仕事を効率的にこなし自由時間を確保するために構築すべき「儀式」と「ルーティーン」とは?
by Guillaume de Germain
ある研究によれば日々の行動の約40%はルーティーン(習慣)で成り立っているそうです。「TVを見る」や「ネットサーフィンをする」、「不健康な食事を摂る」といった悪い習慣が根付いてしまっている人もいるはずですが、ルーティーンを上手く活用すれば1日の約半分を健康的かつ効率的に過ごせるようになり、仕事などの生産性も向上します。体に染み付いてしまった悪習をより生産的なルーティーンに変えるための方法を、生産性向上のためのさまざまな方法を紹介するRescueTime Blogがまとめています。
Why you need both rituals and routines to power your workday - RescueTime Blog
https://blog.rescuetime.com/workplace-routines-and-rituals/
◆自分のルーティーンを確立する
by Alex Block
「ルーティーン」というのは、定期的に行われる一連の行動を指します。例えば、「朝起きて目を覚ますためにシャワーを浴びて朝食を作り、1日の計画を立てて職場まで自動車を走らせる」ということを毎日行っているなら、これは自分にとっての毎朝のルーティーンということになります。
人間は自分がそれを認識しているかどうかに限らず、何らかのルーティーンを持っているものです。しかし、多くの人が「自分の時間を最大限活用できるように意識的にルーティーンに工夫を加えること」を怠っているとのこと。
それに対して、多くの成功した起業家やクリエイターはルーティーンに興味を持ち、これに自分なりの手を加えているそうです。しかし、ここで重要なのが「誰かのルーティーンを盲目的にマネしても自分の生活を生産的なものにすることができるとは限らない」ということ。例えばAppleのティム・クックCEOは毎朝3時45分に起床していますが、それが彼の成功の理由であるとは限らないため、盲目的にルーティーンをマネすることが正しいこととは限らないというわけ。
重要なのは盲目的に他人のルーティーンをマネするのではなく、自分の日々の生活の中で最も成功した体験を集めることだそうです。これは「職場における自分自身の自然な落ち込みやエネルギーの流れを理解すること」を意味するとのことで、自分にとって適した仕事の流れを集め、それをルーティーン化するすることで生産性の向上が見込めるとのこと。
◆注意を切り替えるための儀式
by Erik Brolin
ルーティーンは生活における基礎を築くのに役立ちますが、それにより日々異なる条件が課せられる仕事を適切に乗りきれるかどうかは全くの別物です。例えば、日々のルーティーンの中に朝のミーティングが含まれていたとしても、そのタイミングで脳がミーティングする準備をしっかり整えているかどうかは別の話です。
これは「大事なことに集中する」の著者であるカル・ニューポート氏いわく、「注意残余」という状態であることが原因だそうです。「注意がすぐに切り替わるわけではありません。あなたの注意の残余は、元の仕事について考え続けています」とニューポート氏が記している通り、自身の注意がすぐに100%切り替わるわけではないことが仕事を切り替えて集中しきれない場合の理由であるとのこと。
この注意残余の状態を乗り越えるためには、例えば「私は今この作業に取り掛かっています。そして、次の作業に移行します」といった具合に、明確に言葉に出すこともひとつの手段だそうです。これをRescueTime Blogは「儀式」と名付けており、「儀式はルーティーンのように繰り返し行われるもので、ルーティーンの一部になることもあります」と記しています。しかし、儀式はルーティーンにはないより深い意味を込めるべきとのこと。
by Lua Valentia
例えば、文章を入力する作業から1対1のミーティングに移行する時、自分と相手の心理状態には大きな開きがあります。そのような場合に行うべきなのが、RescueTime Blogが言うところの「儀式」です。儀式は深い意味を込めるべきと記されているものの、儀式自体が複雑な行動である必要はありません。例えば早歩きしたり、コーヒーを飲んだりと、いつでもどこでもできる簡単な行動でOK。
このような儀式が自己制御に役立ち、困難なニュースを聞いたあとの失望を和らげることにもつながり、ストレスの多い仕事の前の不安を減らし、パフォーマンスを改善することもできることが、過去の研究により示されています。これは特定のタスクに関連付けた儀式を繰り返すことで、人がよりモチベーションを上げ、集中できるように訓練されていくからだそうです。
◆起業家やクリエイターが行っていた有名な儀式
by Form
ルーティーンは一連の行動の流れであるため簡単に説明することができますが、儀式は端から見ると奇妙なものに見えることがあります。例えば、スポーツ選手の「ピッチには左脚から入る」や「トーナメント中にソックスを替えない」といったジンクスを守る行為こそ、儀式に相当するとのこと。
例えば、哲学者のシモーヌ・ド・ボーヴォワールは、何か新しいものに着手する前に、前日に書いた文章を15分から30分かけて読み、内容を修正したそうです。
第二次世界大戦中にイギリス首相に就任したウィンストン・チャーチルは、17時にウィスキーのソーダ割りを飲み、1時間30分ほどの午後の昼寝を取り、お風呂に入って20時頃から再び仕事を行っていたそうです。
ホラー小説家のスティーヴン・キングは毎朝同じ仕事環境を再現することで、心を正しい状態に持って来ていたとのこと。
ルーティーンは1日の流れを決めることで生産性を高めてくれ、儀式はこのルーティーンを正しくこなしていくための手助けになるツール的役割を担うとのこと。他人のルーティーンや儀式を聞き、自分なりのルーティーンと儀式を構築することで、より効率的な1日が送れるようになるというわけです。
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