ヒビ割れや傷がついたスマホの画面が熱だけで自己修復する技術の特許をモトローラが出願
By hugovk
スマートフォンを引っかいたり落としたりした時についてしまう画面の傷やヒビを、熱を加えるだけで自己修復する技術の特許をモトローラが出願したことがわかりました。
Motorola patented a display that can heal its own cracked screen with heat - The Verge
https://www.theverge.com/circuitbreaker/2017/8/16/16156558/motorola-thermal-heating-patent-cracked-screen
この特許は、特殊なポリマー素材を表面に使用することで自己修復力を持たせるというもの。特許文書に記載されている使用例では、以下の図のように傷やヒビ割れ(1001)が発生した時に……
指を使って修復したいエリアを順になぞります(1201~1204)。ちなみに、画面には修復機能アプリのアイコン(105)が表示されています。
エリアの指定が完了したら、自己修復フェーズをスタート。指定したエリアだけ発熱させる(1301)ことを可能にしており、効率的に熱を加えることができる模様。画面には「膜修復を実行中。さわるな」というメッセージ(1302)が表示されています。
修復が完了すると「膜修復プロセスが完了しました!」というメッセージ(1502)が表示される、という流れになっています。
この技術の要になるのが、「形状記憶ポリマー」と呼ばれる素材。以下のムービーでは、同様の素材が実際にどのように変化するのかを見ることができます。
Shape Memory Polymers: Plastic with a Brain, and Some Muscle - YouTube
細い帯状になっているポリマー。元はもっと短くて太い帯でしたが、手で引っ張って伸ばすことができる可塑性を備えています。
ウネウネとした形に伸ばされたポリマー。ここに指を置くと……
まるで生き物のように動き出すポリマー。人の指程度の熱にも反応して、最初の形状に戻っているところです。
そして最後には、もとの短くて太い帯に戻りました。
このように、コイル状に巻いたとしても……
手のひらの上に置くことで、熱を受けて元の真っ直ぐな形状に戻ります。
復元力は強く、このように縮む力を利用しておもちゃの車を引っ張ったり……
重りをつり上げることもできるようです。
もし傷を自己修復するスマートフォンができれば、誰もが手に入れたくなること必至の新技術ですが、まだこのような特徴を備えた製品が登場するには時間がかかりそう。というのは、現在のスマートフォンのディスプレイは透明なガラス製であるのに対し、このようなポリマーは透明度や光沢度でガラスにかなわないという現実があるため。そのため、最初は子ども向けの丈夫さが求められる端末など限定的な用途に用いられ、そこから先は技術革新を待たなければならない、ということになりそうです。
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