動画

なぜ男女の間で賃金格差が生じてしまうのか?

by Olga DeLawrence

カオスな現代社会でうまく立ち回るための処世術などについて記した書籍「12 Rules for Life: An Antidote to Chaos」は、発売からわずか2週間でベストセラーになるほど注目を集めています。その著者である臨床心理学者のジョーダン・B・ピーターソン教授は、「大学ではフェミニズムや黒人研究のような新マルクス主義的ポストモダニズムの科目ばかりになってしまったから臨床心理学の予算は削減されても仕方ない」などとコメントしたことから、ジェンダー論などを研究する人々から大きな反感を買ったのですが、イギリスのニュース番組Channel 4 Newsのインタビューで男女の賃金格差などについて詳細に自身の考えを打ち明けており、現代を生きる人々にとって貴重な知見が得られる内容となっています。

Jordan Peterson debate on the gender pay gap, campus protests and postmodernism - YouTube


ピーターソン教授に投げかけられた最初の質問は、「あなたは男性は地獄から這い上がる必要があると著書に記していますね?その理由を教えてください」というもの。

これに対してピーターソン教授は、「なぜなら年老いた赤ん坊ほど醜いものはないからです。しっかりと成長できていない男性は、人生における生きる意義を見出せていない人たちなので、難しい時間に遭遇し苦しむことになるのです。彼らは苦しいと憤慨し、目的なく敵意を持ち、憤慨し、恨み、傲慢で、欺瞞的で、自分自身の役にも立たず、女性のためのパートナーにもなれず、良いところがひとつもありません」とコメント。


このような辛辣なメッセージはあくまで世間一般に向けて発信しているものであり、「若い男性」にターゲットを絞って投げかけているものではないとピーターソン教授。なぜ「若い男性に投げかけているメッセージ」と誤解されがちなのかについては、ピーターソン教授が講義動画を多数投稿しているYouTubeのユーザーの約80%が男性であるから。若者が人生における自分自身を支える指針を得る助けになるかもしれない、と考えYouTube上で講義動画を公開するようになったとのこと。

「その考えが間違っていたら?」というインタビュアーのイジワルな質問に対しては、「若い男性が自身の言葉を励ましの言葉と受け取っているとは考えていない」としつつ、YouTube上で公開している講義動画が若者たちに「自分自身を成長させる必要がある」ということを伝えることができているとコメント。加えて、若者たちはこういった類いのメッセージに飢えていることもよくわかった、と述べています。

なお、なぜこれらのメッセージが「若い男性向けになっているのか?」という質問に対しては、ピーターソン教授はそのようなつもりはまったくないと断言し、「ただYouTubeは男性の方が多いメディアで、Tumblrは女性の方が多いメディアである」という事実があるだけだとしています。その証拠に、講義動画を見た女性が自身のもとを訪れたり、書籍を購入したりしてくれているとのこと。


続いて「男女の賃金格差」について。インタビュアーはイギリスでは男女の賃金格差が9%であるという具体的な数字を挙げて「なぜ性別が異なるだけで賃金格差が生じるのか?」について質問します。

これに対してピーターソン教授は、「多変量解析により、性別が格差を産むという事実は存在しないことが実証されている」と語りました。もちろん男女の賃金格差には性別も重要な要素として関わっているとしつつ、社会学者ならばその他の年齢・職業・興味関心・人格など、さまざまな要素に分解して解析する必要があると指摘。そして、その他の要素の方が男女の性別よりも賃金格差に大きな影響をもたらしている、とピーターソン教授は主張しています。

「実際に男女の賃金格差が『9%』という数字で表れています。これは不公平なことではないのですか?」とインタビュアーは畳みかけますが、ピーターソン教授は男女の賃金格差が存在することは認めつつ、「男女の賃金格差が性別により起きている」という認識は明らかに間違ったものだと指摘。もちろん多変量解析における18個ある要素のうちのひとつが男女の性別差であり、男女の性別により偏見が生じることも認めていますが、男女の賃金格差における性別の影響は「ほんのわずかなものだ」とコメントしています。


それでは何が男女の賃金格差の原因となっているのかと言えば、出世において有意に働く要素は「協調性のなさ」であるとピーターソン教授。協調性のない人物は周囲を従わせる「強引なリーダーシップ」を持っているとのことで、これが出世においては大きな役割を担っているというわけです。女性は男性よりも繊細なため協調性が高く、管理職になりにくいことが男女の賃金格差につながっているとピーターソン教授は考えているわけです。

加えて、スカンジナビア半島で行われた社会実験を紹介しており、男女に平等に職業を選択する自由を与えたところ、女性は20人に1人が看護師を選ぶのに対して、男性ではそれ以下の数字しか得られなかったことを明かしています。また、エンジニアを選ぶ女性の割合は、看護師を選ぶ男性の割合とほぼ同じで、これが給料のギャップを広げる原因となっているとしています。つまり、女性が自ら選ぶ職業や働き方は、資本主義において賃金の競争力が低い職業が多いというわけです。


別の研究でも男女平等が実現されるほどに女性は科学や数学の道を選ばなくなるという研究結果が出ており、こういった男女における選択の差が賃金格差の正体であり、男女の性別差によるものではないとピーターソン教授は主張しています。

男女平等が実現されるほど、女性は科学や数学の道を選ばなくなるという研究結果 - GIGAZINE


なお、ムービーでは他にも家父長制や言論の自由について語っているので、興味がある人はチェックしてみてください。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
「お金もちであるか」は収入の額だけでは測れない - GIGAZINE

社会的な性の概念「ジェンダー」が子どもの中で形成される段階には生物学的な要因も影響していることが浮き彫りに - GIGAZINE

男女を区別して扱わない学校に通うと、子どもはどのように育つのか? - GIGAZINE

女性が書いた本は男性の本の半分の値段で売られているという実態が明らかに - GIGAZINE

平均寿命にも地域間格差が厳然とあり、その差は徐々に広がっている - GIGAZINE

格差の頂点「超富裕層」とはどのような人たちなのかがわかるレポート「The Wealth Report 2015」 - GIGAZINE

in 動画, Posted by logu_ii

You can read the machine translated English article here.