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広告マーケティングの事情が変化する現代で大きな力を発揮するディズニーのパートナーシップのあり方とは?


かつて、ブランディングに効果的だったのは印刷物やテレビCMでしたが、現代ではソーシャルメディアで同じようなことができます。このため、いろんなところでスポンサー獲得に苦しむ話が聞こえてくるのですが、「魔法をかける」ようにスポンサーへのアピールを成功させているのがディズニーです。いったいどんな「魔法」を使っているのかを、経済紙Forbesが論じています。

How Disney Cast Its Spell On Sponsorship
https://www.forbes.com/sites/csylt/2018/07/12/how-disney-cast-its-spell-on-sponsorship/amp/

従来、スポンサーへのリターンは単純なものだと考えられており、より大きく、よりすぐれたロゴをテレビで公開し、それを見た人が多ければ多いほどスポンサーの売上が高くなる可能性があるとみなされていました。一流のスポーツチームの試合は大量の視聴者をひきつけ、スタジアムやユニフォームはロゴをつける対象として格好の的となっていました。


しかしながら近年では、スポンサーが働きかけるだけではなく、フットボールのスター選手から従業員へモチベーションを上げるための声かけがされたり、オートレーシング団体がどのようにチームワークを向上させているかをレッスンしたりと、支援を受ける側によるスポンサーへの働きかけが重視されるようになっているとのこと。スポンサーシップにおけるこのような関係性の変化には、正当な理由があるそうです。

まず第1に、これまではスポンサーが全く疑ってこなかったテレビの宣伝効果について、その効果のほどを事前に精密な調査をすることなく年間何千万ドルもの資金が投じられていた状況から一転して、スポンサーが疑問視するようになってきたという点が挙げられます。「視聴者」というのがどのくらい熱心な観客を指すのか、また視聴者数は放送中の特定のピークでしかなかったり、ニュースのハイライトをも総視聴者数に含んで考えたりと、測定のシステムがかなり曖昧であることが原因といえます。


このような疑問点を受け、F1のマーケティングコンサルタントの主任を務めたマーケティング専門家のマイケル・ペイン氏は、F1のパートナープログラムを開発するアドバイザーを担当し、「その年の間に少なくとも15分間連続してF1を視聴したことのある人」を広告の受け手として定義したより論理的なシステムを構築し、ブランド広告の価値とメディアの権利を再構築しました。

テレビにおける視聴者数については以上のような問題がありますが、イベントなどの参加者については問題はずっと難しいとのこと。入場口を通る人が多ければ多いほどスポンサーにとってはより魅力的な機会になりますが、入場口を通過した時点で、そこで15秒過ごそうが15時間過ごそうがその人は等しく1人の来場者となるため、広告の受け手がどれだけいるかを計測するのは難しくなるそうです。

by Jonathan Khoo

そんな中、ディズニーは1982年にフロリダのエプコットをオープンした際にメインアトラクションにスポンサーがついたことから、パートナーシップを強く心掛けていました。アトラクション「Spaceship Earth」はテクノロジーの大手シーメンス出資していたほか、スリルライド「Test Track」にはシボレーが出資しています。シボレーはロゴを貼り付けるというだけではなく、そのライドの乗り心地を通して企業価値を伝えるほか、どのように設計されているかの上映をすることで来場者に訴えかけます。来場者は待ち時間にタッチスクリーンでシボレーの取り組みに触れることができ、親が子どもにスリルライドの安全性を教えることで、シボレーは早い段階で顧客との絆を結ぶことができるのです。

by Jeff Krause

テーマパークへの旅行というのは思い出として残りやすく、ブランドもその恩恵を受けるとForbesは論じています。「サッカー選手が車のブランドロゴをつけている」のようなブランドの混乱も、適したブランドを配置するテーマパークでは避けることができ、またテーマパークはスポーツよりも好みが分かれない魅力があります。そんなテーマパークの中でもディズニーは他社より多くのゲストを魅了していると、ForbesはFormulamoneyのデータを引用して紹介しています。


またディズニーのスポンサー契約は来場者の目を引くだけではなく、スタッフやクライアントへもインセンティブを与えます。エプコットのアトラクションの隠されたエリアには企業のラウンジがあり、Test Trackからはパークを見下ろせる最大のポイントがあるとのこと。このようなラウンジはGMの会議や研修などに使われるそうです。

このようなディズニーの働きかけが優れているのは、近年主流となるソーシャルメディアではビジネス上のメリットや体験者への影響を正しく伝えることがほぼ不可能であるという点にあります。また、断続的にしか行われないスポーツイベントに対して、テーマパークは基本的に毎日開かれているということも、スポンサーにとっては重要なポイントです。

by inazakira

ディズニーはスポンサーシップの分野ではあまり有名ではありませんが、2017年にはサッカーのプレミアリーグやテニスのATPワールドツアーのパフォーマンスを上回っています。ITの発展による広告の形態が変化していく中で、ゲストとスポンサーの双方に寄り添ったディズニーのやり方はひとつの明確な指標となるはずです。

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in メモ, Posted by log1e_dh