「ロボットは2025年までに7500万の仕事を奪う可能性があるが心配する必要はない」のはなぜか?
by Arthur Caranta
「ロボットやAI技術の発達により、人間の仕事が奪われてしまう」といった危惧を抱いている人は多く、ロボットによる自動化に反対して5万人の労働者がストライキを起こすといった事態も発生しています。そんな中、世界情勢の改善に取り組む国際機関である世界経済フォーラムが発表したレポートでは、「ロボットに仕事を奪われる可能性はあってもパニックになる必要はない」という主張が展開されています。
Future of Jobs 2018 - Reports - World Economic Forum
http://reports.weforum.org/future-of-jobs-2018/
Robots Are Going to Nab 75 Million Jobs by 2025. But Don't Panic | Digital Trends
https://www.digitaltrends.com/cool-tech/world-economic-forum-robots-take-jobs-2025/
「ロボットが人の仕事を奪う」ことを脅威だと感じている人は多いように、その技術の進化スピードにはめざましいものがあります。研究者の中には「2025年までにある程度の仕事はロボットに奪われるものの、人間の仕事の全てがロボットにより自動化されるわけではない」と考えている者が多い一方で、新たに発表されたレポートでは「全世界の仕事のうち半分が、2025年までにロボットでの自動化が可能な状態になる」と予測されました。
ロボットによる自動化が可能だからといって、ロボットに置換できる全ての仕事がロボットに奪われてしまうわけではありません。しかし、世界経済フォーラムの研究者らの予測が正しければ、2025年までに7500万もの雇用がロボットによって失われてしまうとのこと。
7500万という数字はイギリスの人口よりも1000万近く多い数であり、世界的に見ても無視できない数です。2018年の時点で人間が行っている仕事量のうち、2025年の時点でも人間が行っていると予測されるのは71%程度にとどまり、残りの29%はロボットが行うようになっているとのこと。これらのデータを考慮してみると、「ロボットが人間の仕事を奪う」といった懸念を抱くのも無理はありません。
by Jessie Hodge
しかし研究者らは、確かにロボットによる自動化は多くの雇用を奪うとしているもののパニックになる必要はないと述べています。どうしても最悪のシナリオを想像してしまうのは人間の性質ですが、世界経済フォーラムのレポートは、ロボットの台頭はネガティブな変化だけでなく、多くのポジティブな変化を人間社会にもたらすとしています。
その一つが、「ロボットは多くの人間の仕事を奪う一方で、多くの雇用を同時に創出する」というもの。レポートによると、ロボット産業の発達によって新たに生み出される雇用は、およそ1億3300万とも考えられており、ロボットによって奪われる雇用の2倍近くにも及ぶそうです。
「2002年にYouTuberという仕事で生計を立てられるようになると予想した人はいない」のと同様、これから先の未来でいったいどのような雇用が新たに創出されるのかを予測するのは難しいとのこと。しかし、レポートは未来の雇用についていくつかのヒントを示しています。具体的には、「プログラミング」「デザイン」「社会的知能」「クリティカル・シンキング」といった分野では、ロボットによる代替が発生しづらいと、レポートでは分析されています。
・関連記事
ロボットによる自動化に反対して5万人の労働者がストライキへ - GIGAZINE
人型ロボットに市民権を与えた最初の国家が登場 - GIGAZINE
ロボットが人間の仕事を奪うことを示唆する3つの研究結果 - GIGAZINE
ロボットや人工知能の進化は人間の仕事を2025年までに奪い尽くすのか? - GIGAZINE
急速に進化し続けるテクノロジーは人間から仕事を奪ってしまうのか - GIGAZINE
・関連コンテンツ