木星の表面に現れる無数の「雲の帯」が作り出されるメカニズムの解明が進む
By Seán Doran
太陽系の中で最も大きい惑星・木星の表面にはアンモニアの雲が作る美しい帯状の模様が現れ、流体的に変化していることが知られています。そのメカニズムはほとんど知られてきませんでしたが、木星探査機ジュノーによる観測から、その実際の姿が少しずつ明らかになってきています。
Jupiter's Colors: Scientists Offer New Explanation for Mysterious Patterns | Inverse
https://www.inverse.com/article/48008-jupiter-s-colors-scientists-offer-new-explanation-for-mysterious-patterns
木星は地球の約11倍の直径を持つ大きさの星です。星の中心に「コア」を持つものの地球のような「地殻」を持たないガス惑星で、その表面には多彩な帯状の模様や巨大な渦「大赤斑」が存在していることが知られてきました。
最初に木星表面の模様を発見したのは、天文学者のジョヴァンニ・カッシーニ でした。1660年代にカッシーニが発見した木星の姿は、そこから約350年後に打ち上げられた探査機「ジュノー」によってさらに詳細に観察されるようになりました。
ジュノーが発見したものの中にはもちろん、これまで人類が全く知らなかった存在がいくつもあります。
その一つが、2つの極付近に存在する複数の渦の存在です。
木星表面には主にアンモニアでできた厚さ3000kmともいわれる分厚い雲が存在しますが、その下には極部分にあるサイクロンと、それを取り巻く大きなサイクロンが存在していることが明らかになりました。
サイクロンの詳細は以下の記事を読むとよくわかります。
木星の縞模様の大気の下には「9つのサイクロンが密集」など地球の想像を絶する世界が存在することが判明 - GIGAZINE
また、雲の模様は以下の写真のように幾何学的ともいえる層状になっていることが観察されています。はたしてどのようにこの模様が形作られているのか、ジュノーが観測したさまざまなデータから明らかになってきています。
木星はガス惑星ですが、その内部には「コア」と、水素が高い圧力で液体になった層が存在します。コアの周囲には水素が圧縮されて相転移を繰り返した金属水素による層が存在します。
金属水素の層では対流運動が起こっており、対流が生み出した電流によって木星は強い地磁気を持っています。その大きさは、地球の1万倍とみられています。
しかし、惑星の表面付近での地磁気の強さは、地球の10~20倍程度となっているとのこと。
とはいえ、地球よりも格段に強い地磁気を持つことから、木星では自らの地磁気によるオーロラが極地域で発生していることが確認されています。
木星の地磁気を詳細に観察すると、その強さは領域によってバラツキがあることがわかってきました。
木星の表面の雲は以下の図のように細い帯に分類できる状態になっており、それぞれが個別に動いています。
帯は、木星の表面から3000~5000kmの深さにまで達していることが観察により明らかになってきています。
そしてその下では、液体水素による木星の主成分が固体のような状態で自転しているであろうことが、徐々にわかってきました。
ジュノーは53日に1回木星に接近してさまざまな観測を行い、膨大な量のデータを地球に向けて送ってきています。今後も木星の謎を解くカギとなる貴重な発見が続くことになると考えられています。
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