Googleが「Microsoft Edge対策にYouTubeのコードを変更した」という指摘を否定

by Arthur Osipyan
2018年12月7日、MicrosoftがウェブブラウザのEdgeで採用していた独自開発のブラウザエンジンを捨て、オープンソースのChromiumベースのブラウザを開発することを発表しました。その後、Edgeの開発に携わっていたという人物が、「Googleが意図的にEdgeを蹴落とそうとしていた」と指摘し、具体的にGoogleはYouTubeのコードをいじってEdgeの高速な動作を邪魔していたと暴露しました。しかし、Googleは正式に「そのような事実はない」と否定しています。
Google denies altering YouTube code to break Microsoft Edge - The Verge
https://www.theverge.com/2018/12/19/18148736/google-youtube-microsoft-edge-intern-claims

GoogleがMicrosoft Edgeを蹴落とすために、「YouTubeのムービーには隠された空のdivが挿入されていて、他ブラウザのハードウェアアクセラレーションを無効にしている」と指摘したのは、MicrosoftのEdge開発にインターンとして参加していたというエンジニアのJoshua Bakita(JoshuaJB)さん。Bakitaさんによると、Microsoftが独自開発のブラウザエンジンを諦めた理由は「(Googleが)他のブラウザが壊れるように自サイトを変更し続けており、このペースに追いつくことができなかったため」としています。
GoogleはMicrosoft Edgeを蹴落とすためにYouTubeを意図的にイジっていたとEdgeの開発者が指摘 - GIGAZINE

実際、MozillaのプロダクトマネージャーであるChris Petersonさんは、YouTubeのサイトが再設計されたあと、「FirefoxとEdgeの動作速度がそれまでの5倍遅くなった」と主張。それから数カ月が経過したのち、EdgeやSafari、Firefoxといったブラウザの動作を遅くするスクリプトが修正されたそうです。
他にも、Googleは過去にAndroidのライバルとなるWindows Phoneユーザー向けに提供していたGoogleマップへのアクセスを意図的にブロックしていた、という指摘もありました。
しかし、YouTubeの広報担当は海外メディアのThe Vergeに対して「YouTubeに『他ブラウザの最適化を崩すために設計されたコード』が追加されるということはありません。また、バグを発見したなら即座にそれを修正します。標準化団体やweb-platform-testsプロジェクト、オープンソースのChromiumなどを通じ、ブラウザの相互運用性を向上させるため、我々は定期的に他のブラウザベンダーと協力しています」という声明を発表し、Bakitaさんの主張を全面的に否定しました。
The Vergeは「これらの問題の中心にはウェブのための継続的な戦いがある」と記し、MicrosoftがGoogleの変化スピードについていくことに苦労して居ると指摘。検索エンジンのエンジニアの多くはウェブ技術と標準化の推進にとって重要な役割を担っており、最新の技術を最初に採用するのは「大抵の場合Googleだ」としています。
Googleがウェブ標準を採用・推進しているため、Googleの開発するChrome専用サイトが数多く登場したというケースもあります。The Vergeは「Googleが速すぎるのが問題なのか、MozillaやMicrosoftが遅すぎるのが問題なのかは、議論の余地がある」と記しています。
なお、MicrosoftはBakitaさんの主張についてコメントしておらず、The Vergeには「Googleは有益なパートナーであり、今後のMicrosoft Edgeの冒険を楽しみにしている」とだけ返答したそうです。
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