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コレがなくては現代社会が崩壊する「トランジスタ」の仕組みをムービーで解説


小さな電子部品「トランジスタ」は、多くの人が生活に欠かせないスマートフォンやPCの中に何億個も使われているほか、電車を走らせたり、音楽をスピーカーから流したり、ロケットを宇宙へ飛ばしたりと、現代の文明社会を成り立たせるのに絶対に欠かせないものとなっています。そんなトランジスタがどのような仕組みで動作しているのかを解説するムービー「Transistors, How do they work ?」がYouTubeチャンネルのLearn Engineeringで公開されています。

Transistors, How do they work ? - YouTube


トランジスタの発明は、人々の生活に革新的な変化をもたらしました。


もちろんスマートフォンに内蔵されるプロセッサにも組み込まれ、動作の要となっています。


そんなトランジスタは、主な役割を2つ持っています。1つは電気回路の「スイッチ」として動作する役割。


もう1つの役割は、マイクなどの「微弱な電流を増幅する」というものです。


トランジスタの材料には半導体が使われます。ムービーで紹介しているトランジスタでは、シリコン(ケイ素)を主原料としたトランジスタの仕組みを説明しています。


シリコンを原子レベルにまで拡大すると、こんな感じ。


1つのシリコン原子は4つの電子(水色)を持ち、隣にある4つのシリコン原子と結合します。


ムービーではビジュアルでわかりやすく説明するために、シリコン原子をかわいらしい「スマイリー」として描いて説明します。


隣合ったスマイリーたちは、それぞれの電子を共有結合で持ち合い強く結び付いています。この共有結合の状態は、電子など移動で電荷の変化が起きません。つまり、電気が流れない「絶縁」状態ということになります。


しかしこれでは、電子機器として使うことができません。そのためシリコン半導体では、電気を流せるようにするために、「ドーピング」という方法を使います。ドーピングには2つ方法があります。1つ目の方法は、「N型ドーピング」です。この方法は、リンなど「半導体の価電子に比べて、価電子が1個多い原料」を不純物(N型ドーパント)として加えることにより、半導体内で1個余った電子を生み出すことで電気を流せるようにするというものです。


もう1つのドーピング方法は「P型ドーピング」です。この方法は、N型ドーピングに加えた不純物とは逆に、ホウ素などの「価電子が1個少ない原子」をP型ドーパントとして加えます。すると、画像の黄緑色の線で丸く囲われている電子が1個足りない状態「正孔」が半導体内部に生じます。この穴に電子が流れ込むことで電気が流れるようにするのが、P型ドーピングです。


トランジスタの基本構造は、ドーピングされた半導体を交互に3層に重ねた状態になっています。画像のトランジスタは、左から黄色く表現されているN型ドーピングの半導体(N型半導体)と青く表現されているP型ドーピングの半導体(P型半導体)とN型半導体で挟まれたものです。


ムービーではこのドーピングされた3層の半導体を使って説明を進めます。しかし、いきなり3層がどのように動作するかを説明する前に、ムービーではNとPによる2層の半導体、ダイオードがどのように動作するかを簡単に説明します。


ダイオードは、電子が足りないP型半導体(青色)と、電子が余っているN型半導体(黄色)で構成されています。


ダイオードの内部では、「P型半導体」と「N型半導体」がお互いに電子が「足りない」「余っている」関係となっており、半導体同士の境界(赤色)の部分では電子の受け渡しが起こります。境界で受け渡しが起こると、P型半導体(青色)は電子を受け取るので、わずかに「負」に帯電します。一方で、N型半導体(黄色)は電子を放出するので、わずかに「正」に帯電します。すると、境界線部分(赤色)に「電子が過不足なくピッタリの領域」である空乏層(Depletion Layer)が生まれます。空乏層は、電荷を運ぶ「キャリア」が存在しない領域となるため、ここに電気の流れない「絶縁層」が生まれます。


このダイオードに電源を接続して、N側にプラス、P側にマイナスの向きで電圧をかけると、電気の流れない「空乏層」の領域が広がります。この状態を「逆バイアス(Reverse Biasing)」と呼びます。


次に電源をひっくり返して、電流の向きが逆周りになった場合を考えてみます。


電源が逆向きにセットされると、電子が欠乏していたP型半導体に向けてN型半導体で余っていた電子が流れるようになり、電気が流れるようになります。この状態を「順方向バイアス(Forward Biasing)」と呼びます。


