サイエンス

地球が生みだしている「謎のノイズ」の詳細が新たに判明、季節による違いはなく固有周波数も明らかに

By NASA Johnson

宇宙に浮かぶ超巨大な球体である地球は、人間の耳には聞こえないほど低い音で振動する「謎のノイズ」を出していることがこれまでにも知られていましたが、海底の観測装置を使った新たな研究から、その詳細な姿がまた一つ明らかにされました。

Ocean-Bottom Monitors Pick Up On Earth's Constant Hum
https://news.nationalgeographic.com/2017/12/earth-hum-seismic-ocean-waves-spd/

The Earth is making a weird noise, and researchers have no idea why – BGR
http://bgr.com/2017/12/08/earth-noise-natural-phenomenon-recorded-hum/

地球が生みだしているノイズは、人間をはじめとする生きものが産みだしているものではなく、巨大な物体である地球という惑星そのものが発しているものと考えられています。最初にこの振動が大きく注目されたのは1959年のことで、その約40年後の1997年には論文「CONTINUOUS FREE OSCILLATIONS: Atmosphere-Solid Earth Coupling」が発表され、その存在に再び関心が集まりました。

そして今回、フランスやイギリス、ドイツなどの科学者による研究チームは、海底に設置された地震計のデータを初めて用いて詳細な分析が行われました。地震計はインド洋やマダガスカル海などの約3000平方kmの範囲をカバーするもので、2012年から2013年までの11か月間の観測データが用いられています。

研究チームでは、複数の地震計が観測した高精度な振動波形から、海洋の大きな波が作り出す振動や電子的に生みだされたノイズなどを取り去って、地球そのものが作りだしている振動だけを洗い出すことに成功したとのこと。そこで明らかにされたのは、地球は固有振動数による自由振動を行っており、その周波数は2.9ミリヘルツから4.5ミリヘルツだったという事実です。


「ミリヘルツ (mHz)」という単位はあまり耳なじみがない人も多いはずですが、これは通常のヘルツ(Hz)よりも1000倍遅い振動周期のことを意味します。「1mHz」は1000秒かけて振動が1回起こるという非常にゆっくりとした振動のことであり、今回明らかにされた「2.9ミリヘルツから4.5ミリヘルツ」という周波数を言い換えると「1000秒(=約16.66分)の間に2.9回から4.5回だけ震える非常に遅い振動」ということになります。ちなみに、この振動を耳で聞くことは完全に不可能。人間が耳で感じ取れる最も低い音は一般的に、1秒間に20回振動する20ヘルツといわれており、地球の振動はその1000倍近くも周期の遅い振動(=低い音)となっています。

複数の地震計から得られた振動の波形をフィルタリングして不要なノイズを取り去り、高速フーリエ変換で解析したのが以下のスペクトログラム。上部のスペクトログラムでは、2.9mHzから3.9mHzの範囲に振動エネルギーが集中していることがわかります。また分析の結果、この現象と季節の変化との間に関連は見られなかったとのことです。


これまで地球が生みだしている極低周期振動は、海洋の波の影響を受けていると思われていましたが、波の影響を排除したデータを使った解析が行われた今回の調査からは、別の震動源の存在が浮き彫りにされています。その原因としては、地球内部のマグマの流れや世界各地で起こっている地震、地磁気による影響から、月や太陽、そして太陽系全体の引力のバランスなど、さまざまな要因が考えられますが、今後の調査でその本当の姿が明らかになるか注目したいところです。

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in サイエンス, Posted by darkhorse_log

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