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学校を襲撃して銃を乱射するゲーム「Active Shooter」がゲーム業界に突きつけた問題とは?


2018年2月にフロリダ州で高校に男が侵入して銃を乱射し、生徒や職員など17人が死亡するという銃乱射事件が起こったことをきっかけに、アメリカでは度重なる銃乱射事件を防ぐために銃規制を求める議論が高まっています。そんな銃規制論が問われる中で、「学校に侵入して生徒や特殊部隊を撃ち殺す」というテーマのシューティングゲームがリリースされようとして注目を集めましたが、ゲームのダウンロード販売サイトのSteamがリリース直前でゲームパブリッシャーをBANすることで発売には至りませんでした。この不謹慎なゲームのBANを巡っては、ゲーム性を理由に配信拒否することが許されるのか?という問題が提起されています。

Active Shooter: Valve's Steam removes developer of game that simulated mass school shooting - The Washington Post
https://www.washingtonpost.com/news/education/wp/2018/05/29/what-parkland-parents-think-of-a-new-video-game-that-lets-people-shoot-up-a-school/

Valve Has Removed a School Shooting Simulator From Steam, Calling the Developer a 'Troll' - Motherboard
https://motherboard.vice.com/en_us/article/evkp3a/active-shooter-removed-from-steam-by-valve

問題となったのは開発者Revived Gamesが開発しパブリッシャーACIDがリリースを計画していたシューティングゲーム「Active Shooter」。表向きはSWATになりきって、銃を持って建物に立てこもった犯人を制圧するというシミュレーションゲームですが、Active ShooterはSWAT側だけではなく犯人側としてもプレイできるという内容でした。Active Shooterのトレーラームービーではゲームの内容を確認することができます。

Active Shooter - Steam Launch Trailer - YouTube


SWATとして立てこもる犯人を一掃するというミッションと……


犯人としてSWATの猛攻を防ぐという裏のミッション。


犯人モードでは、画面左に「CIV KILLED(一般人殺害数)」と「COPS KILLED(警察殺害数)」が表示されます。


SWATを撃ち殺し……


一般人を殺戮しまくるというのがActive Shooterのテーマ。


影から犯人が振りかぶっている様子が確認できます。


犯人が逃げ惑う人に投げつけたのは手りゅう弾でした。


2018年5月18日にテキサス州サンタフェの高校で在校生によって10人が撃ち殺されるという銃乱射事件が起こり、「スクールシューティング」の問題が大きくクローズアップされている中で、ACIDがActive Shooterを発表すると、そのゲームの内容から大きな批判が集まりました。ACIDはゲームの舞台が学校だとは明示していませんが、トレーラームービーからは学内で銃を乱射しまくるスクールシューティングがテーマなのは明らかです。学校での銃乱射というだけでなく、犯人が学校内で遭遇する一般人はすべて女性であることも、差別的な表現だという批判もありました。

ACIDは2018年6月6日にActive Shooterを5ドルから10ドル(約550円から1100円)での販売を予定していましたが、2018年5月末にゲームが登録されていたSteamからACIDがパブリッシャーごとBANされ、Active Shooterの発売が中止される結果になりました。Steamによると、Revived GamesとACIDはともにAta Berdiyev氏というロシア人開発者が運営していたとのこと。Berdiyev氏には、これまでにも他のユーザーへのいやがらせ、権利侵害行為、ゲームレビューの荒らし行為など数々の悪行があったことから、SteamはBerdiyev氏をプラットフォームから締め出すべく、Berdiyev氏の関連するアカウントをすべて出入り禁止処分にしたというわけです。

結果的にActive ShooterはBANされることになりましたが、ゲーム内容からプラットフォームから締め出すという措置が適切かについては議論があります。Steamのようなゲーム配信サービスがゲーム性の是非を判断してBANする行為は、ゲーム制作者の表現の自由を侵害する表現内容規制と言えるからです。SteamがActive ShooterをBANした理由に「過去のルール違反」を挙げたのは、ゲーム性の是非という判断を巧妙に避ける狙いがあったことは想像に難くありません。

Active Shooterの問題は、Steamなどのゲーム配信サービス業者によるゲームの配信制限の線引きを考えるきっかけとなった言えます。そして、Active ShooterをBANして間もなくSteamは、「違法でない限り、あらゆるゲームを受け入れる」という方針を明らかにしました。

Steamがプラットフォーム側のコンテンツ規制を限りなくゼロに、「違法でない限り」あらゆるジャンルのゲームが配信可能に - GIGAZINE


Steamは基本的にあらゆるゲームを受け入れた上で、表現内容によってはゲームを見て不快に感じる人に配慮すべく「フィルタリングツール」を導入すると発表しています。しかし、「どのようなゲームをフィルタリング対象とするべきか?」には、やはり表現内容規制に近い判断が求められることに違いはなく、恣意的な運用の可能性もゼロではありません。ゲーム制作者の表現の自由や、ゲームプレイヤーのプレイする自由、プレイしない自由など、複雑な利害の調整が求められるゲーム配信サービスのかじ取りは、非常に難しいものだと言えそうです。

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