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一見無害なのに職場に偏見や不和をもたらす「マイクロアグレッション」とは?

by Pim Chu

差別や嫌がらせとしては非常に微妙なニュアンスの発言や行為などを行う「日常的なレイシズム」は「マイクロアグレッション」とも呼ばれます。マイノリティに対して行われるレイシズムの一種であるというこの「マイクロアグレッション」が、どのように起き、どのように人間関係に不和をもたらすのかをBBCが記しています。

BBC - Capital - The tiny ways prejudice seeps into the workplace
http://www.bbc.com/capital/story/20180406-the-tiny-ways-youre-offensive---and-you-dont-even-know-it

女性のCEOに対して「あなたの上司と話すことはできますか?」と問いかけたり、男性の看護師に対して「あなたのような男性の看護師はあまり見かけません」と話しかけたり、LGBTQのインターン生に「あなたは同性愛者には見えません」と語りかけるなど、マイクロアグレッションは日常生活の中で行われる些細な問いかけであったり行動であったりを指します。これらの言動に共通するのは、言われた側が「疎外感を感じる」だったり、「自分自身が悪いものであると感じる」だったりする点です。

こういった些細な差別の蓄積は、自尊心を傷つけ、疎外感を生み出し、最終的には精神的な健康問題にまでつながる可能性があると研究者たちは警告しています。しかし、そんなマイクロアグレッションにも「正しい対処法」が存在します。

by Gabriel Matula

そもそも差別的な発言とは異なり、影響はあるものの悪質なものではないというのがマイクロアグレッションの特徴です。マイクロアグレッションは言葉である必要がないので、ほとんど誰も気付かないような些細な行動の場合もあり、攻撃的なものであるとすら言えません。

行動としてのマイクロアグレッションの例としては、「列車で人の隣に座らない」や「会議中に割って入る」、「相手が同じ人種なので、同じ言語で他人の悪口を言う」などがあります。こういった行為は、他人から差別されたり攻撃的なアクションを受けた経験のある人にとっては、疑わしいと感じたり恐れを感じさせるには十分な行為です。


アメリカのオレゴン州ポーランドで生まれ育ったアジア系アメリカ人のデラルド・ウイング・スー教授は、コロンビア大学で心理学の教授を務めています。スー教授は過去に、授業終わりに生徒から「スー教授のプレゼンテーションが大好きです。あなたの英語はとても素晴らしい」と言われた経験があるそうで、これも捉える側からすればマイクロアグレッションと言われてもしかたのない言葉であるとのこと。なぜならスー教授がアジア系であることから「英語が下手だろう」と学生側が勝手に決めつけている節がある、もしくはスー教授がそう思われていると勘違いしてしまえるやり取りだからです。

カナダ・メンタルヘルス協会で公共制作担当ディレクターを務めるUppala Chandrasekera氏によると、マイクロアグレッションに対する本人の反応は端から見るとオーバーリアクションに見える可能性があるとのこと。「なぜあの人は怒っているのだろう?褒めただけなのに」と理解されないこともありますが、これは小さな差別が繰り返され、我慢ができなくなった時に反応を返すためです。小さな差別が蓄積していくことで、最悪の場合、言われた側はストレスや不安から、薬物中毒やアルコール中毒になるケースも存在するとのこと。

by Henry Be

それでは、マイクロアグレッションと取れる言動を自分が仕事場で見聞きした場合、どのように行動すれば良いのでしょうか。「現時点で最善のことは、起こったことを認めること」とChandrasekera氏は述べており、マイクロアグレッションは非常に「起きやすいもの」なので、相手とコミュニケーションを取ったり、話したいかどうか確かめることが重要としています。

また、誰かが自分の言動によって怒っているなら、相手の意見を聞き、自分の言動を確かめ、相手の主張をよく理解できるようになることが重要です。スー教授は「我々が持つ偏見を理解することこそが重要です」と語っています。

どのような言動がマイクロアグレッションであるのかを理解するために役立つサイトもあります。以下の「MICROAGGRESSIONS」というサイト上には、1万5000件ものマイクロアグレッションの事例が記録されています。

MICROAGGRESSIONS - power, privilege, and everyday life.


「マイクロアグレッション」は、多くの人々にとっては聞き慣れない言葉かもしれませんが、2015年には「オックスフォード英語辞典」にも追加されており、つい最近になって登場したものというわけではありません。Chandrasekera氏が働くカナダ・メンタルヘルス協会には、毎月企業で働く従業員からマイクロアグレッションに関する苦情が寄せられているとのこと。実際、カナダでは50万人の労働者が精神的な問題を抱えており、仕事に支障をきたしているとしています。

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in メモ, Posted by logu_ii

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