サイエンス

思考の抑制は逆に欲求を高める効果がある


甘い物やごはんを食べ過ぎてしまうなど、改善したい習慣化された行動を断ち切るために「食べちゃだめだ」ということや「ごはんの量を減らそう」などと考えるもの。しかし、考えれば考えるほど、どうしても我慢ができなくなり、結局元の習慣を続けてしまう人もいるはずです。心理学者によると「食べてはいけない」など抑制的な思考を持つと、欲求を高めることにつながってしまい、逆効果になることが指摘されています。

Don't Think About It | Psychology Today
https://www.psychologytoday.com/us/blog/mental-mishaps/201009/dont-think-about-it

Resistance Is Futile. To Change Habits, Try Replacement Instead. - The New York Times
https://www.nytimes.com/2018/03/19/your-money/resistance-is-futile-to-change-habits-try-replacement-instead.html

「何があっても、絶対にシロクマのことは考えないで下さい」


このように人から言われてしまうと、逆に「シロクマ」を想像してしまうはずです。これは皮肉過程理論(Ironic process theory)と呼ばれており、悪い習慣を断つために「やめよう」など抑制的な思考を持つことは、そのことが頭から離れなくなり、逆効果になるとのことです。

ロンドン大学のジェームズ・アースキン氏らの研究では、皮肉過程理論を実証する実験が行われています。この実験では、約120人の被験者を「チョコレートのことを考えるチーム」「チョコレートを抑制するように考えるチーム」「何も制限を与えず好きなことを考えるチーム」に分け、まず各チームに自分たちのチームのテーマに沿ったレポートを書かせます。その後、各チームの目の前にチョコレートを出し、味の評価を記録するように依頼したそうです。


この実験の目的は、レポートの内容や味の評価を調べるものではなく、どのチームがどれだけのチョコレートを食べるかを調べるものでした。結果的に「チョコレートを抑制するように考えるチーム」が一番多くチョコレートを食べたことがわかったとのこと。つまり、思考を抑制することで、逆に強く求めてしまう傾向があることが示されています。

ファイナンシャル・プランナーのカール・リチャーズ氏は自身の友人が「思考の抑制」をやめて、悪い習慣を絶ちきったというエピソードを紹介しています。

リチャーズ氏の友人は悪い習慣を改めるため、行動したい衝動を感じるたびに「耐えろ」「耐えろ」「耐えろ」と自分に言い聞かせていたようです。しかし、どれだけの期間がたっても、改善する兆しが見えないため、衝動を感じたら「水を飲む」ように変えてみたとのこと。すると、徐々に衝動が和らいでいき、最終的に悪い習慣を克服することができたそうです。


リチャーズ氏は、悪い習慣を改めたいと思うのであれば、衝動に抵抗するのではなく、何か別のものに置き換えることがオススメだと話しています。

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in サイエンス, Posted by darkhorse_log

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