「深いことを言ってそうなデタラメ」に感動してしまう人は慈善活動に不熱心と判明
by Christine Vaufrey
「何か深いことを言ってそうだけど、実は特に意味がないただのデタラメ」である文章にうっかり感動してしまいがちな人は、慈善活動といった社会貢献に熱心でないという研究結果が発表されました。
Bullshit-sensitivity
http://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0201474
People who are more receptive to 'pseudo-profound bullshit' are less likely to donate to charity
https://www.psypost.org/2018/08/people-who-are-more-receptive-to-pseudo-profound-bullshit-are-less-likely-to-donate-to-charity-51970
スウェーデンのリンショーピング大学で心理学を研究しているアルヴィド・エルランドソン氏は、人々が寄付やチャリティーといった社会貢献活動への志向性を研究しています。エルランドソン氏は、「含蓄のありそうな雰囲気があるけど実際には何の意味もないデタラメ」に感心する傾向が、慈善活動への志向性と関わりがあるのかどうかを調査しました。
エルランドソン氏は506人の女性と509人の男性、合計で1015人の被験者に対するアンケート調査を実施。まず被験者らは、「深いことを言ってそうなデタラメ」と「本当に深いことを言っている文章」をそれぞれ7個ずつ、全部で14個読まされました。
デタラメな文章の中には「隠された意味が抽象的な美に変化する」「健康と忍耐が将来の創造性を提供する」といったものがあり、本当に意味のある文章には「川の流れは岩を切る。それは川の力によるものではなく、根気のよさによってである」「あなたの教師は扉を開けてくれるが、そこから歩き出すのはあなたがするべきだ」といったものが並んでいます。
被験者らが14個の文章にどれだけ感心したかを評価した後、アンケートでは「過去1年間にどれだけチャリティーに寄付をしたか」といった質問を行い、慈善活動への志向性をチェックしたとのこと。加えて「以下の質問を飛ばしてしまうこともできますが、以下の質問に答えると調査会社から慈善団体への寄付(5クローナ・約70円)が行われます」といった項目を用意し、アンケートに答えることで被験者が慈善団体への寄付が行えるオプションも用意しました。なお、実際にアンケートに回答された分については、調査会社から5クローナが慈善団体へ寄付されたそうです。
調査の結果、本当に意味のある文章を高く評価した人が慈善活動に熱心であるという相関があっただけでなく、意味のないデタラメを高く評価した人が慈善活動に不熱心であるという相関も発見されました。エルランドソン氏は、「これはデタラメな文章と深い意味を持つ文章を見分ける能力が、実際の社会活動と関連していることを証明した最初の実験だと思います」と述べています。
エルランドソン氏によれば、今回の実験で判明したのは興味深く面白いちょっとした発見であり、学会に大きな影響を与えるような決定的発見ではないとのこと。「私たちは調査結果を分析した結果、デタラメな文章と含蓄のある文章を見分ける力と慈善活動への意欲の間に相関関係を発見しましたが、どのようなメカニズムが根底にあるのかは説明できません」とエルランドソン氏は話しました。
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