メモ

最も多くの国や地域を通る「緯線」と「経線」はそれぞれ何度でどんなルートを通るのか?


地球の表面には南極と北極を結ぶ線である「経線」と、赤道と平行に引かれる「緯線」の2つの仮想の線が引かれ、あらゆる場所の位置を示すことができるようになっています。つまり、経線と緯線は世界中の国や地域を縦断または横断しているのですが、はたして「最も多くの国や地域を通っている経線と緯線はどこにあるのか?」という謎を突き止めた人物がいます。

Which lines of longitude and latitude pass through the most countries? - From the Heart of Europe
https://nwhyte.livejournal.com/2929721.html

この謎を解明すべく立ち上がったのは、アイルランド出身で政治学者、SFファン、中世研究家などの肩書きをもつニコラス・ホワイトさんです。友人から質問を受けたホワイトさんは、主にGoogleマップとその拡張ツールを用いることでどの経線と緯線が最も多くの国を通過しているのかを調査しました。


最も多くの国を通る経線は、東経22度31分35.2秒と同22度33分32.1秒にまたがるラインだったとのこと。経度で2分ほどの幅があるラインですが、実際には赤道付近で約20kmほどの幅に収まっているため、地球規模で考えると誤差として片付けられるレベルといえそう。この線が通る国は北から1.ノルウェー、2.フィンランド、3.スウェーデン、4.エストニア (西エストニア諸島)、5.ラトビア、6.リトアニア、7.ロシア(カリーニングラード州・飛び地)、8.ポーランド、9.スロバキア(東部わずか)、10.ウクライナ(西部ほんの少し)、11.ハンガリー(東部わずか)、12.ルーマニア、13.セルビア(東部わずか)、14.ブルガリア(西部ほんの少し)、15.マケドニア(東部わずか)、16.ギリシャ、そして地中海をはさみ、17.リビア、18.チャド、19.スーダン (西部わずか)、20.中央アフリカ共和国、21.コンゴ民主共和国、22.アンゴラ、23.ザンビア(西部わずか)、24.ナミビア(東に突き出した部分)、25.ボツワナ、26.南アフリカの26カ国です。


ヨーロッパ周辺を拡大すると、バルト海に浮かぶエストニアの西エストニア諸島から東ヨーロッパの密集した地域を通り、ギリシャの大陸に接した部分で最も南側に突き出たペロポネソス半島を通って地中海へと抜けている様子がわかります。


同様に、アフリカ大陸でも最も国境線の入りくんだ範囲を通っていることがわかります。スーダンでは波状になった国境のわずかな地域がかすっているだけ、そしてアンゴラの南にあるナミビアではカプリビ回廊と呼ばれる東に突き出た領地を貫いています。


経線は比較的決定しやすかったとのことですが、一方の緯線はすこし頭を悩まされることに直面したそうです。さまざまな緯度を検討した結果、2本のラインでともに「28番目」にカウントすべき国が見つかったのですが、その両方が一長一短で決め手となる要素が存在しなかったとのこと。検討の結果、ホワイトさんは北緯11度08分02.4秒と北緯11度08分25.8秒にまたがる「トーゴ~トバゴライン」と、北緯12度11分03.7秒から北緯12度11分34.4秒にまたがる「ビカーライン」の2本を選んでいます。


以下の地図の、北側にあるのがビカーラインで、その南北幅は1km足らず。そして南にあるトーゴ~トバゴラインは南北幅が700メートルほどと、ともに非常に狭い範囲を持つラインになっています。アフリカ大陸の西端からカウントすると、ともにギニアビサウ(1/1)から入った両ラインは次にギニア(2/2)を抜け、マリ(3/3)、ブルキナファソ(4/4)へと入ります。(国名の後ろにある数字は順番にビカーラインとトーゴ~トバゴラインの国カウント数)


その次となる5つめの国で、両ラインに差異が生じ始めます。北側を通るビカーラインは、ニジェール(5/*)からベナン(6/7)へと抜けますが、南側のトーゴ~トバゴラインはガーナ(*/5)、そしてトーゴ(*/6)北西部のごくわずかな部分をかすめて再びブルキナファソに入り、ベナン(6/7)へとつながります。


その後、両ラインは共にナイジェリア(7/8)、カメルーン(8/9)、チャド(9/10)、スーダン(10/11)、南スーダン(11/12)、エチオピア(12/13)、ジブチ(13/14)を通過。


ジブチのあと、トーゴ~トバゴラインはソマリア(*/15)の北部を通過してアラビア海に突入。一方、ビカーラインはソマリアをわずかに逃すものの、イエメン(14/*)をカウントして同じくアラビア海へと入ります。


その後、両ラインはインド(15/16)、ミャンマー(16/17)、タイ(17/18)、カンボジア(18/19)、ベトナム(19/20)、フィリピン(20/21)を通過し、フィリピン海、太平洋へと進みます。


次に両ラインが遭遇するのが、マーシャル諸島(21/22)です。このマーシャル諸島では、両ラインともギリギリの線で陸地を通っているとのこと。


トーゴ~トバゴラインはアイリンギナ環礁のわずかな陸地の上を通過。


一方のビカーラインは、その名称のもとになったビカー島を通るルート。大きな環礁の南端に位置する小さなビカー島を飲み込むように、ビカーラインが東西方向に伸びています。


マーシャル諸島のあとは、およそ1万1000kmにわたって陸地のない領域が続きます。その後、両ラインはニカラグア(22/23)に上陸。トーゴ~トバゴラインだけがコスタリカ(*/24)を通って数を増やした後に、両ラインともコロンビア(23/25)とベネズエラ(24/26)を通ります。


ビカーラインはさらに、キュラソー島(25/*)、ボネール、シント・ユースタティウスおよびサバのボネール島(26/*)を通り、その先にあるグレナダ(27/*)で最後の国をフィニッシュします。


一方のトーゴ~トバゴラインは、最後の国となるトリニダード・トバゴ共和国(*/27)のトバゴ島を通過してフィニッシュ。


トバゴ島を通過するラインは、なんとこのギリギリ領域をかろうじてかすっている状態。これにより、2つのラインは同数で引き分けという結果になるのでした。


最後にホワイトさんは、各ラインについて注釈を記しており、それぞれのラインが抱える問題点を挙げています。その内容により、ホワイトさんはいずれのラインを勝者にするか決めあぐねているそうです。

・ビカーライン
キュラソー島とボネール島はそれぞれオランダ領であり、独立した国家とカウントするには微妙さが残る。これらを「オランダ」と一括りにカウントするとすれば、ビカールラインの結果は「26カ国」となる。

・トーゴ~トバゴライン
歴史的背景を加味すると、今回「ソマリア」とカウントした地域にはソマリランドプントランドの2つの国家が存在すると考えられ、ホワイト氏はその見方を支持。となると、トーゴ~トバゴラインのカウント数は「28カ国」となり、ビカールラインよりも多い国数とみなすことができる。

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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