まるで「豆腐」のように真四角な氷山は複数存在していることがNASAの調査で明らかに
By NASA ICE
2018年10月後半、自然の産物とは思えない「真四角な氷山」が南極で発見されたことが話題になりました。人の手による加工が施されたようにしか見えない氷山の姿は多くの人の目を驚かせましたが、実はNASAの調査ではこのような氷山がいくつも見つかっているとのことです。
Weird Rectangular Iceberg Isn't Alone in Antarctica, NASA Photos Show
https://www.space.com/42247-weird-rectangular-icebergs-nasa-photos-video.html
まるで巨大なノコギリでギコギコと切り落としたかのような直角の「へり」を持つ氷山は、フランスのメディアに「トーフ(豆腐)のようだ」と評されました。この写真を撮影したNASAの研究員のジェレミー・ハ-ベック氏は、「比較的真っすぐなエッジを持つ氷山はよく見かけますが、このように2つの直角を持つものは初めて目にしました。見た目が興味深いのと、じつにフォトジェニックだと思ったのでイタズラ心で撮影しました」と語っており、ハーベック氏の狙い通りこの写真は世界中に拡散されました。
By NASA ICE
この氷山は、NASAが進めている調査ミッション「IceBridge」で発見されたもの。北極圏のグリーンランドや南極近辺の氷山の状態を航空機や人工衛星を使って観測するというプロジェクトで、北極海と南極海に浮かぶ氷山や氷床、棚氷および海氷の様子を3次元的に計測して記録するものとなっています。
IceBridge Mission Overview | NASA
https://www.nasa.gov/mission_pages/icebridge/mission/index.html
「豆腐型氷山」が撮影されたのは、2018年10月16日に実施された調査フライトの際。ハーベック氏らのチームは、2017年7月に南極半島東岸に存在するラーセンC棚氷から分離した超巨大氷山「A-68」の調査を行っていました。A-68は実に1兆トンともみられる質量を持つ氷山で、アメリカで2番目に面積が小さいデラウェア州と同じぐらいの大きさがある氷山でした。
南極のラーセンC棚氷から1兆トンもの氷の塊がついに分離、その影響とは? - GIGAZINE
同じ調査の中で、ハーベック氏らのチームは別の「豆腐型氷山」を発見し、写真を撮影していました。その1枚がこれで、最初の氷山ほどではないものの、多くの人が直感的に「四角形です」と思うであろう形で海に浮かんでいるのがわかります。なお、この氷山の向こうに見えている広大な白い部分がA-68です。
By NASA ICE
ハーベック氏らのチームが撮影した写真やムービーは、Flickrで多数確認することができます。
Operation IceBridge: Tabular Iceberg, 2018 Antarctic Campaign | Flickr
https://www.flickr.com/photos/nasa_ice/sets/72157702586203404
以下のような、飛行機の機首に取り付けたカメラからの映像でも、「豆腐型氷山」やそれに近い形状の氷山がいくつもあることが確認可能です。
実に見事な自然による造形美ですが、一方ではこのような形で南極から棚氷が消えて行っていることも事実です。
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