アナログ映像がHDMI出力で鮮明になる「RGB21-HDMI変換アダプタ」を使って旧世代のゲームをコンポジット出力と比較してみた
コンポジット出力よりも鮮明に映すことができるRGB21ピンは今なおレトロゲームマニアからの人気が高いアナログ端子です。しかし時代が進むにつれて、アナログ入力が可能なテレビやモニターが減っていき、昔のゲーム機を引っ張り出して遊ぶことが難しくなりました。そこでサンコーから、RGB21出力をHDMI出力に変換できる「RGB21-HDMI変換アダプタ」が登場。変換アダプターとケーブルを借りることができたので、RGB21出力が実際どれほどキレイなのか、コンポジット出力と比べてみました。
サンコー -【RGB21-HDMI変換アダプタ】販売ページ
http://www.thanko.jp/shopdetail/000000002915/
編集部に届いたのは白い箱と袋入りのケーブル。
箱を開けると「RGB21-HDMI変換アダプタ」の本体が収まっていました。
幅84mm×奥行73mm×高さ28mmということで、大きさも十分手のひらの上に乗る程度で場所を取りません。重さも138g、持ち運びには困らないくらい軽いです。
白い内箱を外すと、説明書と電源プラグが入っていました。
本体は黒い金属製で、冷たい肌触りが心地よく、しっかりした作り。上部には「RGB21 → HDMI」と白い文字がプリントされています。
正面にはボタンが2つとHDMI出力ポート、オーディオ3.5mmのステレオジャック、そして赤いLEDの電源ランプ。「RESOLUTION」と書かれているのは出力解像度を変更するボタン、「PAL/NTSC」と書かれているのは入力形式の切り替えボタン。
背面には電源プラグの差し込み口とRGB21ケーブルの入力ポート。
付属の電源はDC5.0Vで1.0A。消費電力は5.0Wです。
RGB21ピンケーブルは変換アダプタとは別売りなので、ケーブルを持っていない場合は注意が必要です。
RGB21はアナログ映像信号をR(赤)・G(緑)・B(青)の3つに分けて送信するので、映像信号を1本の端子にまとめてしまうコンポジット接続よりも鮮明な映像が得られます。日本国内ではPCモニター用に使われることが多かったのですが、実はスーパーファミコンやセガサターン、PlayStation・PlayStation 2などなど、数世代前のゲーム機の一部がこのRGB21ピン出力に対応しています。
今回のRGB21ピンケーブルはPlayStation・PlayStation 2用のもの。
RGB21の出力側端子を見ると、平たいピンが全部で20本、そしてそれらをぐるりと取り囲む金属フレームを含めて21個のピンが確認できます。また、各ピンの上にそれぞれ打たれているピン番号も見えます。
コンポジットとHDMIのどちらも入力できる24型液晶テレビを用意。アナログからデジタルへの過渡期に作られた古いモデルです。ゲーム機はPlayStation 2を使用。
型番はSCPH-30000、HDDを追加できる拡張ベイが初めて搭載されたタイプです。
三色端子のコンポジットは少し年期が入っていますが今でも十分使用可能。白と赤の端子がステレオ音声出力、黄色の端子が映像出力です。
「RGB21-HDMI変換アダプタ」の準備をします。まずは電源ケーブルを接続し、コンセントを挿します。
次にRGB21ピンケーブルをアダプタ本体に接続。ピンが折れないように、斜めからではなくまっすぐ挿しこみます。
最後にHDMIケーブルを前面の出力ポートに接続してテレビとつなげば終わり。HDMIケーブルの横にあるオーディオジャックにイヤホンやスピーカーを挿せば音声を聞くこともできるので、音声出力のないPCモニターでも問題なく使えます。
RGB21ピンケーブルに差し替えて起動してみると、なぜか画面が緑色に。コンポーネント接続の設定が原因なので変更します。本体の設定画面を表示し、「システム設定」を選択。
十字ボタンの上下で項目を変更、「コンポーネント映像出力」を確認すると「Y Cb/Pb Cr/Pr」になっていました。
○ボタンを押して、「Y Cb/Pb Cr/Pr」から「RGB」に変更して決定します。
正しい色に修正できました。
出力解像度スイッチを押すと解像度が切り替わります。この古いテレビの解像度は1366x768なので、今回は1024x768に設定していますが、もちろん1080Pや720Pにも切り替えが可能。また画面の表示設定も4:3や16:9、フルスクリーンなどに切り替えることができます。
これでPlayStation2をRGB21経由でHDMI出力する準備が完了。あとはコンポジットのケーブルとRGB21ピンケーブルをPlayStation2本体に差し換えながら比べてみます。
ソフトは「バイオハザード4」を選択。
まずはコンポジットケーブルに接続してプレイ。画面がモニターよりも一回り小さく表示されてしまうのは、4:3のアナログ出力で16:9の映像を映すためにレターボックス表示をしているから。
