AT&Tによる9兆円規模のタイム・ワーナー買収を連邦地裁が承認、アメリカ司法省の訴えを退ける
by Mike Mozart
アメリカの通信大手・AT&Tによるメディア企業タイム・ワーナーの買収計画に対して、ワシントン連邦地方裁判所は承認の判断を下しました。この計画が認められれば競合他社に対する優位性を与えることになるとして司法省から差し止めの訴えが出ていましたが、地裁が覆した形です。
AT&Tのタイムワーナー買収承認 CNNなど傘下 米連邦地裁 | NHKニュース
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180613/k10011475961000.html
AT&T wins court approval to buy Time Warner over Trump opposition | Reuters
https://www.reuters.com/article/us-time-warner-m-a-at-t/att-wins-u-s-court-approval-to-buy-time-warner-for-85-billion-idUSKBN1J82QX
Federal judge clears AT&T's bid for Time Warner with no conditions
https://www.cnbc.com/2018/06/12/att-time-warner-ruling.html
AT&Tによるタイム・ワーナーの買収計画は2016年10月に発表されたもの。AT&Tはアメリカ最大手の通信会社で、タイム・ワーナーはニュース専門チャンネル「CNN」やドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」のヒットで知られるテレビ局「HBO」、映画会社「ワーナー・ブラザース」などを傘下に持つ総合メディア企業です。
タイム・ワーナー買収計画に先立つ2015年7月、AT&Tは衛星放送サービスを展開しているディレクTVの買収を終えていました。このため、アメリカ司法省は、巨大なメディア企業が誕生することにより、タイム・ワーナーのコンテンツを利用する競合他社に対して不公平な優位性を持つことになってしまうと主張し、買収阻止のために提訴していました。
計画を承認したワシントン連邦地裁のリチャード・レオン判事は、政府が買収による不利益をはっきり示せなかったと指摘。判決の執行延期を求めることは「明らかに不当」と釘を刺しました。
AT&Tは「裁判所が公平な裁判に基づき、タイム・ワーナーとの合併を阻止しようとする政府の訴えを断固として却下したことを喜ばしく思います」「より手ごろな価格で、モバイルでの革新的なビデオ・エンタテインメントを消費者に提供することができます」とコメントし、買収が2018年6月20日までに完了することを明らかにしています。
AT&T Applauds Court Decision on Time Warner Deal
http://about.att.com/story/court_rules.html
ちなみに、CNNはトランプ大統領から「フェイクニュース」とたびたび批判を受けていたことで知られるメディアであり、トランプ大統領は選挙期間中からこの買収計画に反対していました。このため、司法省はトランプ大統領の意向を受けて動いているのではないかという見方もありましたが、ホワイトハウスからの指示ではないそうです。
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