ソフトウェア

月に270万円以上の収益を上げる開発スタートアップはどのような成長を遂げてきたのか?

by Steven Depolo

ビジネス向けのチャットツール・Slackは、Slackbotと呼ばれるプログラムを追加することで、さまざまなタスクを自動でこなすことが可能になります。StanduplyをはじめとしてさまざまなSlackbotを開発するスタートアップ「Standuply」の共同創設者であるアレックス・キステネフ氏が、右も左も分からない状態からどのようにして月2万5000ドル(約280万円)近くの収益を上げるまでに成長したかを解説しています。

Slack Bot Business Tutorial: From Zero to $25,000/mo - Standuply
https://standuply.com/blog/slack-bot-business-tutorial/


アレックス・キステネフ氏とアーテム・ボロディン氏は、アジャイル型開発チームの勉強会や技術情報交換をサポートするスクラムマスターを、チャットボットで可能にできないかというアイデアを思いつき、当時ビジネス向けチャットツールとして脚光を浴びていたSlackに注目しました。

しかし、共同創設者のキステネフ氏とボロディン氏は、当時Standbotをコーディングできるようなプログラミング技術を持っていませんでした。また、ロシアのシベリアにオフィスを構えるStanduplyは、多くのソフトウェア関連企業が集まるカリフォルニア州・サンフランシスコ南部のシリコンバレーから1万2000kmも離れていて、Slackの開発を行っているSlack Technologiesとのコネクションもない状況でした。

こうした逆境にも関わらず、2016年にキステネフ氏とボロディン氏は1人のエンジニアを雇い、3人でStanduplyの開発チームを結成。同年12月にStackbot開発スタートアップ「Standuply」を創業しました。

最初のMVP(Minimum Viable Product・実用最小限の製品)を構築するには数カ月かかりましたが、2017年初めの時点で、Standuplyのベータ版を約200のチームに対して無償提供するところまで到達。当時のStanduplyは機能面がまだ不完全で、サービスが落ちることもありましたが、その都度、ユーザーに向けて「おわび」写真を送付してはサービス復旧に努めました。以下の写真がその実物で、右端にいるのがキステネフ氏。写真送付は、ユーザーから意外な人気があったそうです。


しかし、開発チームはユーザーからの要求に十分応えられるほどの技術基盤をもっていませんでした。例えば、ユーザーが期限までにレポートを確認できなかった場合に回答を追加できる機能は特に追加してほしいという要望が多かったとのことですが、Standuplyのコードを1から書き直したために、本来1カ月半を予定していた機能追加は4カ月もかかってしまったとのこと。迅速に対応できなかったことでベータ版で離れていってしまったユーザーもいたのはとても心苦しかったとキステネフ氏は語っています。

結果として、開発チームは2017年いっぱいをStanduplyのアップデートに費やしましたが、せっかく苦労して追加した機能は、思ったより使ってもらえなかったとのこと。キステネフ氏は新しい機能を追加するよりも安定性の向上や機能統合などの中核的な部分に時間を費やす方がいいということを学んだと語っています。

一方、アップデートを重ねるうちに少しずつ注目を浴びていたようで、2017年3月にはSlack App Directoryのメインページに掲載されました。その結果、2週間で750ユーザーの新規加入を得て、1000チームのSlackで使われるようになりました。ここから新規ユーザー登録数は安定するようになり、Standuplyの運営も軌道に乗ったとのこと。以下の1日あたりのチームのbot登録数の変動を表したグラフを見ると、2017年3月26日を境に登録しているチーム数が急激に増えていることが分かります。


Standuplyはその後もバージョンアップを重ね、さらに他にもさまざまなSlackbotをリリースしました。Slackbotを紹介するブログやニュースサイトでも紹介されることで、登録チーム数はどんどん増えていきました。2018年3月にStanduply 3.0をリリースした時には、1日で売り上げトップに躍り出て、1日で最高85チームに登録されたとのこと。

Standuplyや他のSlackbotに関するニュースをFacebook・TwitterなどのSNSで積極的に配信したことで、ウェブサイトには18ヶ月で2万のアクセスがあったそうです。これを受けて、キステネフ氏はソーシャルメディアがビジネスに与える大きな効果を認識したと語っています。

また、チャットボットについて語るサミットやイベントに積極的に参加することで、他の開発チームや企業の技術者と交流でき、技術情報や戦略についてのノウハウを交換できたのは大きな収穫だったそうです。


Standuplyのベータ版は無料で配信されましたが、有料となる正式版の料金プランには必要な機能を必要な分だけサービスとして利用できるSaaS(Software as a Service)を採用したとのこと。さらに今後の開発計画を逐一ユーザーへ通知するようにしたところ、月次収益は右肩上がりとなり、2018年の2月には5900ドル(約65万円)を上回りました。さらに料金プランの見直しや、botによる通知機能の強化を行ったところ、2018年5月時点で月次収益は2万4000ドル(約260万円)超えを記録したそうです。


キステネフ氏は、SaaSが現実的なビジネスモデルであると証明できるレベルとして、月次収益10万ドル(約1100万円)を短期目標に設定したそうです。ただし、さらにその先にある100万ドル(約1億1000万円)の月次収益を目指すのは長期的に見ると難しいかもしれないとキステネフ氏はコメントしています。

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in ソフトウェア, Posted by log1i_yk

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