目をスキャンするだけで心疾患を予測できる技術をGoogleの研究者らが発表
by Mustafa ezz
Googleの関連子会社であるVerily研究者らは、これまでの検査方法とは異なる、「目をスキャンして心臓疾患のリスクを知る」という技術を開発しました。この手法ではスキャンデータから、ソフトウェアが患者の年齢・血圧・喫煙者か禁煙者か、などを推測し、ここから心臓発作といったような心臓疾患のリスクを予測します。
Prediction of cardiovascular risk factors from retinal fundus photographs via deep learning | Nature Biomedical Engineering
https://www.nature.com/articles/s41551-018-0195-0
Google’s new AI algorithm predicts heart disease by looking at your eyes - The Verge
https://www.theverge.com/2018/2/19/17027902/google-verily-ai-algorithm-eye-scan-heart-disease-cardiovascular-risk
In our eyes, Google’s software sees heart attack risk - The Washington Post
https://www.washingtonpost.com/news/the-switch/wp/2018/02/19/google-used-artificial-intelligence-to-predict-heart-attacks-with-the-human-eye/
研究者らによると、「目をスキャンする」という方法は、既存の方法と同じくらいの正確性で心臓疾患の予測ができるとのこと。血液検査などが不要なので、これまで以上に簡単に医師が患者を分析できるツールになるとみられていますが、実際に使われる前にさらなるテストを行う必要があるそうです。
ソフトウェアのアルゴリズムを作るために、GoogleとVerilyの科学者らは30万人近くの患者のデータを用いた機械学習を行いました。データには医療全般のデータのほか、目のスキャンデータも含まれていたとのこと。そして、ニューラルネットワークが情報の中から、目からわかる心疾患の診断に必要な「隠れた情報」のパターンを探しだしていったわけです。
「目のスキャンによって心疾患を予測する」という方法は奇抜に思えるかもしれませんが、眼球内部の後面「眼底」には血管が密集しており、体全体の状態を写し出すものとして、これまでも「眼底検査」として行われてきました。Googleの技術は、この手法を発展させたものといえます。
これまで、心疾患の予測には「リスクスコア」と呼ばれる手法が使われており、予測の正確性は72%だといわれています。Googleの開発した新しい手法の予測は70%の正確性であるとのことで、わずかに劣るものの、ほぼ既存の手法と同じ正確性で診断が行えるわけです。心血管生理学&薬理学を研究するユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンのAlun Hughes教授は「網膜から心疾患のリスクを予測するという研究は長い歴史を持っており、Googleのアプローチは信頼できる」ということを示しています。また、人工知能は既存の医療分析の手法を加速させる潜在的可能性を有しているものの、アルゴリズムは信頼できるレベルになるまでテストを繰り返す必要があるという点を警告しました。
・関連記事
Googleがナノ粒子でガン・心臓麻痺・脳卒中などを超早期発見するデバイスを開発中 - GIGAZINE
「隠れ心臓発作」を知らずに経験している人は驚くほどに多い - GIGAZINE
Appleがスタンフォード大学と協力して不規則な心臓のリズムをApple Watchで識別する取り組みを発表、心房細動を通知するアプリ「Apple Heart Study」も登場 - GIGAZINE
心臓発作の時、あなたの体内では何が起こっているのか? - GIGAZINE
左右の腕の血圧に差があると心臓病のリスクが高いという研究結果 - GIGAZINE
・関連コンテンツ