機械学習によって衛星写真からソーラーパネルの位置と規模を正確に特定する「DeepSolar」

by Wayne National Forest

建物の屋上から屋外の大規模施設まで、さまざまな場所で太陽光発電の運用が可能なソーラーパネルは世界各地で利用されています。そんな太陽光発電の出力を正確に把握するために、人工衛星から撮影した画像をAIで分析することで太陽光パネルの位置と規模を正確に把握する「DeepSolar」をスタンフォード大学が進めています

DeepSolar: A Machine Learning Framework to Efficiently Construct a Solar Deployment Database in the United States - ScienceDirect
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2542435118305701

There are way more solar panels in the U.S. than we thought
https://www.fastcompany.com/90284523/there-are-way-more-solar-panels-in-the-u-s-than-we-thought

ソーラーパネルは、化石燃料や原子力ではない再生可能エネルギーによる電気を生み出すことができ、さらには家庭の電気代を節約することが可能になります。屋上に設置される家庭用から、郊外の広大な敷地に設置される工業用のものまで、ソーラーパネルの位置や規模は多岐にわたり、その全容を把握することは非常に難しいため、ソーラーパネルによる太陽光発電によってどれだけの規模の発電が行われているのかは正確には分かっていないというのが現状。

DeepSolarは衛星画像を分析してソーラーパネルのGPS座標とサイズを特定するディープラーニングフレームワークです。スタンフォード大学の研究者は機械がクシュアルゴリズムで高分解能衛星画像を分析、アメリカの48州のほぼすべてのソーラーパネルを特定しました。その発見精度はおよそ93％で、これまでのモデルよりも正確であると研究チームは主張しています。

DeepSolarが10億以上の衛星画像を分析した結果、147万台のソーラーパネルが発見されました。この147万台という設置数は、同様にAIと衛星を用いてソーラーパネルの設置を検証するGoogleのProject Sunroofによる67万台という数値よりもはるかに高い数値だそうです。

どれだけのソーラーパネルがどこに存在しているのかを知ることで、再生可能エネルギー発電をより普及させることができます。スタンフォード大学の土木・環境工学の准教授であるRam Rajagopal氏は「電力会社とシステムオペレーターは、太陽光がどこにあるのか周辺地域を把握し、プロジェクトに関する新しい調査を行う必要があります。このデータを閲覧すれば、どの地域に投資するかを決めることができます」と述べています。

また、人口密度が高いほど、あるいは年間家計所得が多いほど、ソーラーパネルの導入率が高くなっていくことが明らかになりました。ただし、15万ドル(約1680万円)以上を超えると増加は80％ほどでストップして、むしろ少し下がることが判明。研究チームは、ソーラーパネル導入の初期費用と維持コストがかかるため、低所得層にはなかなか導入しづらいものがあると考えています。また、導入率と教育水準の間にも相関関係が見られたとのこと。

Rajagopal氏は「これだけの数の衛星画像を分析するには、システムが存在するかどうかを正確に検出するだけではなく、高速に処理を行えるものでなければなりません。私たち研究チームがまず克服しなければならなかった最初の課題でした」と語り、DeepSolarをアメリカ以外の国でも活用し、データベースを一般公開して毎年更新していく意志を明らかにしました。