締め切りが存在すると持ち時間の認識に影響を与えるという研究結果
by rawpixel
仕事の効率は人それぞれで「余裕がある方がいい」「追い込まれた方がいい」といろいろなタイプがありますが、研究によると、締め切りの存在は持ち時間を短く認識させるため、生産性に影響を与えるそうです。この論文は「Journal of Consumer Research」に掲載されています。
When an Hour Feels Shorter: Future Boundary Tasks Alter Consumption by Contracting Time | Journal of Consumer Research | Oxford Academic
https://academic.oup.com/jcr/advance-article-abstract/doi/10.1093/jcr/ucy043/4996321
A busy schedule really does tank your productivity - Futurity
https://www.futurity.org/upcoming-meetings-productivity-time-1773312-2/
ラトガーズ大学のガブリエラ・トニエットさんらは、人が「予定外の予定」を組み込まれたときに時間をどのように使うのか、2年にわたって8種類以上のテストを合計2300人以上の被験者に対して実施して調べました。
一例として、研究チームはAmazon Mechanical Turkで200人の被験者を集めて「予定があるグループ」と「予定がないグループ」に分け、「30分の雑用で2.5ドル(約274円)」と「45分の雑用で5ドル(約540円)」という2つの仕事を選んでもらいました。
それぞれ、作業にあてられる1時間あったのですが、予定があるグループの人は予定がないグループの人と比べて、持ち時間を平均で7.82分短く見積もりました。
また、シカゴのオヘア国際空港では航空機搭乗前の乗客134人に対して、15分間の調査に参加してもらえないかと声をかけたところ、搭乗まで30分という人の参加率は26%だったのに対して、搭乗まで1時間の人の参加率は46%でした。
ワシントン大学では158人の学生を「次の約束まであと5分」というグループと「5分ぐらい手すきの時間がある」というグループに分けて、短時間でできる作業をやってもらったところ、「手すきの時間がある」と言われたグループが平均して2.38件のタスクを処理できたのに対し、「あと5分」と厳密に区切られたグループが処理したタスクの数は平均1.86件でした。
by Jeremy Beadle
こうした研究を積み重ねたトニエットさんらが出した結論は、「人は締め切りに直面すると、残った持ち時間を短く見積もる」でした。
論文の共著者であるワシントン大学オーリンビジネススクールのスティーブン・ノーリス教授は「大仕事やたくさんの予定を抱えることは生産性に影響を与えます。短いタスクに関してはたくさん予定を入れていても大丈夫なので、自分に合った労働環境を見つけて下さい」とコメントしています。
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