今度はRGB21-HDMI出力で「バイオハザード4」を起動。タイトル画面の彩度がコンポジット出力に比べて明らかに上がっていて、タイトルから受けるゲームの雰囲気ががらっと変わります。また明度はコンポジットに比べて少し落ち、全体的に暗くなっています。
タイトルロゴの一部を比較したところ。左がコンポジット出力で、右がRGB21-HDMI出力になります。背景が灰色基調だったのが緑色になっている点も大きな違いですが、タイトルロゴの「4」の表面に注目すると、コンポジット出力のものよりもRGB21-HDMI出力のほうが凹凸のような模様が表れています。一方で背景に映っているのが古い家屋であるということは、コンポジット出力だとよく見ると分かる程度ですが、RGB21-HDMI出力では暗くなってしまったためにかなり分かりづらくなっています。
実際のゲーム画面の比較については以下の動画を参照するとよく分かります。コンポジット出力と比べてRGB21-HDMI出力では無駄な発色がないので画面全体の光が抑えられ、いかにもホラーゲームらしい雰囲気。ただし少しプレイしにくくなるレベルにまで暗くなってしまっているので、ゲーム内の設定で明るさを調整する必要があります。
PS2「バイオハザード4」でコンポジット出力とRGB21-HDMI出力を比較 - YouTube
細かい文字などはRGB21-HDMI出力の方が格段に読みやすくなっています。例えば以下の画像はハンドガンという文字を比べたところ。全体的にぼやけてしまっているコンポジット出力に対して、RGB21-HDMI出力はメリハリがつき、文字の輪郭がくっきりと表示されています。
PlayStation2はPlayStation1と互換性があるので、ついでにPlayStation1のソフトである「鉄拳3」もプレイ。
コンポジット出力の場合が以下の画面。
対するRGB21-HDMI出力の画面を見ると、明らかに画面全体の彩度が上がっています。ただし、画面は全体的に少し暗くなっている印象。入力に対する遅延は特に大きいと感じませんでした。
2Pキャラが羽織るジャケットの背中にはイラストが描かれており、コンポジットだと少しぼやけてしまっていますが……
RGB21-HDMI出力では鮮明に。炎の発色がとてもよくなり、イラストのデザインもコンポジットより判別がしやすくなっています。
ライフゲージの一部を拡大して比較。左がコンポジット出力で、右がRGB21-HDMI出力です。ライフゲージの緑と赤の境界に注目すると、コンポジット出力は色が混ざってぼやけてしまっていますが、RGB21-HDMI出力ははっきりと色分けができています。またRGB21-HDMI出力の画面をよく見ると、赤い部分では青や緑が混ざることなく、赤のみが発色しているのがよく分かります。
RGB21出力もコンポジット出力も結局アナログなのだからそんなに違いがないのでは?と思っていましたが、実際に試してみるとその差は歴然。かつてめちゃくちゃやりこんだゲームでも、発色が良くなるだけでがらっと雰囲気が変わるのにはびっくり。RGB21出力に対応しているスーパーファミコンやセガサターン、PlayStation1・2は、数世代前とはいえ、どれも今なお未移植の名作ソフトが多いゲームハード。「今のテレビやモニターでは遊べないけど、昔を思い出しながら遊びたい!」という人にはオススメです。
なお「RGB21-HDMI変換アダプタ」は税込4980円、公式サイトで入手可能。またAmazon.co.jpでも取り扱いはされていますが、記事作成時点ではRGB21 - HDMI変換アダプタ」本体、そしてPlayStation・セガサターン・スーパーファミコンのRGB21ピンケーブル3種類ともに在庫切れ、再入荷は未定とのことです。
Amazon.co.jp: RGB21-HDMI変換アダプタ RGBHDADP ※日本語マニュアル付き サンコーレアモノショップ: ゲーム
Amazon.co.jp: PlayStation1/2用RGB21ピンケーブル RGBTOSON ※日本語マニュアル付き サンコーレアモノショップ: ゲーム
Amazon.co.jp: セガサターン用RGB21ピンケーブル RGBTOSEG ※日本語マニュアル付き サンコーレアモノショップ: ゲーム
Amazon.co.jp: スーパーファミコン用RGB21ピンケーブル RGBTOSFC ※日本語マニュアル付き サンコーレアモノショップ: ゲーム
・関連記事
アタリの新型ゲーム機「Ataribox」の一部詳細な仕様や価格帯が明らかに - GIGAZINE
あのファミコンが小型化した「ニンテンドークラシックミニ」レビュー、懐かしさの中で感じるゲームの進化 - GIGAZINE
昔懐かしのレトロゲームを3Dにしてプレイ可能なエミュレーター「3DNes Emulator」 - GIGAZINE
スーファミ・PS1など40種類のゲームハードをプレイ可能なオールインワン型ゲーム機「MINI EMU」 - GIGAZINE
レトロゲームと現代のゲーム、グラフィックの進化を並べて比較 - GIGAZINE
・関連コンテンツ