チョコレートの原材料カカオの発祥はこれまで考えられていたより1500年も古いと判明
カカオの種を発酵・焙煎して作るチョコレートは、いまでは世界中で愛される食べ物ですが、これまでカカオの原産地は中米だと考えられてきました。しかし、新たに遺伝学的な分析から、南米が原産でその起源も1500年以上も通説よりも古かったという研究結果が発表されています。
The use and domestication of Theobroma cacao during the mid-Holocene in the upper Amazon | Nature Ecology & Evolution
https://www.nature.com/articles/s41559-018-0697-x
Chocolate has an even earlier origin than we thought, new study finds | Ars Technica
https://arstechnica.com/science/2018/10/chocolate-has-an-even-earlier-origin-than-we-thought-new-study-finds/
これまでチョコレートは紀元前2000年ころに中米で作り始められて、その後、世界に広まったと考えられてきました。しかし、南米のエクアドルやペルーでは古くからカカオの木や葉を薬用にしたりカカオの種を発酵させたお酒を飲んだりする文化があることや、カカオの殻が描かれた古い器が発掘されていることなどから、チョコレートが南米発祥ではないかという説がありましたが、これを裏付ける科学的な証拠はありませんでした。
ブリティッシュ・コロンビア大学のマイケル・ブレイク博士の研究チームは、2002年にエクアドルのMayo-ChinchipeのSanta Ana-La Florida遺跡から発掘された陶器を分析しました。なお、陶器自体は放射性炭素年代測定から5000年以上前のものであると推測されています。
研究者らは、最初にカカオを含むほとんどの植物組織に見つかっているデンプンの痕跡を探しました。その後、その痕跡の遺伝子解析を行うことで、「テオブロマ・カカオ」というカカオの原種のDNAの断片を同定することに成功しました。
さらに、研究者らはカカオに含まれる化学化合物の中でも「テオブロミン」と呼ばれる野生品種には見られず栽培品種にのみ見られる化合物のDNAの痕跡も発見しました。つまり、5000年前の南米でカカオが栽培されていたことがわかったというわけです。
ブレイク博士によると、エクアドルでのカカオの栽培はこれまでのカカオの起源よりも少なくとも1500年は早く開始されていたとのこと。南米で主に飲み物として使われていたカカオは、その後、コロンビアなど北方へと広がった可能性が高いとブレイク博士は述べています。
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