取材

栃木・群馬・埼玉の「三県境」が新しく整備されて観光地らしくなっていた


「つる舞う形の群馬県」と称される鶴のくちばし。突き刺すように伸びていく群馬県の細長い場所。なぜ、あんな県境が生まれたのでしょう。東京へ攻め入るつもりでしょうか。群馬回廊。そんな長年の疑問も今回の記事のために調べた結果で紐解けました。

こんにちは、自転車で世界一周をした周藤卓也@チャリダーマンです。これまでの土地にさよならバイバイ、新しい土地によろしくこんにちは。旅ばかりしていると国境やら県境といったボーダーが大好きになります。だから、ネットで見つけたこの「栃木・群馬・埼玉の三県境」もいつか行かねばと思っていました。冒頭に挙げた群馬県の先っちょです。

◆三県境
三県境については接する自治体の公式サイトにも情報が掲載されています。

栃木市 三県境について
http://www.city.tochigi.lg.jp/hp/menu000016000/hpg000015880.htm

歩いて行ける!「三県境」 - 板倉町
http://www.town.itakura.gunma.jp/cont/s021000/d021010/20160609113735.html

栃木県栃木市・群馬県板倉町・埼玉県加須市に跨る三県境について/加須市
https://www.city.kazo.lg.jp/soshiki/kitakawabenishi_shinkou/sankenkyou/6371.html

場所はここ、GPS座標だと「北緯36度12分27秒、東経139度39分50秒」。


最寄り駅は東武日光線・柳生駅です。駅の所在地は埼玉県加須(かぞ)市。


日中の電車は1時間に2本というのんびりとした駅。


ひっそりとした静かな駅前。何もありません。


その前に、腹ごしらえとセブン-イレブン北川辺柳生店に立ち寄りました。三県境とは線路を挟んで反対にあり、ちょっと歩きます。国道354号沿いということで広大な駐車場がある店舗でした。この日は朝から飲まず食わずで動いており、三県境の後も予定があったので補給が必要でした。


駅周辺は田んぼが広がる田舎の景色。


三県境は柳生駅の東側。スマホでGoogleマップを頼りにブラブラ歩いていくと案内板が出てきます。


「三県境」と「道の駅」の方向を示す案内板。


矢印をたどっていくと、だだっ広い田畑に人だかりができていました。


きちんと整備された遊歩道。


そして、ここが今回の目的地である栃木・群馬・埼玉の三県境。


用水路の中央には県境くいが設けられています。「三県分立」です。


3県の市町名と緯度経度が記されたプレートは輝いていました。


立て札もあります。日本には40ヶ所以上の三県境があるそうですが、平地でアクセス容易なのはここくらい。他は山の頂上や川の中だったりするので、そう簡単にはたどり着けそうにありません。


こちらには、この三県境の成り立ちが書いてあります。


かいつまんで説明すると、本来の三県境は渡良瀬川の上だったそうです。渡良瀬川は利根川水系の一級河川で栃木県、群馬県にまたがる皇海山(すかいさん)を水源にしています。しかし、明治の終わりから大正の始めにかけて遊水地を作るために渡良瀬川の流れを人為的に変えました。同じように渡良瀬川に合流する谷田川の流れも変わっています。県境だった場所は流れがなくなって廃川となり、のちに遊水地(谷中湖)の造成によって出た土砂によって埋め立てられたので、平らな土地になったというわけです。

・群馬県の先っちょ
群馬県の細長い部分の先端は、古い河川が県境となっているので複雑です。同じように北側も矢場川という河川が県境となって入り組んでいます。現在からは想像も付きませんが、矢場川こそが渡良瀬川の本流でした。南側の県境は現在の利根川と概ね一致しています。このように調べてみると、群馬県の細長い部分は利根川、渡良瀬川という2つの大きな川に挟まれた土地だったことがわかります。

【56】川の付け替え国境動かす  渡良瀬沿岸の絵図  : 地域 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)
http://www.yomiuri.co.jp/local/gunma/feature/CO004071/20130630-OYT8T00037.html

