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Amazonが開発する独自CPUはIntelのチップビジネスへ暗い影を投げかけている


世界最大のECサービスであるAmazonですが、実は収益の大半はサーバー事業AWS(Amazon Web Service)によって稼ぎ出されています。そんな稼ぎ頭のAWSで使うサーバー向けに、Amazonは独自チップを開発したことを発表しました。Amazonなどの巨大企業が独自チップを開発する動きは、サーバー事業で大きな利益をあげているIntelのビジネスが岐路を迎えたことを意味しているかもしれないとNew York Timesが指摘しています。

Amazon’s Homegrown Chips Threaten Silicon Valley Giant Intel - The New York Times
https://www.nytimes.com/2018/12/10/technology/amazon-server-chip-intel.html

2018年11月にAmazonはAWSで使用するサーバーで利用する自社開発プロセッサー「Graviton」を発表しました。Amazonは世界中で稼働させている数百万台のAWSサーバーを、自社製チップGravitonに切り替えていく方針であることを明らかにしています。

これまでAWSなどのクラウドビジネスやECサイト構築などサーバーを使う企業は、IntelのCPUが搭載されたサーバーを利用していました。多くの企業が利用できるように設計されたサーバー向けCPUは、当然ながら高い汎用性が求められます。しかし、汎用性のあるチップはすなわち顧客サービスに特化したカスタマイズされたものではないことを意味します。つまり、どのようなサービスにも対応できる反面、効率化や高速性能など性能面で妥協したものだともいえるわけです。


効率性が犠牲にされたIntelチップを搭載するサーバーを利用することは、数百万台規模でサーバーを構築するAmazonのような企業にとっては、大きな損失を生むことにもなります。自社サービスであるAWSに特化したプロセッサーを開発するために2015年にイスラエルのAnnapurna Labsを買収したAmazonは、着々と独自チップの開発を進めてきて、ついにGravitonが誕生したというわけです。


AmazonによるとARMベースで開発されたGravitonはエネルギー効率に焦点をあてて設計されており、データセンターの電力コストを大幅に削減できるとのこと。すでにサーバーオプションとしてGravitonチップを選ぶことができ、顧客の中にはサービス利用費用を45%も削減できる企業が現れているそうです。

AmazonはGravitonの開発によって、AWSのランニングコストを削減できるようになりましたが、依然として併用するIntelチップサーバーの納入コストも大幅に削減できると考えられています。価格交渉で「作業負荷は他に移すだけ」と言えばIntelは譲歩せざるを得ないため、設備導入コストも下げられると考えられています。


IntelやAMDが開発するサーバー向けプロセッサーの設計・製造は特別な技術が要求されます。そのため、AMDの元CEOのアンドリュー・フェルドマン氏は「プロセッサーの中でもサーバー向けプロセッサーの製造は、いくつかの魔法が必要だと考えられてきました。あなたはIntelかAMDを選ぶしか手はありませんでした」と述べています。しかし、Google、Apple、Facebook、Amazonといういわゆる「GAFA」の台頭は、サービス利用者はIntelに頼るしかないという構造を大きく変えました。

巨大な利益をあげるGAFAは、独自のチップを開発できるだけの資金力を持ち、有力な技術を買ってくることで自社サービスに特化したプロセッサーを独自に開発することができるようになりました。


GoogleはAI開発にも利用される独自チップ「TPU」を開発し、すでに実用化しています。

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AppleはiPhoneなどのモバイル製品のために自社製チップ「A」シリーズを開発し、もはやIntelチップに追いつかんばかりの高性能を実現。また、AppleはAシリーズを独自開発したおかげで、FaceIDARKitなどの独自技術を開発でき、iPhoneを差別化できたというメリットも生まれています。

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FacebookもAIサービス向けにSoCやASICなどを独自開発しているとみられています。

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さらに、AmazonはAWS用CPUのGravitonとは別に独自開発した機械学習向けチップ「Inferentia」も発表しました。Amazonのクラウドコンピューティング部門の最高技術責任者のジェームズ・ハミルトン氏は、今後も人工知能などの専門タスクのための独自チップを開発し続けることを表明しています。


IntelはコンピューティングがPCからモバイル端末に移行する変革に乗り遅れて、ビジネスチャンスを失いました。さらに、AIなど機械学習技術の重要性が高まる中で、GPUを開発するNVIDIAなどの台頭を許しました。

次なるビジネスチャンスを作り出せていないIntelの利益の90%以上はサーバーやAI向けチップから生み出されています。独自にチップを開発したAmazonのような大口顧客を失い、さらには急成長するクラウドコンピューティングサービスの中で、Microsoft、Alibabaなどが企業内のコンピューターシステムを取り払い、クラウドへ移行するという形でコンピュータネットワークの再構築を考える中、Intelのビジネスは大きな岐路に立たされているかもしれません。

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in ハードウェア, Posted by darkhorse_log

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