ビートルズの有名な「ロゴ」はどのようにして誕生したのか?
イギリス・リバプール生まれのロックバンドであるザ・ビートルズは1960年代から1970年代初頭にかけて活躍し、20世紀を代表するロックバンドとして知られています。そんなビートルズの有名な「ロゴ」について、「いったいどのようにしてビートルズはよく知られているロゴを使うようになったのか?」を説明するムービーが、YouTubeで公開されています。
How The Beatles got their logo | A Vinyl Rewind special
20世紀を代表するバンドといえるのが……
ビートルズ。そんなビートルズのロゴは、いったいどのような経緯で作られたのでしょうか。
ビートルズのロゴがこれほどまでに有名になったのは、ドラマーであるリンゴ・スターのバスドラムに、バッチリとビートルズのロゴが描かれていたためです。TV番組で流れるライブ映像などに映るバスドラムに描かれたロゴは、ビートルズの音楽と共に多くの人々の記憶に残りました。
しかし、始めからリンゴのバスドラムには、現在知られているような「BEATLES」の「B」が大きく、「T」の下棒が長く伸びているロゴが描かれていたわけではありませんでした。
なんと、初期のロゴは全てのアルファベットが大文字だったのではなく、「Beatles」という風に最初の「B」以外は小文字表記だったとのこと。
この時のロゴはポール・マッカートニーがデザインしたもので、「B」の上部に2本のアンテナのような棒が飛び出ていました。
しかし、この初期のロゴはデビューしたばかりである1963年のうち、ほんの3カ月から4カ月ほどしか使われていなかった模様。
1963年4月、ビートルズをマネージメントしていたブライアン・エプスタイン氏とリンゴが……
ロンドンの「Drum City」というドラム専門楽器店へ行きました。Drum Cityはアイヴァー・アービター氏という人物が始めた、ロンドン初のドラム専門店でした。
リンゴは新しいドラムセットを購入するためにDrum Cityを訪れ、ドラム専門メーカーであるラディック製の「オイスター・ブラック・パール」というドラムセットを買うことに決めたとのこと。
しかし、ここで「ドラムセットの料金をタダにしたい」と考えたエプスタイン氏が一計を案じ……
エプスタイン氏とアービター氏は交渉します。エプスタイン氏はこれまでリンゴが使っていたドラムセットと引き換えにするように、アービター氏に頼みました。
すると、ラディックのドラムセットをアピールするチャンスをうかがっていたアービター氏は、「ドラムセットを無料にするから、バスドラムの上部に『Ludwig』とロゴを表示させたままにしてくれ」と頼み……
さらにエプスタイン氏が「バスドラムにラディックのロゴを表示するのはOKだが、その下にビートルズのロゴも表示すること」を求めました。バスドラムの客席に向いた側は視聴者へのアピールに最適な場所であり、楽器メーカーの名前でもバンド名でも、表示すれば多くの人が目にすることになります。
交渉がまとまったエプスタイン氏とアービター氏は、ビートルズのロゴをどのように表示させるのかを話し合います。エプスタイン氏は「『THE BEATLES』のうち、特に『BEAT』を強調してくれ」という注文をつけ……
アービター氏はそれを受けてロゴのアイデアを考え始めました。アービター氏は「B」の文字を大きくし、「T」の下棒を伸ばすアイデアを考案。
それを見たリンゴもエプスタイン氏も「このロゴでいい」と認め、これが現在でも有名なビートルズのロゴとなったのです。アービター氏がバスドラムへのペイントを依頼したエディー・ストロークス氏という人物と、アービター氏の共同作業で最終的なロゴが完成しました。
Drum Cityはロゴのデザイン料として、わずか5ポンド(当時の為替レートで約5000円)しか要求しなかったとのこと。
リンゴは1963年の3月12日にアービター氏からオイスター・ブラック・パールを引き渡され……
ビートルズのロゴ入りドラムセットは、いきなりTV番組への出演を果たします。
その後1964年までの間に、リンゴは同じドラムセットで200回を超えるライブを行い、180回ものスタジオ収録をこなしました。
1964年2月4日にパリで行ったライブを最後に、このドラムセットは役目を終えたとのこと。このドラムセットは2015年にオークションに出品されており、その時はなんと2億6000万近い高値で落札されています。
しかし、1964年2月9日に行われたTV番組の収録でも……
リンゴはラディックのロゴ入りドラムセットを使い、その下にはビートルズのロゴが大きく入っていました。
リンゴは新たなドラムセットにも同様のロゴを描き入れていましたが、実は少しだけ文字が太く、大きくなっています。
その後もビートルズが解散するまでリンゴは計4セットのオイスター・ブラック・パールを使い、バスドラムの皮は7回張り替えられました。
そのたびにロゴは書き換えられ、微妙にマイナーチェンジを行っているとのこと。
世界的に有名な存在となったビートルズのロゴは、打算的な取引に偶然が作用した結果によって作られたものだったようです。
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