世界最古の茶葉発掘、人類はいつからお茶を飲んでいたのか?
by Tyler Fonville
中国・西安の漢王朝時代の遺跡から植物の固まりが発掘され、分析の結果、植物の正体が「茶葉」であることが判明しました。これまでに発見されていた世界最古の茶葉は中国北部で見つかった宋朝時代(960年~1127年)ごろのものでしたが、世界最古の茶葉の歴史が、はるか以前まで更新されることとなりました。
Earliest tea as evidence for one branch of the Silk Road across the Tibetan Plateau : Scientific Reports
http://www.nature.com/articles/srep18955
Scientists discover 2,100-year-old stash of “fine plucked” tea | Ars Technica
http://arstechnica.com/science/2016/01/scientists-discover-2100-year-old-stash-of-fine-plucked-tea/
大量の茶葉が見つかったのは、中国・西安の近くにあるお墓。中国の科学者たちによる研究チームが、お墓の中で小さな植物の固まりを発見して分析したところ、2100年前の紀元前1世紀ごろに摘み取られたお茶の葉だと判明しました。
茶葉が発掘されたお墓の構造と内部の作りは以下のようになっていて、お墓の北東部にある横穴から大量の茶葉が見つかりました。西安は漢王朝時代には長安と呼ばれていて、漢王朝の中心地であり、後に通商路シルクロードの最東端の都市としても機能していました。
西安で見つかった茶葉は、実は2006年ごろに発掘されていたのですが、研究チームが成分を解析できるようになったのは最近のことで、葉の固まりを細かくほぐして、葉に含まれるカフェインなどの化学成分が解析されました。
解析の結果から、ようやく謎の植物の正体が茶葉だと判明したそうです。さらに、お茶の種類もほぼ特定することに成功しており、Nature Scientific Reportsによれば、「発見されたお茶は、茶葉と大麦や他の植物を混ぜたものでした。つまり、茶葉を炒った麦や塩、ショウガなどと混ぜ合わせて作る、アジアの高原地域で今も飲まれているバター茶によく似ています」とのこと。また、高級茶の原料となる若い茶葉だけが使われていることも判明しています。
また、西チベットのGurgyam遺跡でも同様の茶葉が見つかり、分析の結果から紀元2世紀~3世紀ごろのものだと判明しており、このことから漢王朝時代の紀元200年ごろに既にチベットの高原を越えて茶葉の取引が行われていたことが分かりました。
今回見つかった茶葉は、以下の地図でチベット高原の南側を通るオレンジ色の点線の行路で西安からチベットまで運ばれたのではないか、と研究チームは推測しています。後の唐王朝時代に開かれた行路は地図上の太いオレンジ色の線で示されていますが、今回の発見により、シルクロード以前に中国とアジアを結ぶ通商路が存在したという証拠となり、中国が他国と通商を開始した正確な時期が分かるかもしれないとのことです。
・関連記事
世界で最もお茶を消費している国はどこか?ということをランキングしてみるとこうなる - GIGAZINE
AppleのCEOティム・クックとお茶する権利が約6200万円で落札 - GIGAZINE
上目遣いのたぬきがお茶をいれてくれる「福寿たぬきフタいらず急須」 - GIGAZINE
茶葉の栄養成分まるごとの本格的なお茶が楽しめる「ヘルシオお茶プレッソ」レビュー - GIGAZINE
究極の1杯が作れる「SPECIAL.T」で10種類のお茶を入れてみました - GIGAZINE
自分でお茶が点てられるカフェ「楚々」に行ってみました - GIGAZINE
・関連コンテンツ