大気の中にある「見えない川」が干ばつや洪水を引き起こしていることをNASAが解明へ


世界では雨が降らないことで引き起こされる「干ばつ」や、逆に雨が降りすぎることで起こる「洪水」の被害がたびたび起こっていますが、その原因の一つが大気の中を大規模に移動する水蒸気の「川」であることをNASAが明らかにしはじめています。

NASA Estimates the Global Reach of Atmospheric Rivers | NASA
https://www.nasa.gov/feature/jpl/nasa-estimates-the-global-reach-of-atmospheric-rivers

NASA: Invisible “rivers” in our atmosphere cause many droughts and floods here on Earth — Quartz
https://qz.com/1120503/nasa-invisible-rivers-in-our-atmosphere-cause-many-droughts-and-floods-here-on-earth/

NASAが「Atmospheric Rivers」(大気圏の川)と表現するのは、水蒸気を大量に含んだ空気が大規模に地球上を移動する現象のこと。温められた海から蒸発した水蒸気がその主な原因で、地上に甚大な被害をもたらす台風もこの「大気圏の川」に相当するものとされています。


NASAは2013年にもこのような現象で災害が起こることを明らかにしていましたが、その時はごく限られた地域に関する研究であり、今回発表されたものはさらに広範囲な地域を対象にした研究結果になっているとのこと。

水蒸気の形で水分を大量に含んだ空気は、大きな塊として大気圏中を移動します。運ばれる水分はほとんど目に見えませんが、量としては極めて多く、地表のどこかで雨となって降り注ぐと大規模な水害を引き起こすに至ります。この「大気圏の川」が引き起こす災害によって被害を受けている世界の人の数は、基準を甘めに見積もっても1年間で3億人にも達しているとみられています。

また、この仕組みは地球を循環する真水の22%を運んでおり、さらに北米の東海岸や東南アジア、ニュージーランドなどの地域では、その規模は50%にも達するとのこと。この「大気圏の川」の影響が強い地域では、災害が起こる確率が他の地域に比べて80%も上昇。逆に、その影響が少ない地域では、干ばつが起こる確率が90%も高くなることが判明しています。

この成果に対し、論文の共同著者でありNASAジェット推進研究所Earth Science and Technology Directorateのチーフサイエンティストであるデュエイン・ウォールザー氏は、「この研究では、地球の貴重な真水が降り積もった雪や大気中の水蒸気、そして地球規模での洪水や干ばつの発生を引き起こす『大気圏の川』の影響を定量化しました。ここで発見された内容は、大気圏の川の動きを予測する大気観測および機構モデリングシステムの改良を可能にする原動力になります」と語っています。この分野の研究はまだ詳しいことが明らかになり始めたばかりであり、今後も研究が進められるとのことです。

By Mark Stevenson

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in サイエンス, Posted by logx_tm