ハードウェア

ドローンと凧を組み合わせてコスパの良い風力発電を実現する「KiteX」


ドローンとカイト(凧)を組み合わせることで費用対効果の高い風力タービンを構築するのが「KiteX」です。

KiteX
http://kitex.tech/

KiteXではドローン技術を用いることで地面につながれた飛行翼を自動制御する、という新しいタイプの風力タービンを開発しています。この新タイプの風力タービン「Airbone Wind Turbine(AWT)」は、従来の風力タービンに必要な材料の一部を使用してエネルギーを生成することができるという利点を持っています。


風力タービンはエネルギーコストが低く、環境への影響が少ないため、新しい発電所を建設する際に好まれる選択肢となっています。そして、KiteXではカイトを用いて風力エネルギーを取り込むことで、通常の風力タービンやその他の再生可能エネルギーよりもさらにエネルギーコストを削減することを目指しています。

風から取り込むことのできるエネルギーの量は「掃引面積(例えば風力タービンの場合、回転する羽根がおおう面積)」にほぼ比例します。地面から伸びる送電線とつながれたドローン型のカイトを使用すれば、従来の風力タービンの翼と同じ掃引面積を持ちながら、風力タービンのような巨大な支持構造を建設する必要なくなるため、エネルギーコストが大幅に削減可能となる、というのがKiteXのアイデアというわけです。


カイトは昔から人を持ち上げたり荷物を引っ張ったりする際に、風の力を応用するために利用されてきました。現在でもカイトを用いた風力発電所は存在しますが、その大部分が比較的洗練されたコンピューター制御システムを必要としています。そしてコンピューティングパワーコストの低下により、カイトを風力発電に用いることは10年前よりもはるかに実現可能なアプローチになりつつあるとのこと。

KiteXでは、最初に所定の経路に沿ってカイトを自律的に誘導するための制御システムを開発。以下のムービーは制御システムを用いてカイトの誘導に成功した様子を撮影したもの。

Kite On Its Own Succesful Flight - YouTube


その後、ドローン技術を用いて空を自由に飛行可能なプロトタイプ版カイトの作成がスタート。飛行テストではカイトが墜落する、という事故も。


試行錯誤を繰り返しながら徐々にカイトは洗練されていきます。


そして、ひもでつながれたまま飛行可能なカイトが完成。初めは屋内テストで飛行制御ソフトウェアの最適化が進められます。

2017 03 01 SuperQ FirstTetheredFlight - YouTube


続いて、屋外でのホバー飛行テストも実施。飛行しているのはドローンのようにも見えますが、これがAWTにおけるカイトの役割を担います。飛行位置に関するコマンドはPC上で動作する制御ソフトから送信され、カイトとつながれている送電線の張力が一定になるように飛行制御されます。

Position Control Tethered Hover - YouTube


そして2台のカイトが完成。


さらに、トランジションアルゴリズムの強化に成功。カイトは風の中でホバリング飛行することができるようになります。

Improved kite VTOL transition - YouTube


その後、AWTシステムの物理演算シミュレーター「Kite Energy Simulator」が公開され、実際にカイトを飛ばすシミュレーションが行われ……

Kitesim (kitex.tech)


その後、プロトタイプのカイトを用いて実際に空を旋回させることに成功しています。

Successful autonomous looping - KiteX Kite Energy - YouTube


KiteXでは現在、離着陸可能なドローンの開発が進められており、その後、実際に空を飛びながら発電することにチャレンジし、最終的には商業利用可能なレベルに発電システムをスケールアップする予定となっています。

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in ハードウェア,   サイエンス,   動画, Posted by logu_ii

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