「科学に基づく」など7つの表現がアメリカ疾病予防管理センターで禁止され2018年以降の科学研究が影響を受けると懸念が広がる
by knerri61
「科学に基づく」「証拠に基づく」「多様性」「胎児」といった特定の言葉の使用が禁止されたとアメリカ疾病予防管理センター(CDC)のアナリストの証言で明らかになりました。CDCは多くの科学研究、予防サービスの提供などを行っており、今後の活動に大きな影響を与えるとして懸念が広がっています。
CDC gets list of forbidden words: Fetus, transgender, diversity - The Washington Post
https://www.washingtonpost.com/national/health-science/cdc-gets-list-of-forbidden-words-fetus-transgender-diversity/2017/12/15/f503837a-e1cf-11e7-89e8-edec16379010_story.html
CDC Can No Longer Use 7 Words Key to its Work, Including "Science-Based'
https://www.inverse.com/article/39465-cdc-word-ban
CDCによると、CDCのアナリストたちは2017日12月14日(木)に行われたミーティングで以下7つの単語の使用禁止が知らされたとのこと。
・Vulnerable(脆弱性)
・Entitlement(権利)
・Diversity(多様性)
・Transgender(トランスジェンダー)
・Fetus(胎児)
・Evidence-based(証拠に基づく)
・Science-based(科学に基づく)
ミーティングを行ったCDCの金融サービスオフィスのAllison Kelly氏は、これらの単語の使用が禁止された理由についての説明はなく、自分は「言い継いでいるだけ」だとしました。会議で単語の使用禁止を告げられたアナリストからは「信じられない」「本気なんですか?冗談ですよね?」という声が挙がったといいます。また、禁止事項の存在は専門家らに広まっていませんが、広まれば「黙ってはいないだろう」と語られました。
by felixioncool
この禁止事項は特に予算案や支援についての資料に関連したもので、いずれも議会とCDCのパートナーの承認を必要とするもの。つまり、2018年以降にCDCが得られる予算について、大きな影響を及ぼすと見られています。CDCはHIV/AIDS、ウイルス性肝炎、性感染症、結核など感染症の予防を目的とするNational Center for HIV/AIDS, Viral Hepatitis, STD, and TB Prevention(NCHHSTP)でトランスジェンダーを含めた人々の健康の不平等について対策を行い、ジカ熱では胎児を対象とした研究を行うなどしているためです。また「証拠に基づく」「科学に基づく」の2つについては代替の言葉が示唆されているとのことですが、「胎児」や「トランスジェンダー」については代替の言葉が用意されていないとのこと。
2017年2月にはアメリカ合衆国農務省(USDA)のスタッフが「climate change(気候変動)」という言葉の使用をやめ「weather extremes(異常気象)」という婉曲表現を使うよう指示されており、トランプ政権下で特定の言葉の使用が禁止されるのはこれが初めてではありません。また、アメリカ合衆国保健福祉省(HHS)はLGBTについての情報をウェブサイトから削除しています。アナリストらは、CDCでの禁止事項はHHSと同じガイドラインによるものだと見ているとのことです。
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