順方向バイアスの状態で回路全体を示すとこんな感じ。電子は電池のプラス極に引き寄せられ、回路を通ってマイナス極に流れるので、電子が画像の回路を左回りで流れます。このように、電気を一方向にのみ流すことができるのがダイオードです。


次に、半導体を3層にしてトランジスタにし、「トランジスタを組み込んだ回路」の説明に移ります。なお、真ん中のP型半導体(青色)は説明のため、厚みがあるように見えますが、実際のトランジスタでは非常に薄く作られています。今までのダイオードの回路を振り返りながらトランジスタの回路を見てみると、「逆バイアスのダイオードの回路」と「順方向バイアスのダイオードの回路」の2タイプのダイオードを真ん中で合体させた回路だということがわかります。つまりこのままだと、電池をどちらの向きにしても、N型半導体(黄色)→P型半導体(青色)の組み合わせとなり、逆バイアスのダイオードと同じ回路になるので電気が流れません。


ここで、トランジスタの真ん中にあるP型半導体(青色)の部分から導線を伸ばし、別の電源を追加した回路をついかしてみます。


電源を追加した部分を赤い線で囲むと、電源を含めたトランジスタの回路が「順方向バイアス状態のダイオードの回路」と同じであることがわかります。つまりこの部分では、電子がN型半導体からP型半導体へと流れこみ、プラスからマイナスへの電流が生じます。


そしてこの時、左のN型半導体の部分にあった電子もP型半導体を通って反対側のN型半導体へと移動するという現象が表れます。以下の画像で「1st POWER SOURCE」と書かれた電源の電流は、最初はN型半導体によって遮られていましたが、上記のように最初の電流が生じることで、遮っていたものがなくなってより大きな電流がおこります。


「1st POWER SOURCE」と「2nd POWER SOURCE」の2つの電源に流れる電流の大きさは、以下の図が示すように非常に大きな差があります。これは「小さな電流を最初に与えることで、より大きな電流を作り出すことができる」ということを意味します。


電源が接続されている3つの端子はそれぞれ「BASE(ベース)」「EMITTER(エミッタ)」「COLLECTOR(コレクタ)」と名づけられています。この用語を使ってこれまでの内容を説明すると「ベースに電流が生じることで、エミッタからコレクタへの電子の移動が可能になる(=電流が生じる)」ということになります。またこの時、ベースとエミッタに生じている電流よりも、コレクタとエミッタに生じている電流の方が大きくなります。これを簡単にいうと、「ベースに小さな電流を与えることで、それよりも大きな電流をエミッタとコレクタの間に作ることができる」ということを意味します。これがトランジスタの持つ役割の一つ「増幅」の仕組みで、その様子は以下の図に示されている電球の明るさで表現されています。


ここまで「黄色・青・黄色で表した半導体をサンドイッチしたトランジスタ」を、「実際に使われているトランジスタ」に近い見た目のものと置き換えます。ここまで「黄色・青・黄色で表した半導体をサンドイッチしたトランジスタ」は、バイポーラトランジスタ(BJT)と呼ばれている種類のものです。


実際のトランジスタ素子を配置してみるとこんな感じ。


トランジスタをさらに1個追加すると、さらに電流を増幅できます。電流の流れる方向がオレンジ色の矢印で示され、電流の量が矢印の太さで表されています。画像の回路は左上段の電池から流れる電流と、右下段の電池からの電流がトランジスタで増幅されて合流するように組まれています。


電気を流し、増幅されるそれぞれの箇所に電球を設置するとこんな感じ。1個目のトランジスタを経た先の電球の明るさより、2個目のトランジスタを経た先の電球の方が明るくなっているのがわかります。


先ほどの回路で、暗い電球の位置にマイクに、明るい電球の位置にスピーカーにして入れ替えると、トランジスタで信号の電流を増幅しているので、マイクで拾った音をスピーカーと直接つないだ以上に信号を増幅することができます。


トランジスタは信号の増幅の他に、スイッチとしても機能します。トランジスタは「ベースに十分な電圧を与えないと電気を流さない」という特性があり、これを利用して電流のオン・オフを制御する「スイッチ」を作ることができます。


ベースに十分な電圧をかけるとトランジスタが「オン」のスイッチとして機能し……


逆に電圧をかけない場合は回路が遮断されて「オフ」の状態を作り出します。この仕組みによって、デジタル回路やデジタルメモリの基本的な仕組みである「0と1」の状態を作り出すことが可能になります。そしてバイポーラトランジスタを2個使用することで、デジタルメモリを形作る基本的な論理回路「フリップフロップ」を構成することができるようになります。

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in サイエンス,   動画, Posted by darkhorse_log