・田畑
こちらが、群馬県の田んぼ。


栃木県の畑。


埼玉県の畑。


市場に出荷されるのかは分かりませんが、別々の県の農作物がこんなに隣同士で育っているのも不思議です。

立て看板の裏にあった土地の区分を示す境界標。


このような木箱も置いてあります。


中には感想ノートが入っていました。しかも6冊目。書き込むのも覗き込むのも旅の趣があっていいですね。


他にも三県の県名ボードを発見。「さいたまっち&コバトン(埼玉県)」「ぐんまちゃん(群馬県)」「とちまるくん(栃木県)」というご当地キャラも一緒。「こちらを使って写真を撮ってくださいな」というおもてなし。


そんな私も、他の観光客の方に頼んで記念写真を撮ってもらいました。


もし他に誰もいなくても大丈夫、ちゃんとここにはカメラ台が用意されています。


この三県境は、地元の自治体が観光資源として盛り上げていくために、きちんとした遊歩道が整備されました。それが新聞に取り上げられたようで、ちらほらと観光客の方が来ていました。昔、私が調べたときは、飾り映えない用水路に遊歩道はあぜ道で土の色、もっと殺伐としたイメージでしたが、かなり観光地らしくなっていました。

ちょっと離れた位置から見る三県境。


◆四県境
簡単に来られる三県境なので「群馬、群馬、栃木、埼玉」「栃木、埼玉、群馬、埼玉」「埼玉、埼玉、埼玉、埼玉」と、リズムゲームのようにステップを踏んで遊ぶのも楽しそう。しかし、そんな爽やかなムードをぶち破るように「栃木、群馬、埼玉…茨城!」と、唐突に第四の県を登場させてみます。

実は、この三県境のすぐそばに茨城県があります。「三県境踏破」を「四県境踏破」にしたくて、茨城県まで歩いてみました。だから、先にコンビニへ立ち寄ったのです。

三県境を後にして……


三県境からも見えたスーパー堤防を越えると、渡良瀬遊水地という巨大な遊水池があります。こちらは度重なる洪水被害、および足尾銅山鉱毒事件への対策として成立した経緯があります。


なかなか珍しいハートの形をした谷中湖。


谷中湖を橋を渡って横切るつもりでしたが、17時前に「まもなく門が締まります」という園内アナウンスが流れてタイムオーバー。残念ですが引き返して、遊水地を周る形で茨城県まで歩きました。


突如、現れる埼玉県と栃木県の県境。


渡良瀬遊水地、関東平野部にこれほどまでの大自然が残っているというのも意外でした。


渡良瀬川に架かる橋。


橋の上に埼玉県と茨城県の県境がありました。これで四県境踏破。


古河(こが)市に入ります。福岡県の古賀市と同じ音。


JR古河駅まで歩いてフィニッシュ。


今回はやらなかったのですが、茨城県古河市の南には千葉県野田市との県境があります。犬がモチーフの千葉県のマスコット「チーバくん」でたとえると鼻のてっぺん、黒んでいる部分。地図を見た限りでは、そこまで離れていないので歩けないこともないでしょう。そうすれば、1日で栃木・群馬・埼玉・茨城・千葉と、五県境を踏破できそうです。「だからどうした」と言われればそれまでですが、好きな人は好きなんですよね。

三県境でも四県境でも五県境でも好きなだけどうぞ。旅好きな方地理好きな方にはたまらない場所が群馬県の先っちょにありました。

◆チャリダーマンからのお知らせ
2018年5月26日(土)、北九州市門司区にあるINFO SHOP大都会門司港で「門司港へチャリダーのチャリダーによるチャリダーのための宿を!」と題したチャリダーマン出演のトークライブが開催されます。料金はカンパ制・1ドリンク別で、16時から18時です。お時間のある方はぜひ足を運んで下さい。

https://www.facebook.com/events/2529786227247079/


(文・写真:周藤卓也@チャリダーマン
自転車世界一周取材中 http://shuutak.com
Twitter @shuutak
Facebookページ https://www.facebook.com/chariderman/
DMM講演依頼 https://kouenirai.dmm.com/speaker/takuya-shuto/)

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in 取材, Posted by logc_nt

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