海外の旅で考えた「目に見える親切」と「目に見えない親切」

「ご飯をご馳走になった」「家に泊めてくれた」など、いろいろ優しくしてくれた人に出会った国がありました。でも、一方で豊かな国ではそうはなりません。人と関わることはほとんどありません。それでも、親切だと感じたのは豊かな国の方でした。
こんにちは、自転車で世界一周をした周藤卓也@チャリダーマンです。どれだけ親切にされても、不快な事が起きると萎えてしまいます。どれだけ人と関わらずとも、不快な事がなければオッケーでした。目に見える親切ばかりでなく、目に見えない親切にも気付いて欲しくて、このような文章を書いてみました。
◆イラン
2009年、イランを走っていました。

私「イスラムの水泳の授業はどうなんですか?女子も水着を着るのですか?」
イランの人「水がありません」
などと妄想して遊んでいたのですが、気になっていました。イスラムの女性は肌を見せることは禁忌のはず。実際にこうした疑問をイランの人にぶつけると「学校が別々なんで関係ありません」とのこと。
イランには男子小学校と女子小学校があって、それが高校まで続いて大学になると男女混合になるそうです。小さなころから「あの子の隣に」と席替えのドキドキもなく、大学デビューを夢見て頑張るイラン人を想像して切なくなりました。ただ、そんなイラン人より恋愛をせずにチャリばかり漕いでいるかわいそうな人もいるから……。イランでは「なぜ一人で旅しているんだ」とよく訊かれました。やかましい、俺の方が知りたいわ!
取り乱しました。もとい、その「男だけの環境」で育まれるのか、イランの若い男性はムンムンしていました。女性は微笑ましい程におしとやかに育っているのに、男性はやんちゃで節操がありません。英語でも話せる人は少しは違いましたが、微妙な人は本当に微妙で大変でした。
街を歩いているだけで「チン(チャイナ)、チン、チン」とニヤニヤしながら話しかけられます。その浅はかさにいらつきました。日本でイラン人が歩いているだけで「イラン、イラン、イラン」と笑いながら囃し立てるでしょうか。多くは素通り。興味があっても、失礼のないように振る舞うでしょう。ですが、イランではそれができない若い男性が目につきました。既に旅をしていた東南アジアで同じことはありませんでした。「やさぐれた国家でツーリストが少ないから」と仮説を立てるも、東ティモールで同じことはなかったので違うでしょう。イランには東洋人をからかっていい空気がありました。だから、外を歩くのも億劫でした。
普通に旅がしたかったです。何も考えずにわいわいガヤガヤできる人なら楽しめるかもしれません。でも、私はそんなんじゃない。イランの嫌うアメリカやイスラエルの方が肌に合う気がしました。別にいらつくだけで害はありません。でも、本当に嫌でした。不快でした。イランを旅をして優しくて親切な人が多い国とは記事にもしました。そうした反面、このような感情も抱いていました。
「だから、イランにはもう行かない」というわけではなく、そのような国と割り切ってまた旅するかもしれません。また、人によって抱く感想は違います。だから、お勧めもするでしょう。そもそも、何事も経験するべきです。
道路の下で野宿

チェロウモルグ

どこかのマーケット

◆アメリカ
2012年、アメリカを走りました。

「あの国は貧しいけれど人がいい」と旅人はよく口にします。イランは親切な人が多かった。一方のアメリカでは人との触れ合いは少ない。だけど、旅をしやすいのは断然アメリカでした。その理由はアメリカの方が親切な国だから。目に見える優しさが全てではありません
イランと違ってアメリカでは東洋人だからといって馬鹿にされません。外国人だからといってぼったくられることもありません。道を尋ねても金銭の要求はありませんし、秘密警察による職務質問もありませんし、ゴミはゴミ箱に捨てるから街が綺麗でした。不自由のない社会を作り上げている日常だって、旅人に対する優しさではないでしょうか。先進国になればなるほど、人との繋がりは希薄になります。だからといって彼らは、決して不親切なわけではありません。
アメリカを旅しているときはアメリカ人になれました。様々なルーツを持つ人たちが暮らす国。出自を気にされることなどありません。正直、居心地よかったです。
人里離れた場所で操業していた工場

ハンバーガー

トイレを借りることができたスーパーマーケット。気軽にトイレを使える社会というのも素晴らしかったり。

◆親切な国とは?

これは私の基準ですが、優しくされるだけでなく、不快なことが起きないことも重要でした。その点、イランもそうですがイスラム圏は「お金持ちは多く払え」という価値観の下、普通にぼったくられることも多くて、その度に不快になることがありました。だから、親切な人も多い国でしたが、面倒という印象は拭えません。そうした基準において、韓国は何一つ嫌な事が起きなかったので、最高の国だったと記事にしています。
日本だって親切な国だと私は思っています。これほどまでにトイレが充実している国を私は知りません。あとは、治安の良さでしょうか。これほどまでに、自動販売機が充実している国も私は知りません。道端にお金を置いてるようなものです。こうした旅人への目に見えない優しさに、私たちは自信を持っていいことでしょう。
加えて、困っている外国人がいたら目に見える優しさでも応えていきたいところですね。
(文・写真:周藤卓也@チャリダーマン
自転車世界一周取材中 http://shuutak.com
Twitter @shuutak
Facebookページ https://www.facebook.com/chariderman/
DMM講演依頼 https://kouenirai.dmm.com/speaker/takuya-shuto/)
チャリダーマンは人生を駆けた自転車世界一周を一冊の本にするという夢があります。興味を持っていただける出版社、編集者の方いましたら、ご連絡いただけると幸いです。
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in コラム, Posted by logc_nt
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