冥王星の2倍以上の距離で太陽系の端を公転する準惑星が発見される
by Kevin Gill
太陽系には海王星よりも遠い軌道を公転しているとされる、「惑星X」と呼ばれる未知の天体があると考えられています。そんな惑星Xを探す試みは世界中の天文学者によって行われており、その探査中に「2015 TG387」という太陽から遠く離れた軌道上を公転する準惑星が発見されました。
New extremely distant solar system object found during hunt for Planet X | EurekAlert! Science News
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2018-10/cifs-ned092618.php
Search for Planet Nine Turns Up Dwarf Planet at the Edge of Our Solar System - Motherboard
https://motherboard.vice.com/en_us/article/j54dzp/search-for-planet-nine-turns-up-dwarf-planet-at-the-edge-of-our-solar-system
2015 TG387は2015年のハロウィン頃に発見されたことから、「ゴブリン」という通称でも知られている準惑星だとのこと。2015 TG387の直径は約300kmであり、太陽の周囲を一周するのに4万年もの時間を要するとされています。
発見時に観測された2015 TG387と太陽の距離は約80天文単位(AU:地球と太陽の平均距離を1AUとする)だったそうで、太陽系の惑星中でも太陽から最も離れている海王星の30AUや、かつて太陽系の惑星に数えられていた冥王星の34AUと比べても、2倍以上の距離があります。その非常に長い公転周期の中でも、2015年は特に太陽系に近づいていたそうです。
2015 TG387の発見に関わったアリゾナ大学の天文学者デヴィッド・ソーレン氏は、「2015 TG387のような太陽の周りを公転する準惑星は、おそらく数千個もあると考えられています。一方であまりにも太陽系からの距離が遠すぎるため、観測するのは非常に困難です。2015 TG387は2015年に太陽にかなり近づいたために観測できましたが、4万年の公転周期のうち99%は地球から観測できないほど遠くにあります」と述べました。
引き延ばされたように細長い軌道を持っている2015 TG387は、少なくとも65AUよりも近く太陽に近づくことはないとのこと。研究者らは太陽系の端を周回する2015 TG387のような準惑星の軌道を研究することで、太陽系の中心から遠く離れた太陽系システムに大きな影響を与えていると考えられている惑星Xへの手がかりが得られると考えています。
太陽系外縁部の研究を行う天文学者チャドウィック・トルヒージョ氏が行った2015 TG387の軌道シミュレーションでは、巨大な質量を持つ未知の惑星Xの存在を仮定すると、軌道が安定することが判明しました。「今回の結果からわかった興味深い点は、太陽系外縁部の準惑星の軌道に影響を及ぼす、大きな天体の存在が示唆された点です」と、トルヒージョ氏は述べています。
2015 TG387の発見者であるカーネギー研究所の天文学者であるスコット・シェパード氏は、「2015 TG387のような太陽系の端を周回する準惑星は、我々を惑星Xへと導く手がかりになるものです」と語りました。
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