NASAの設立60周年を記念してNASAの誕生までの歩みをまとめたムービー「NASA 60th: How It All Began」が公開中
1958年に設立されたNASA(アメリカ航空宇宙局)は、2018年で設立60周年を迎えます。それを記念して、NASAが設立されるまでの歩みをまとめたムービーがNASAの公式チャンネルで公開されています。
NASA 60th: How It All Began - YouTube
NASAの設立の基礎となったのは、NACA(アメリカ航空諮問委員会)という組織でした。第1次世界大戦中の1915年に設立され、NASAに機能と人員を移して1958年に解体されます。
NASAの最初の長官となったトーマス・キース・グレナン氏が、当時の会見で「NACAは新しい航空宇宙施策の中心となる」と宣言しています。
NACAは特に高速飛行に着目しましたが、それはすぐに宇宙探査へと融合していったとのこと。NACAは航空宇宙の科学技術の貯蔵庫であり、航空宇宙オタクの集まりだったと、NASAの主任歴史研究家であるビル・バリー氏は述べています。
NACAのメンバーは航空に強い関心があり、そしてもちろん自然と宇宙にも同様に関心を向けていました。「メンバーの関心や研究対象という意味では、NACAからNASAへの移行はシームレスでした」と、NACAのエンジニアをしていたロバート・ヘンドリクス氏は述べています。
世界的な開発競争に後押しされて、アメリカも初の宇宙衛星の打ち上げに乗り出します。ソビエト連邦が直径23インチ(約58cm)の金属球、すなわちスプートニク1号を地球周回軌道に乗せたことから、アメリカでは政治的圧力が急速に高まっていました。
発射にこぎつけたロケット「ヴァンガード」には多くのプレッシャーがかかっていましたが……
ヴァンガードロケットを使ったアメリカ人の最初の試みは、失敗に終わりました。
「私たちはほとんどのロケットで爆発という結末を迎えました。当時は『5、4、3、2、1』というカウントダウンが爆発までのカウントに思えてしまいました」と、NASAの宇宙飛行士のチャールズ・デューク氏が語っています。
最初の打ち上げ失敗から2カ月後、アメリカは再び衛星の発射を準備していました。
NACAが打ち上げを計画していると知り、200ものニュースメディアが殺到したそうです。
そして、1958年1月31日、「Explorer 1」という衛星の発射が行われました。「Explorer 1」はアメリカが初めて打ち上げた衛星となりました。
「地球という惑星を理解しようと努力する世界中の科学者がいました。これこそがExplorer 1が設計された目的なのです」とNASAの科学者のミッチェル・タラー氏は言います。またタラー氏は「NASAが素晴らしいのは、科学とともに始まったからです」と述べ、宇宙開発による発見や発展の偉大さを強調しました。
同様のことについて、アイオワ大学の宇宙科学教授のジェームズ・ヴァン・アレン氏は以下のように述べています。「一連の働きかけの目的は科学的なものにあり、そしてそれは非常に純粋な科学的実験です。私たちの天文学的環境における自然をよく理解し、私たち自身の地球について知れば知るほど、できることはもっと多くなります」
衛星の発射が成功してから半年後、アメリカ議会は「National Aeronautics and Space Act of 1958(1958年国際宇宙航空法)」という連邦制定法を通し、アイゼンハワー大統領がそれに署名しました。
こうしてNASAは設立されました。
ムービーの最後では、NASAが人類史上最も難しいといえる課題を抱えていると述べ、人々の宇宙開発に対する知識を広げること、道具や人を宇宙まで運ぶ乗り物を稼働させること、航空・宇宙開発を平和で科学的な目的のための恩恵を研究すること、航空・宇宙科学技術におけるリーダーとしてのアメリカの役割を保全することを強調しています。
・関連記事
ついに火星から有機物を発見したとNASAが発表 - GIGAZINE
NASAのアポロ計画で行われた「月面の小さな重力でも人は歩けるか」というシミュレーション映像 - GIGAZINE
NASAはなぜSpaceXの低コストなロケットを使わずに「SLS」の独自開発に莫大な費用を投じるのか? - GIGAZINE
NASAは宇宙船のナビゲーションに18世紀の発明品「六分儀」を使用するかもしれない - GIGAZINE
NASAは宇宙船のナビゲーションに18世紀の発明品「六分儀」を使用するかもしれない - GIGAZINE
NASAはSpaceXなどの民間企業を利用することでコスト削減に成功、その数値が明らかに - GIGAZINE
・関連コンテンツ