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次世代ハイエンドスマホの心臓部になるQualcommのSoC「Snapdragon 845」が発表、前モデル比で25%高速化&グラフィック処理は30%高速化


Qualcommから次世代ハイエンドSoC「Snapdragon 845」が発表されました。これはSamsungのGalaxy S8やGoogleのPixel 2といったハイエンドスマートフォンに搭載されているモバイル向けSoC「Snapdragon 835」に取って代わるもので、同じ10nmプロセスで製造される8コアSoCですが、処理速度は25%高速化しており、さらにグラフィック処理のみでいえば30%の高速化を実現しています。

Snapdragon 845 Mobile Platform | Qualcomm
https://www.qualcomm.com/products/snapdragon-845-mobile-platform

Snapdragon 845 unveiled with 25-percent faster CPU, 30-percent faster graphics | Ars Technica
https://arstechnica.com/gadgets/2017/12/snapdragon-845-unveiled-with-25-percent-faster-cpu-30-percent-faster-graphics/

Qualcommがハワイで開催した「Snapdragon Technology Summit」の中で、2018年の主力SoCとなるSnapdragon 845を発表しました。QualcommはiPhoneとGalaxy以外のハイエンドスマートフォンにSoCをほぼ独占して提供しているため、2018年に登場するiPhone・Galaxy以外のハイエンドスマートフォンの心臓部にはこのSnapdragon 845が搭載されるものと想定されます。また、2018年にはARM版Windows 10搭載PCも登場予定で、これらの中からもSnapdragon 845搭載端末が登場するとみられます。

Snapdragon 845は前モデルのSnapdragon 835と同様に10nmプロセスで製造されるSoCです。CPUコアは「Kryo 385」を8つ搭載しており、その内4つがCortex A75ベースのパフォーマンスを重視したCPU(パフォーマンスコア)でクロック周波数は2.8GHz、残りの4つはCortex A55ベースの効率性重視のCPUでクロック周波数は1.8GHzとなっています。前モデルと比べてパフォーマンスコアのクロック周波数は19%向上しており、CPUの再設計により全体のパフォーマンスは25%向上したとQualcommは記しています。また、CPUは新しい2MB L3キャッシュと3MBのシステムキャッシュも搭載しています。


GPUには「Adreno 630」を搭載しており、その結果グラフィック処理は30%、電力効率は30%向上しています。ディスプレイスループットを2.5倍高速化したことで、リフレッシュレート120Hzで2K×2Kディスプレイを使用することも可能。このAdreno 630という高性能GPUを搭載することで、Snapdragon 845を使えばより優れたアイトラッキングやハンドトラッキングなどが可能になります。例えば、プレイヤーの視線を認識してその周囲のみ高解像度でレンダリングする「フォビエットレンダリング」や、左右の目に別々に映像を出力する「マルチビューレンダリング」、HTC Viveスタイルの6DoFヘッドセットやコントローラーへの対応が可能になるというわけ。これについて海外メディアのArs Technicaは「QualcommはSnapdragon 845でARとVRを推している」と記しています。また、この多機能ぶりから、QualcommはAdreno 630をGPUではなく「Visual Processing Subsystem」と呼称しています。今回挙げた処理がこれまでのGPUで実現できなかったというわけではありませんが、Adreno 630からはQualcommがVRやARのさまざまなユースケースを正式にサポートしています。


また、Snapdragon 845のISP(イメージ・シグナル・プロセッサ)である「Spectra 280」により、4K・60fpsのHDRムービーを10ビットの色深度で撮影したり、720pのスローモーションムービーを480fpsで撮影したりすることも可能。また、写真は毎秒60フレーム・1600万画素の大容量画像として記録することができ、即座に深度センシングなどに応用することも可能です。


さらに、Snapdragon 845は他から完全に隔離されたSPU(セキュア・プロセッシング・ユニット)を搭載しており、これを使えば仮想通貨や決済サービス、生体認証機能といったセキュリティ面で注意を払う必要があるアプリケーションを安全に処理することが可能になるとのこと。


セルラーモデムには理論上最大1200Mbpsのダウンロード速度を実現可能なX20 LTEモデムを搭載しています。Wi-Fiは60GHzの802.11ad規格をサポートしており、これは既存の802.11acに取って代わるものではなく、超短距離での超高速通信が可能な規格です。802.11adで使用する電波は遮蔽物に弱いため広い範囲で使用するには向いていませんが、最高速度は4.6Gbpsとなっており、無線通信で端末から端末に大容量のデータを送信したり受信したりするのには最適な方法になるかもしれません。


そして、Snapdragon 845では人工知能(AI)にも焦点を当てており、「Hexagon 685 DSP」をAIおよびイメージコプロセッサとして使用しています。Hexagon 685 DSPは前モデルのSnapdragon 835に搭載されていたHexagon 682よりも3倍高速で、Android 8.1で登場予定の新しいニューラルネットワークAPIをサポートしているのも特徴です。「常時キーワード検出機能の改善と超低電力での音声処理」も可能になるとのことなので、音声アシスタントのGoogleアシスタントを頻繁に使用するというユーザーにとってはうれしいアップデートになるかもしれません。


なお、Snapdragon 845は2018年初頭に出荷予定です。

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in モバイル,   ハードウェア, Posted by logu_ii

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