サイエンス

中国が800メートル先のターゲットを燃やすことが可能な携帯型レーザー銃の開発に成功

by Andrew "FastLizard4" Adams

中国は近年になって急速に兵器開発を進めており、2018年に入ってからも「軍艦に搭載するレールガンの開発を進めている」という報道がされるなどして話題になりました。そんな中、香港の日刊紙であるサウスチャイナ・モーニング・ポストは、「中国が人間を炭化させることも可能なレーザー銃を開発した」と報じています。

China brings Star Wars to life with ‘laser AK-47’ that can set fire to targets a kilometre away | South China Morning Post
http://www.scmp.com/news/china/diplomacy-defence/article/2153310/china-brings-star-wars-life-laser-ak-47-could-set-fire

ZKZM-500」と名付けられたレーザーアサルトライフルは15mmの口径で、重さは「世界で最も使われた軍用銃」としても知られるAK-47とほぼ同じ約3kgとなっているため、車やボート、飛行機などに搭載可能なうえに人が持ち運ぶことも可能。射程距離はおよそ800メートルで、スマートフォンに使われるものと類似したリチウムイオン充電池が搭載されており、1回の充電で2秒以下のレーザー照射を1000回行うことができるそうです。1丁あたりの価格は約1万5000ドル(約170万円)であり、充電式で弾薬の消費がないことを考えると、意外に安価と言えるかもしれません。


中国科学院の傘下にある西安光学精密機械研究所で行われた実験およびプロトタイプ製作に参加した研究者によると、「レーザーガンによる痛みは耐えがたいものである」とのこと。ZKZM-500を製作した西安光学精密機械研究所に関連する技術企業ZKZM Laserは、現在武器製造ライセンスを持っているパートナー企業もしくは防衛産業のパートナー企業を探しており、ZKZM-500の量産体制を整えているところです。

ZKZM-500の設計と製造は政府によって厳重に管理される見込みで、ZKZM-500を手に入れられる唯一の顧客は中国の人民解放軍と警察に限られるとみられています。最初にZKZM-500が配備されるのは、中国人民武装警察部隊の対テロ対策部隊になる可能性が高い模様。

ZKZM-500は長距離から非常に強力なレーザーを照射することが可能で、ターゲットの窓を熱で溶かしたり、ガスタンクを発火させたりといったことができます。レーザーは目に見えないようにチューニングされており、レーザーの照射音も全くないとのことで、攻撃対象はZKZM-500の所在を確認することはおろか、「自分たちが攻撃されている」ことにすら気づかない可能性があります。実験に参加した研究者は「ZKZM-500による攻撃は、事故のように見えるでしょう」と語りました。


わずか10年ほど前までは「攻撃力が高く軍用に利用可能な携帯用レーザー銃」はSFの世界の話であり、2009年にはアメリカが携帯用レーザー銃の製造を試みましたが、「肌が露出していないとダメージを与えられない」というレベルの貧弱なレーザーしか照射できませんでした。しかし、中国は2015年に20億元(約330億円)もの資金を投入してコンパクトなレーザー銃の開発を進め、ZKZM-500の開発に成功したとのこと。

北京の中国科学院のレーザー物理技術研究所で研究を行うWang Zhimin氏は、近年の急速な技術発展によりコンパクトな軍用レーザー銃が開発できたと話します。「これはもはやSF世界の話ではありません。すでに現実のものとなったのです」と話し、レーザーを一点に集約させる技術やターゲットの距離を測定する技術の発達が、今回の成果に結びついたと述べています。

ZKZM-500は長時間人体に照射し続けた場合、人体を焼いて炭化させることも可能とのことですが、中国政府はZKZM-500を「非致死性の武器」に分類しています。想定される利用方法としては、デモ隊のプラカードを焼いたりデモ隊指導者の衣服や髪を焼き、「デモの説得力を失わせる」といった事態を予想しているとのこと。しかし、北京のある警察官は「レーザーによる熱傷は永久的な傷跡を残しかねないため、基本的には従来通りの催涙ガスやゴム弾、テーザー銃といった方法でデモ隊を鎮圧するほうが好まれるでしょう」と語ったとサウスチャイナ・モーニング・ポストは報じました。

by Dan

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in ハードウェア,   サイエンス, Posted by log1h_ik

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