「洋画予告編のいい声」を担当する伝説的声優「レッド・ペッパー」とは?
映画の予告編には映像を盛り上げたり公開時期を伝えたりするためにナレーションが入ることがあります。特に洋画の予告編では低音の男性の声が入ることがありますが、数え切れないほどの洋画に声をあててきた「伝説的存在」として知られる声優が存在します。
The Legendary Voice Behind Movie Trailers - YouTube
マイクの前に立つ男性が映画予告編でおなじみの低音で「Great Big Story」を紹介中。今にも「この夏」「運命が決まる」というような予告編のナレーションが入りそうな勢いです。
「OK、素晴らしかった」とディレクターから声がかかりました。「もういいの?」と返答する男性に「もうそういう話し方は大丈夫ですよ」と返すと……
逆に「どういう意味だ?」と聞き返されました。
普段の声も収録時の声とまったく一緒だという、ボイスオーバー・アーティストのRedd Pepperさん。イギリスでは何千という声映画のトレーラーに声を吹き込んできました。
「メン・イン・ブラック」や……
「アルマゲドン」など、あまりにも声を担当した予告編が多すぎて、担当した映画の半数は忘れてしまったとのこと。
もともとテレビCMからキャリアをスタートさせたPepperさんは、アニメーション、オーディオブック、テレビゲームなど、多方面で活躍。
映像の背景で鳴くガチョウの声も再現できます。
映画の予告編を初めて担当した時のことを「すごく楽しかった」と語るPepperさん。時にシリアスな映画、時にロマンティックな映画、時にホラー映画に合わせて、自在にナレーションを変化させていきます。
日常生活で自分の声が「映画予告編の人だ」と認識されることはほとんどないそうですが、まれに外で電話をかけていると……
こんな感じで顔を下げて新聞を見ていた人が……
ハッと顔を上げていぶかしげにPepperさんを見てくることもあるとのこと。
もともと、Pepperさんは地下鉄の職員でした。
ある日、いつものようにアナウンスを流していると……
テレビ局の役員がアナウンスの声に気をとめました。
その役員は次の駅でいったん下車し、Pepperさんがいる車両までやってきて連絡先を交換することになったといいます。ここからPepperさんのキャリアはスタートしました。
ボイスオーバー・アーティストとして活躍する中で、幾度も不思議な経験をしてきたというPepperさん。中でも印象的だったのが、ジュラシック・パークの予告編に声を吹き込んでいる時でした。
「何かがやってくる」「巨大な何かが……」と地響きのような低音で吹き込んでいると……
「うわー!いい声だね」とヘッドフォンから声が聞こえてきたとのこと。
実は声はロンドンまで収録を聞きに来ていたスティーブン・スピルバーグ監督だったのですが、スピルバーグ監督だと知らなかったPepperさんは「誰だよ!?」と言ったそうです。
スタジオのスタッフが慌てて「シー!スピルバーグ監督がセットにいるから!」と告げてようやく事態を飲み込めたとのこと。
自分の仕事に誇りを持ち、真剣に取り組んでいるPepperさんですが、ボイスオーバー・アーティストのことを「仕事」として捉えるのではなく、「楽しいこと」と考えていると語りました。
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