母乳で子育てするクモが発見される
by artemtation
人間やゾウといった哺乳類が行うように、長期にわたって母乳で子育てを行うクモの存在が報告されました。クモの母乳には牛乳の4倍のタンパク質が含まれ、栄養満点だそうです。
Prolonged milk provisioning in a jumping spider | Science
http://science.sciencemag.org/content/362/6418/1052
以下のムービーから実際にクモが母乳で子育てしている様子を見ることができます。
Spider moms spotted nursing their offspring with milk - YouTube
クモの中には、コモリグモのように卵や幼虫をお腹で保護するものが存在しますが……
新たに、中国の研究者によって「ミルクで子育てするクモ」が発見されました。
ミルクで子育てするのは、Toxeus magnusというハエトリグモの一種。Toxeus magnusの子どもは、母親が巣に落としたミルクを生後1週間かけて飲み……
その後、体が大きくなると母親の上腹部にあるくぼみから直接ミルクを飲むようになります。
ラボで実験を行ったところ、子どもたちは生後40日たって亜成体になるまで母乳をとり続けたそうです。
クモの家族たちを観察した結果、母親が食べ物を巣に持ち帰らなくとも、子どもたちは最初の20日間で体長が3倍にまで成長することがわかりました。
母乳の効果を確かめるため、研究者は母グモのくぼみを塗りつぶし、子どもに母乳を与えられないようにしました。この結果、ミルクが飲めなくなった子グモはその後10日で死亡。また、生後20日で母グモと子グモを引き離すと、子グモは自分でエサを探すようになりましたが、全体的な生存率は減少したとのことです。
クモの母乳は、卵を産み落とす場所と同じ場所から出てくることから、成長できなかった卵がエサとして使われているのではないかと研究者はみています。
そして、この母乳はタンパク質を多く含み、1mlあたりの含有量は牛乳の4倍とのこと。
過去にはクモだけでなく、ゴキブリもミルクで子育てすることが確認されており、生き物にとって「母乳での子育て」はよくみられるもの。しかし、Toxeus magnusのように「長期にわたって母乳で子育てする」という行為は、これまで「脊椎動物が行うもの」と考えられてきました。
しかし、研究者は、生まれたばかりの子どものための食べ物がなかったり、他の生き物に食べられる可能性がある場合に、母親が子育てをすることは理にかなうとしています。動物界における母性保護や母乳での子育てについて再考する必要があると研究者は述べました。
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