?

by Wolfram Burner

電気をエネルギー源として走行する電気自動車といえば、最新技術がつぎこまれた結果としてようやく開発されたようなイメージがあります。しかし、実は電気自動車には19世紀から開発が行われてきた長い歴史があり、一時期は車全体のうち3分の1が電気自動車だった時代もあったとアメリカのメディアBloombergがまとめています。

171 Years Before Tesla: The Evolution of Electric Vehicles - Bloomberg
https://www.bloomberg.com/news/photo-essays/2019-01-05/171-years-before-tesla-the-evolution-of-electric-vehicles

研究者の中には1800年代はじめから電池で走る自動車の開発を行っており、1832年ごろにはスコットランドの発明家であるロバート・アンダーソンが再充電のできない一次電池を使って電池式自動車を開発したとされています。また、1890年ごろにはアメリカ・アイオワ州の科学者であるウィリアム・モリスンが6人乗りの電化ワゴンを開発したとのこと。

1899年にはベルギーのレーシングカードライバーのカミーユ・ジェナツィが、自分自身が開発した電気自動車に乗って史上初めて時速100kmを超えるスピードで走行を行いました。19世紀末までには電気自動車のタクシーが増加し、1899年9月13日にはニューヨークでヘンリー・ブリスが電気自動車のタクシーにひかれて死亡し、史上初の交通事故死者となりました。


20世紀に入るとアメリカにある全自動車のうち3分の1が電気自動車となり、道路には電気自動車用の充電スタンドなども用意されていました。電気自動車はガソリン車よりも静かで清潔であり、操縦も簡単であるとして女性にもよく売れたとのこと。

発明家のトーマス・エジソンフォード・モーターの創設者であるヘンリー・フォードは電気自動車の開発を進め、1914年には「100マイル(約160km)走る実用的な車を開発する」と記者に述べたこともありましたが、最終的にプロジェクトは放棄されてしまったそうです。一方でオーストリアの自動車工学者であるフェルディナント・ポルシェは、世界で初めてのハイブリッド車を作り出しました。


一時期は大きな人気を誇った電気自動車でしたが、フォードがガソリン車であるT型フォードの製造にライン製造方式を導入してガソリン車が大衆に普及したり、ガソリン車のエンジンを簡単に始動できるセルモーターの導入が進んだりした結果、電気自動車のシェアは減少していきます。1930年代初頭には、電気自動車はほとんど残っていなかったとのこと。

完全に消え去ったかに見えた電気自動車でしたが、1954年には初めて電動のゴルフカートが商用化されるなど、一部の用途に使われ続けていたそうです。1960年代には環境汚染の深刻化により、ゼネラルモーターズを含むアメリカの自動車メーカーが協力し、空気を汚染しない電気自動車のコンセプトモデルを開発するなどしていました。1970年代初頭にはバッテリーの容量が大幅に大きくなったため、電気自動車の実用化がさらに現実的なものとなりつつありました。しかし、その一方でやはりバッテリーを用いた電気自動車には性能面や航続距離に問題が残り、電気自動車が広く受け入れられることはありませんでした。

1990年代には排ガス規制が強化され、自動車メーカーはガソリン車の代替となる電気自動車にますます焦点を当てるようになります。1997年にゼネラルモーターズはGM・EV1という電気自動車を量産し、アメリカの一部のユーザーを対象にリースしました。また、トヨタ・プリウスホンダ・インサイトなどのハイブリッド車も登場し、日産はアルトラEVというリチウムイオンバッテリー搭載の電気自動車を開発しています。


2003年末にはゼネラルモーターズがGM・EV1の計画を中止してしまいましたが、同年に設立されたテスラ・モーターズの第1回投資ラウンドにPayPal共同設立者のイーロン・マスクが投資します。テスラはその後テスラ・モデルSなどの電気自動車を販売するようになり、2010年には世界で最も売れている電気自動車である日産・リーフも登場。電気自動車市場は拡大を続けており、世界で最も電気自動車市場の大きい中国では数百もの電気自動車メーカーが割拠しているとBloombergは述べています。

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in 乗り物, Posted by log1h_ik

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