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風力発電と太陽光発電が砂漠の緑化に貢献するという研究報告


再生可能エネルギーとして将来の応用が期待されている「風力発電」や「太陽光発電」は、発電施設がある地域の気候に局所的な影響を及ぼすと考えられています。アフリカ北部に広がる世界最大の砂漠・サハラ砂漠で大規模な風力発電と太陽光発電を展開した場合をシミュレートすると、降水量が増加して緑化が進むという研究結果が報告されています。

Climate model shows large-scale wind and solar farms in the Sahara increase rain and vegetation | Science
http://science.sciencemag.org/content/361/6406/1019


風力発電や太陽光発電が気候にどのような影響を与えるかの研究を行っているイリノイ大学の博士研究員であるユアン・リー氏は、風力発電や太陽光発電による気候影響をモデル化した最初の研究者であり、熱と降雨量の変化に植物がどのように反応しているかを調査しています。


リー氏は「これまでの調査では、大規模な風力発電や太陽光発電が大陸規模で大きな気候変動を引き起こす可能性があると言われてきました。しかし、予想される気候の影響が実際にどれだけ現れているかを調べるには、植生のフィードバックを研究しなければなりません」と語っています。

リー氏は世界最大の砂漠であるサハラ砂漠に注目。風力発電と太陽光発電の両方について、それぞれ900万平方キロメートル以上をカバーして合計で平均80テラワット以上を発電できるような施設をサハラ砂漠で稼働させた場合に、どのような影響が引き起こされるのかをシミュレートしました。

by Luca Galuzzi

このシミュレーションによって、風力発電が地表面の気温の上昇を引き起こし、サハラ砂漠での最低気温が最高気温よりも大きく変化するようになることが判明しました。リー氏によると、風力タービンが暖かい空気を上から吹き飛ばすことができるため、夜間の温暖化がより顕著になるとのこと。その結果、風力発電所を設置した地域では降水量が平均して1日あたり0.25mm増加したそうです。

さらに、太陽光発電のパネルを置くことで日影を作り、地表面の温度が下がるため、気温の上昇も抑えられることも判明しました。以下の図は風力発電(AとB)と太陽光発電所(CとD)、さらにその両者(EとF)による平均気温と降水量の変化を表した図です。地図上の灰色の点が発電所の設置を想定したポイントで、色が濃い部分は平均気温(赤)と降水量(青)の変化が大きく現れた場所となります。


リー氏によると、この降水量の増加は、植生の増加に繋がり、緑化を促してくれるとのこと。リー氏と共同研究を行ったメリーランド大学のサファ・モテシャレイ氏は「太陽光発電と風力発電がクリーンな電気を生む副産物として、降水量と植生の増加が促されることがわかりました。この事実はサハラ砂漠や中東などの農業・経済発展・社会福祉に役立つ可能性があります」と語っています。

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in メモ, Posted by log1i_yk

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